梅あれこれ①
大阪は昼間結構な雨が降っていました。気温は高くはなかったのですが底冷えのような寒さではなく、何か温かいものが含まれているのを感じられるようになってきました。
2月によく使われる茶花の一つに梅があります。万葉集には百首以上詠まれていて萩の次に多く、また鶯と共に歌われている歌も多い梅。この時期、お菓子でも梅や鶯に絡めたものをよく見ます。
酒坏に 梅の花浮かべ 思ふどち 飲みての後は 散りぬともよし
(巻八 1656 大伴坂上郎女)
盃に梅の花を浮かべて、気心合った物同士で飲み合ったあとならば、梅など散ってしまってもかまわない。
(集英社文庫 伊藤博 萬葉集より)
酒(日本酒)に浮かべる花といえば、真っ先に菊が思い浮かぶでしょうか。梅を愛でた万葉人はこれも酒に浮かべていたようです。毒のあるものでなければ、花なり葉なりを酒に浮かべることもその季節を楽しむ方法の一つかもしれません。
お茶でなら、もちろん酒に浮かべてもよいですが、箸洗いに浮かべて一人一輪の春を楽しむという趣向はいかがでしょうか。その日のお題によって蕾を浮かべるか花を浮かべるか、より適った方を。
今日の菓銘は「梅ヶ香」。
香り高い梅は万葉の時代は、桜よりも遥かに人々に愛されていました。春先の花は蝋梅、水仙そして梅と気品ある香りを持つものが多いですね。香木がとても高価だった時代、自然の香りは人々を楽しませたことと思います。
梅、それも万葉の時代から詠まれていた白梅が特に好きなのですが、先日「梅は岡本 桜は吉野 みかん紀ノ国 栗丹波」と言われ、奈良の月ヶ瀬や賀名生(あのう)ではなく、兵庫県東部で梅の名所があることを今さらながら知りました。遠からず見に行ってみたいものです。
週末は少し気温が低めです。お出かけの際は暖かい格好で。
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