TBSラジオ パックインミュージック編 九年目のもう一つの別の広場(上) 野沢那智・白石冬美版
ほんの数ページの企画コーナー以外は投稿作品で押し切っている上下二巻
この人たちはラジオの投稿にどのぐらいの時間を割いているのだろうかと感心させられる力作ぞろいです。
「エマニエル夫人を観た後で」も入っています。
目次を見ただけでもなんとなく雰囲気は伝わりますよね。
この当時のメイン投稿者は、現在の60代中盤から後半でしょうから、世の中には若者に説教する資格のあるオトナはもうほとんどいないと言ってよいでしょう。
結局やっていることはさして変わらないね。
巻頭にはイベントの様子のリポート。
サロンのオフ会とか、ファンイベントとか、SNSも当時のラジオ深夜放送も人とのつながりはあまり変わらないような気もします。
でもやっぱり何かが大きく違うのですよね。
変わらないようで、投稿作品を読んでいるとなにかが違うのですよね。
パックを終わらせたとされる「ビートたけしのオールナイトニッポン」第一回の放送冒頭、たけしさんは高らかにこの番組はリスナーのものではなく自分のものであると宣言しました。あの時が若者の深夜放送の主従関係が変わった瞬間だったのでしょうか。
そこは若者のための解放された時間で、さまざまな若者を主役とし青春群像を描きだした深夜放送が、強烈なパーソナリティの元に集うサークルに変わっていったのです。
80年代前夜の若者の姿が浮かび上がってきます。
そんな一冊。