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癸卯(みずのとう)の新年です

新年いかがお過ごしでしょうか。中々に大らかな花びら餅の画像で始まり、失礼致します。

お茶のお稽古をなさっている方はご存知で、召し上がったこともある方が大半かと思いますが、上の画像のようなお菓子を新年最初のお稽古や初釜でいただくことが多いです。花びら餅、葩餅(はなびらもち)と言ったり、固有の名前をつけているお菓子屋さんもあります。

横に少しはみだしているのは牛蒡の蜜煮。菓子に牛蒡を使うと人生で初めて知った時には中々衝撃を受けます。牛蒡が2本だったり、1本の牛蒡に1本の金時人参の蜜煮が添っていることもあります。

元々お正月の歯固めの儀式として、平安時代より、一年中健康であることを祈って大根や瓜、押鮎(おしあゆ)、餅などの固い物を食べることをしたそう。この押鮎に見立て、やがて牛蒡や人参に変わっていったようです。押鮎とはいわゆる塩漬けの鮎。大半は一年で生涯を終える鮎は冬は稚魚で海の近くで過ごしているので、冬の間も食べることができるよう夏から秋に捕ったものを塩で保存加工していたと思われます。

歯医者さんで悪いところを削って、詰め物をするなんてことのない昔、歯の健康は長寿にも即つながっていたのでしょうが、逆に言えば、年をとるほど虫歯などで歯が脆くなる人も多かったでしょうから、この儀式で歯が欠けてしまったなんて人もいたのではないかとちょっと心配になります。

現代でも歯固めではありませんが、たまに黒文字で切っても切れないくらい固い牛蒡の挟まったお餅に当たることがあります。お餅の中身の味噌餡がこれまたお店によってはどろっとしているところもあります。そうなると薄暗い部屋で長い間黒文字で格闘していると大変なことになります。焦ると適切な状況判断がしにくくなりますが、こういう場合は懐紙で挟んでかぶりついても差支えありません。

花びら餅の向きに関しては諸説ありますが、今回のお菓子は向きの議論の端緒となったお菓子屋さんのものではないこともあり、この向きで画像を載せてみました。

今日は小寒、寒の入りです。明日の人日の節句は寒さに負けず、無病息災を祈って、またお正月のごちそうで疲れた胃を休めるためにも七草粥はいかがでしょうか。

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。お読みいただけるととても励みになります。
どうぞよい年になりますように。




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