クリエイティブ・ライティング講座を受講した人たちが、自分たちの創作文章を発表しあう場です。
みんなで作品を投稿しあう場です。
田口ランディ
田口ランディが日々の出来事や感じたことを書いています。
楽譜が読めない音楽音痴でド素人の私・田口ランディが、プロのリコーダー奏者である本村睦幸さんからリコーダーを習い、バロック音楽を演奏するという野望達成までを連載します。本村さんも「田口ランディさんと始めるリコーダー」という記事を教える側の視点から書いています。合せて読めば、きっとあなたもリコーダーでバロック音楽が吹けるようになる……かも。
もうずいぶんと昔のことになるけれど、おのころ心平さんの企画でヒーラーの方たちにワークショップを行ったことがあった。 私が患者役になってそれぞれに問診をしてもらい…
「気の存在を信じていない人が教えている」 鍼灸学校に入学していちばん驚いたことだ。授業中にはっきりと「気で病気なんか治せるわけがない」と言いきる先生がいる。一人…
身体の軸が中心にないとうまく圧が入らない。 指圧の授業で苦戦していたら、新任の松田先生が「こうやって練習するといいよ」と五円玉のペンダントを貸してくれた。 五円…
「これはほんとうに事実なのか?」を問われた。 いつものことだ。言葉を発することができない障がい者の指に触れただけで相手の考えがわかるなんて! ……と、まずはその…
取材をして記事や番組を作る人たちとの、つきあいは長かった。 いまも多少は残っているけれど、だいぶ消えた。
かつてこの山は、ハワイ諸島に浮かぶ火山島だった。 火の女神ペレの島だった。地球歴の遠い遠い昔の話だ。 島は侵食によってサンゴ礁となり、気の遠くなるような時間のな…
コンビニの背後に見える富士山を、最初に撮ったのは写真家の藤原新也さんだと思う。写真集「俗界富士」が送られて来たとき、藤原さんが「オウム真理教をめぐる報道で映され…
重たいものが入って来た。どろっとしたコールタールのような感触だった。一点から注入されたというよりも、波状に点から面へと広がっていくような感じだった。
手が汚れている。 何度も洗っているのに、今日の手は汚れている……そう感じた。物理的に清潔なのに、なぜ汚れているように思えるのか。不可解だ。 きれいだと感じる日もあ…
高校の文化祭のラストと言えば、フォークダンス。 ……と、書くと自分でも「げっ!」と思う。 照れる。そんな時代もあったのだ。夕陽の校庭で手をつなぐ男女。スピーカーか…
消えた。確かにここに置いたのに。緞帳の裏に置いたはずのカセットデッキがなかった。兄に内緒で持ちだしたものだった。文化祭が終わった埃っぽい講堂を探して歩いた。どこ…
3日前、ネットフリックスで「アインシュタインと原爆」というドキュメンタリー映画を観た。 晩年のアインシュタインが日本人記者に原爆製造に関する責任を質問される。彼…
不思議なんだけど、嘘を書くと人は本当だと思い、事実を書くと「これは嘘でしょう」と言われる。小説を書いてきて思う。「作家はありそうなことしか思いつかない。ありえな…
〈ベランダの農学校〉をつくりたかった。 私が自然栽培と出会ったのは、能登だった。羽咋の元スーパー公務員・高野誠鮮さんとは20年来の友人で、彼が木村秋則さんの提唱す…
「文章を書くことで心が安定するのはなぜか?」 〈一般の人に文章を書かせること〉についてこの8年近く試行錯誤してきた。文章講座を開催した当初は、受講者の文章が上達…
1月20日の土曜日だ。イベントがあって東京に出た帰りだった。 夜の熱海駅の構内にその男はいた。いつもは他の指名手配犯と一緒に並んでいるはずの男は、一人で壁に貼られ…
2024年9月7日 09:13
もうずいぶんと昔のことになるけれど、おのころ心平さんの企画でヒーラーの方たちにワークショップを行ったことがあった。私が患者役になってそれぞれに問診をしてもらい、グループに分かれて治療方針を立ててもらうというものだった。その結果がどうだったか……と言うと、なかなか悲惨であった。それぞれに優れた力をお持ちのヒーラーのみなさんであったけれど、グループに分かれて治療方針を発表する……ということで競
2024年8月2日 08:16
「気の存在を信じていない人が教えている」鍼灸学校に入学していちばん驚いたことだ。授業中にはっきりと「気で病気なんか治せるわけがない」と言いきる先生がいる。一人や二人じゃない。そもそも気について話せるムードではない。伝統東洋医療を学ぶために入学した私には衝撃の1年だった。もちろん東洋医学概論や経穴経絡の授業はあるが、コマ数は少なく、勉強する多くが解剖生理、病理学、運動機能に関するもの、……つま
2024年7月10日 18:32
身体の軸が中心にないとうまく圧が入らない。指圧の授業で苦戦していたら、新任の松田先生が「こうやって練習するといいよ」と五円玉のペンダントを貸してくれた。五円玉にタコ糸を通した、ちょっとシュールなペンダントを首からぶらぶらさせて、五円玉が身体の中心で揺れるように指圧の練習をする。するとムダなく圧が入る。「なるほど、これはいい練習になりますね」松田先生は、けっこうお年である。50代後半かも
2024年6月22日 11:08
