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シン・ウルトラマン テレパしる気持ちが電波が違くても きっとね何か掴んでくれるあなたのことが好き

特撮ファンのみんなごきげんよう
ランガタロウです。

やっと公開されたねシン・ウルトラマン!!!
1年の公開延期を経て色々ありましたがいやー最高だった。
新鮮なうちに感想を書いて行く

もちろんネタバレしているのでまだ見てない人は映画館に行くのです
「善は急げ」私の好きな言葉です。



「シン・ゴジラ」にならなくてよかった

誤解を招きそうなので言っておきますが私はシン・ゴジラもめちゃくちゃ大好きです。

でもそれはそれとして、ウルトラマンがシン・ゴジラみたいになったら嫌じゃない?という気持ちは公開前からありました。
シン・ゴジラは「誰も知らない未知の”生物”が出てきた時 人間はどう右往左往するのか」ということをテンポ良く政治劇を交えてやりましたが。

なにせウルトラマンって宇宙人じゃないですか「宇宙から宇宙人が地球に来た」という話で、そのやっぱり「宇宙人」であのシリアス政治劇したら絶対「シリアスな笑い」状態になりますよね?みたいなこと考えていたので
かなりもっとその言語化が難しいですが「”ウルトラマン(番組)”のリッチ版」がスクリーンに出てきたのが嬉しかったです。

政府がものすごいあっさり宇宙人と条約を結ぼうとするのがあれこれ言われそうですが「6回連続で人類の知恵だけで怪獣撃退 しかも日本政府の力のみで外国は助けてくれない」という最悪な国際関係の中なんだから「代わりになんとかしましょう」という甘い言葉を疑うのは難しい 逆に機嫌を損ねて襲われた時に反撃する力も持っていないだから ねぇ?

絶妙なズラシ シンとQ

映画の冒頭 「シン・ゴジラ」のロゴをぶち破ってシンウルトラマンのロゴが登場する。
これは元々のウルトラマンのOPがウルトラQのロゴをぶち破ってウルトラマンのロゴになることのオマージュだ。
まぁこんなこといちいち書かなくてもみんな知ってるだろうけど 別にただ好きでパロディやってるわけじゃないこともわかるし意図も見える

この後怒涛のように予告では隠されていたウルトラQ怪獣たちの現代CGリメイクたちが大量に登場しとんでもないテンポで人類に退治されていく。
ファンサービスである一方でウルトラQには宇宙人や「宇宙人が送り込んだ怪獣」もいるのだが それらは登場しない

そしてウルトラQパートが終わり禍威獣7号ネロンガに対して人類がお手上げになると初めて「宇宙人」であるウルトラマンが地球に降り立つ。

「未知の巨大生物に人類が右往左往するシン・ゴジラの次 ここからは宇宙人が登場するSFワールドにリアリティラインが移動するぜ!」と言外に伝えてくる。

あと「みんなウルトラQの時と同じデザインなのにパゴスだけ顔が違う」ことが後のギミックにつながっているのも偉い

僕らがあの日見たウルトラマンの豪華版

正直もう少し「真面目な」映画にされてしまうのかと思っていたが想像以上に元のウルトラマンのエピソードを下敷きにまとめ上げたシナリオで、ウルトラマンと怪獣はバリバリ尺を使って戦闘し、空を飛び、光線を撃つ。
八つ裂き光輪まで出してくれたのだから豪華サービスだ、流石にウルトラ水流やウルトラアタック光線なんかは出てこなかったが。

ウルトラマンの”魅力”を抽出してウルトラマンを見たこと無い人に伝えるとなると「大衆」に向けた大ヒット映画にしようと思った時、ウルトラマンが戦う姿や飛ぶ姿ではなく「シナリオ」「テーマ性」とかに持っていかれがちで変なポーズで飛んだり変な光線を使うことは抜かれがちだが、この映画はちゃんと元のシナリオを踏み台にアレンジしながらも しっかり「身長60mの巨人が 同じぐらいの身長のやつらとドッタンバッタン戦う」ことをやってくれるので気持ちが良い

ウルトラマンが空を飛ぶ姿は昔のウルトラマンの飛行用模型を撮ったかのように見えるCGでわざわざ作られている、その時点でオタクとしてブッっと笑ってしまうがその上で「実際に飛行機が音速を超える時の空気エフェクト」などは当然現代のCGがあるからこそ加えられるものであり。

初代ウルトラマンの映像のそれを「ウルトラマンが空を飛んでたらこう見えるものなんだよ!!!!」ということにしてしまうことで 逆説的に「初代ウルトラマンというヒーローがどんなものか」を見せつける
スペシウム光線は結構気軽に連射するし、八つ裂き光輪の方が火力的には上だったりすることをやるのも良い「あぁ、ウルトラマンを見ているなぁ」という気持ちに浸ることができる。

