ピオレドール受賞の慶事をきっかけに山野井泰史の本を取り出してみた。
「ソロ 単独登攀者 山野井泰史」(丸山直樹)
先月末に山野井泰史のピレオドール受賞がニュースとなった。
大変なことである。
90年代のある時期、山岳スポーツ関連について取材や企画をしていた。
まぁ、ちょっとかじったぐらいだったが。
クライミングは一般のスポーツファンにはなじみが薄く、派手で名の知れた登山家が一流と思われがちだが、登山界の人々に聞くとまったく違う評価があることを知った。登山家や専門家たちに高く評価されていた数人の中の一人が山野井泰史だった。
若き日の山野井にフォーカスしたノンフィクション「ソロ」は、98年に出版され現在でも文庫版で手に入るが、単行本はなかなか目にしないと思うので載せてみた。
思い出したことの断片をいくつか。
山野井の存在を最初に教えてくれたのはマッキンリーで亡くなった山田昇を取材していたディレクターだった。その人は「山野井はクレイジーなんだよ」といった。
山野井に会ったことはないが、平山ユージには取材で会ったことがある。実力者であった二人はよく比較されていたが、実直で明るいナイスガイの平山は取材対象として魅力的だった。その一方で、会ったことのないクレイジーな山野井がどこか気になっていた。
もう登山にかかわる仕事から遠ざかって久しいが、ついに山野井が世界的に評価され、世の耳目を集めたことはうれしい。
当人や登山を知らなくても、本から知ることもできる。
山岳関連の読み物はドラマチックで面白い。
山岳物などというと、なかなか手を出しずらいかもしれないが、意外に自然と人間という普遍的なテーマなので、登山を知らなくても読めてしまう。
ガストン・レビュファの「山こそ我が世界」などは手に入りやすいし、名著だと思う。