「これはほんとうに事実なのか?」を問われた。いつものことだ。言葉を発することができない障がい者の指に触れただけで相手の考えがわかるなんて! ……と、まずはその現実に驚く。と同時にむくむくと疑惑の心が生じるのだ。通訳者が瞬時に指先から伝わる文字を読み取る。「あれはウソではないか?」と思う。流ちょうすぎる。通訳者が勝手にねつ造しているのではないか。その疑惑は常に指筆談についてまわる。ゆっくり読
2024年6月18日 16:11
取材をして記事や番組を作る人たちとの、つきあいは長かった。いまも多少は残っているけれど、だいぶ消えた。
2024年5月20日 19:05
かつてこの山は、ハワイ諸島に浮かぶ火山島だった。火の女神ペレの島だった。地球歴の遠い遠い昔の話だ。島は侵食によってサンゴ礁となり、気の遠くなるような時間のなかで海底に落ち、さらに何十万年、何百万年という時間の中で海底のプレートに引っ張られ、太平洋の東の果ての島にぶつかり、隆起して再び山になった。サンゴ礁だった頃の石灰岩が露出した山は白く輝き、それを見た人びとはその姿に神を感じた。やがて草
2024年5月3日 09:15
コンビニの背後に見える富士山を、最初に撮ったのは写真家の藤原新也さんだと思う。写真集「俗界富士」が送られて来たとき、藤原さんが「オウム真理教をめぐる報道で映される富士山に興味をもった」と言っていたのを思い出し、ページをめくったらまず目に飛び込んだのが、あのコンビニと富士山だった。
2024年5月2日 09:31
2024年3月29日 11:54
手が汚れている。何度も洗っているのに、今日の手は汚れている……そう感じた。物理的に清潔なのに、なぜ汚れているように思えるのか。不可解だ。きれいだと感じる日もある。血色のせい? 湿気や乾燥の度合いだろうか。すっきりとして曇りがなく、清々しい手。「よし!」と思える手の日もある。昨日、今日と自分の手が気に入らない。なんだかすっきりしない。よく洗ったし、クリームをすりこんですべすべにもしてみたの
2024年3月7日 22:25
高校の文化祭のラストと言えば、フォークダンス。……と、書くと自分でも「げっ!」と思う。照れる。そんな時代もあったのだ。夕陽の校庭で手をつなぐ男女。スピーカーから流れる音楽は、マイム マイム。この曲がどこの曲かも知らなかった。ちょっとエキゾチックなアラビア風のメロディー、軽快なテンポ。今どきの高校生は絶対に踊らないだろうけれど、60年代〜70年代の高校文化祭では定番だったんだよ。マイム マイ
2024年3月2日 08:52
消えた。確かにここに置いたのに。緞帳の裏に置いたはずのカセットデッキがなかった。兄に内緒で持ちだしたものだった。文化祭が終わった埃っぽい講堂を探して歩いた。どこにもなかった。置き忘れたとは思えない。忽然と消えた。先生に相談した。美術部の顧問の山下先生は「ちゃんと探したか?」と言っただけ。関わりたくないみたいだった。ちゃんと探したさ。兄になんて言おう。当時としては高価な機械だった。ちょっとだけ、
2024年2月20日 10:46
3日前、ネットフリックスで「アインシュタインと原爆」というドキュメンタリー映画を観た。晩年のアインシュタインが日本人記者に原爆製造に関する責任を質問される。彼は否定するが……唯一の間違いとして「ルーズベルト大統領に宛てた手紙に署名した」ことを語る。そのシーンに挿入されたモノクロ写真、アインシュタインの隣に写っていたのがレオ・シラードだ。でも、この映画の中にレオ・シラードの名前は一度も出て
2024年2月16日 17:45
不思議なんだけど、嘘を書くと人は本当だと思い、事実を書くと「これは嘘でしょう」と言われる。小説を書いてきて思う。「作家はありそうなことしか思いつかない。ありえないことが起きるのは現実の中だけだ」と。そうなんだよ、私が思いつくようなことは誰でも思いつく。その程度のイマジネーションしか持ち合わせていないんだ。現実こそ荒唐無稽だ。ドラマ「沈黙の艦隊」を観た。シーズン1で8話まで観た。観終わって頭に浮
2024年2月1日 14:30
〈ベランダの農学校〉をつくりたかった。私が自然栽培と出会ったのは、能登だった。羽咋の元スーパー公務員・高野誠鮮さんとは20年来の友人で、彼が木村秋則さんの提唱する「自然栽培」を本格的に広める手伝いをすると言う。さすが高野さんのやることは違う。当時、私たちの認識では「農協は自然栽培の敵!」だったのに、高野さんは羽咋のJAと協力して自然栽培塾を始めたのだ。物事を逆手に取って成功させていく。高野さん
2024年1月31日 16:55
「文章を書くことで心が安定するのはなぜか?」〈一般の人に文章を書かせること〉についてこの8年近く試行錯誤してきた。文章講座を開催した当初は、受講者の文章が上達すればいいな、と思って楽しく書いてもらう工夫に苦心した。うまい文章とはどういう文章か?「個性的で自分らしい文章」「テーマが明確でリズム感がある」「視覚化ができていて情況がありありと浮かぶ」「五感で書いている」「感動が伝わってくる」…
2024年1月27日 14:47
1月20日の土曜日だ。イベントがあって東京に出た帰りだった。夜の熱海駅の構内にその男はいた。いつもは他の指名手配犯と一緒に並んでいるはずの男は、一人で壁に貼られていた。あ、今日は桐島聡は一人なんだな、と思った。珍しいな。指名手配犯の顔写真を見る癖がある。つい見てしまう。行方不明の人もそうだ。警察署に掲示してあり、じっくり見てしまう。なんでかな。そういえば、初期の私の小説は「突然人が消える」