とにかく「ウルトラマン」という映像体験を味わってもらおうというのを感じた

そりゃ見せるだけなら「初代ウルトラマン」をそのまま見てもらえばいいが、友達でも無いオタクでもない人達に初代ウルトラマンをそのまま見てもらうのもハードルが高い

人々に最新作として「シン・ウルトラマン」としてこれを見せることでウルトラマンの面白さを味わってもらいたいというサービス精神が光る

「当時は技術が無かったからこういう映像なだけで 技術があったらこうするはず」といった解釈はせず「初代ウルトラマンはこういう動きをする謎の宇宙人」として描写することを徹底したスタイルには本当に感動する

というか技術の向上でウルトラマンの空中戦というのはめちゃくちゃ進化しており(板野サーカスでおなじみ板野一郎氏による空中戦描写が光る映画ULTRAMANなど) そういった表現をされても逆にウルトラマンシリーズが歴史の中で頑張りすぎたので斬新な映像になり得なかったと思う。

そこを「あの飛行ポーズでないと飛べない」と思えるような形式を作り、墜落する時もあのポーズのまま落ちたりあのポーズのままバランスを持ち直したりする特殊な空中戦を使って楽しませにくる。

初代ウルトラマンという「映像」を見て楽しかったもの、ワクワクしたものを今新しく見るためにはどうしたらいいか リアルにアレンジするだけが正解じゃないこと、あえてそのままリッチにして見せることの楽しさを教えてくれて本当によかった。


不思議な宇宙人 ウルトラマン

初代ウルトラマンでは宇宙警備隊員のウルトラマンが凶悪犯であるベムラーの護送中に逃してしまい それを追いかけて地球に来たことでハヤタ隊員と激突、そして二人は融合する。

変身していない時はハヤタ隊員の人格が、変身したらウルトラマンの人格が表に現れ「一つの命を二人で共有する存在」として描かれた。

一方でシン・ウルトラマンでは、知的生命体の成長を監視する使者であったウルトラマンが明らかに他星系の技術で作られた怪獣の出現に反応し地球に降りてくる。

その際に子供をかばって死んだ神永シンジに興味を持ち、融合をするがその人格はウルトラマンだけのものとなっている

「自分の命を捨てて仲間を救う人間に感動して その姿をコピーする」というのはウルトラマンではなくどちらかといえばウルトラセブンのプロットに近い、ただ今作ではウルトラマン側は人類のことを何も知らない上位生命体として描かれる。

完璧に人間の真似をしているように見えて「それは○○という意味の用法で良いか?」と地球語の意味を聞き返したりと どこかポンコツで可愛らしい。

相棒という言葉を相互に助け合う関係であると確認したら、「助けてくれ」とは言わずに自分が監禁されてる場所だけメッセージを残し「あなた私が助けに来るってわかってたわけ?!」「相棒だからな」とシレッと言ってのける。「そういう言葉があり そういう行動をする」のは知っていても気持ちまでは汲み取れなかったりするポンコツ宇宙人ディスコミュニケーション者として非情に今回のウルトラマンに好感が持てる仕上がりだ。

そんなウルトラマンが最後に「人間のことは結局わからなかった」というのも愛おしい、人間の好きな部分も人間の悪い部分も知っている。その上で人間のことを「好きだ」とか「素晴らしい」なんて褒めてはくれない「人間のことはよくわからかった でももっと知りたいと思った」というのだ、そのために自分の命を投げ捨てて地球を守ろうとする。人間を守るためなら命を捨てても良いと豪語しながら、いざ死が迫ると生きて帰りたいと足掻く普遍的な定命の生命のように命を輝かせるウルトラマン

その姿を外から見たゾーフィが「そんなに人間を好きになったのか」とその態度、行動を「好き」と形容するのがなんとも美しいじゃないですか。

※それはそれとしてここでゾフィーじゃなくてゾーフィを持ってくるのあまりにもオタクすぎて感動の前に笑いがでました。

「この星の生き物はどうしてこんなことをするんだろう」に興味をもった宇宙人が「俺の命は人類のために使い切る覚悟だ」と言うまでになるその直球の気持ちに胸がこうじわーっと暖かくなります。

ありがとうウルトラマン。


最後に

いや毎度お馴染みですが私の感想スタイルだと
「映画の中にこういうシーンがあってぇ(全部説明)でそこを見てこう思ったんですけどぉー」という全部言っちゃうスタイルになるので あれやこれやに触れていないが私の感想はここまでと致します。

大好きなウルトラマンを豪華な映像で映画館で見せてくれる
これはとても幸福でございました。

ではまた次の映画まで ごきげんよう。

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