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愛される商品を生む秘訣は、実はシンプル。ブランドとファンが相思相愛になる方法。<「みんなでつくろう企画」座談会/前編>


アパレルブランドstudio CLIPの、ユーザーと一緒に新しい定番商品を開発するプロジェクト「みんなでつくる HELLO! iDEA HELLO! New basic」、通称『みんなでつくろう企画』。


ブランドと、ブランドのファンと、わたしたちラナエクストラクティブ (通称:Rex)。その壁を飛び越え”みんなでつくる”を体現し、ブランドとファンのつながりをより強くしたこのプロジェクト。

Rexのプロジェクトチーム3人に、「ファンに愛される商品企画はどう生まれたのか?」「いろんな立場の人たちがひとつのチームになれたのはなぜ?」など、プロジェクトの裏側を聞いていきました。


今回は全員在宅勤務期間のため、オンライン座談会です!

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[左から:今冨紗和子(アートディレクター)、清水千晶
(プロデューサー)、木下奈緒(プロジェクトディレクター)]


ユーザーも一緒に!みんなで商品をつくる発想はどこから生まれたのか?


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編集部:今回は、みんな在宅勤務中なので、オンライン座談会です!よろしくお願いします。

まず最初に、studio CLIPさん(以下: CLIP)とは長いお付き合いだと思うんですが、プロジェクトは最初どんな感じで始まったのでしょうか?


なお(DR):最初は単発のキャンペーンだったんですよね。

共創マーケティングが注目され始めた頃に「お客さんも巻き込んで服をつくってみたい」というご相談がまずありました。そこから何点かお客さんの意見を取り入れて服やバッグをつくってみて、「これを年間プロジェクトでやりたいので、手伝ってください」とお声がけいただいた感じです。


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[過去プロジェクト がまぐちバッグの座談会]


清水(PR)
:そうだね。あと年間プロジェクトになるにあたって、「ファンの方々みんなに愛されるようなCLIPならではの定番商品を一緒につくりたい」と伺ったんです。

お客さんの声を取り入れた商品ってスペシャルアイテムとして企画されることが多いけど、これはベーシックで長く着れるアイテムにしたいと。そうしたコンセプトから、プロジェクト名の「みんなでつくる HELLO! iDEA HELLO! New basic」が生まれました。


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[お客さんの声を取り入れた商品づくり]


編集部:なるほど。ファンに愛される商品をつくる、ブランドのより強いファンをつくるというのを目指してやっているんですね。


なお(DR):そうですね。そうして最初に作ったのが「春のピクニックボーダー」というボーダーカットソーでした。丈の長さや襟の形、生地の素材感などを細かくお客様に伺い、そこにCLIPチームならではのアイデアをプラスする。Rexで作ったWebサイトではお客様の声やCLIPさんのこだわりを見やすく丁寧に説明しました。そうしたら先行予約が1日でほぼ完売したんです。

CLIPさんの会社のECでもデイリーランキングの1位・2位をボーダーカットソーが独占し、さらには日経新聞に取り上げていただきました。社内で話題になり、他のブランドの方から声をかけられることもあったそうです。


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[→実際の記事はこちらから]


今冨(AD):そこで私たちも、「丁寧に説明すれば届くんだ」って実感できたんです。その後もリネンシャツ、トラベルトートバッグ、ビッグTシャツ、フーディーなど様々なアイテムを作って、今2年目に突入したところです。

途中で「TOP STAFFと作った」という派生企画もできましたね。


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今冨(AD)
:「TOP STAFFと作った」企画は、STAFF BOARDというスタッフコーデコンテンツの人気スタッフと作ったアイテムで。ショップスタッフさんは、普段からお客さんの悩みを聞いて、どういうスタイリングが合うかとかをよくご存じなので、その人たちとつくるものはお客さんが欲しいものに直結するよねっていうところで立ち上がった企画です。

実際、参加したスタッフさんから「お客様はこういうところを気にされるので」という意見がたくさん出ていました。私たちともお客さんとも異なる着眼点で、ページを作りながら感心しましたね。



お片付けから生まれた!?シチュエーションまでみえる商品企画。


編集部:プロジェクトがブランドとお客さんだけじゃなく、ブランドスタッフさんとお客さんの接点などにも広がっているのが嬉しいですね。


清水(PR):そうですね。クライアントさんとの関係で言うと、プロジェクトが始まってすぐの頃は、私たちがお会いするCLIPの方はプレスチームだけだったんですね。ただ、いくつかアイテムを作るうちに、プレスチームの方から「商品企画を考えるチームのデザイナーやMDと直接話した方が早いよ」って仰っていただいて。

そうすると、最初はアイテムが決まってからお話を聞いていたんですけど、さらに前の段階から共有いただけるようになってきて。「みんなでつくろう企画」商品第4弾のビッグTは「ビッグTにするか迷っています」っていうところから伺ってましたよね。


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今冨(AD)
:あ、そうだ。最初全然ビックTじゃなかったですね。


清水(PD):そうそう。でもプロジェクトで開催したイベントの片付けをしていたときに「Tシャツ、メンズのサイズ感がおしゃれに見えつつ楽チンで良いらしいですよ」みたいな雑談になり。

アイテムを決定するのはCLIPさんですが、そういう雑談の中で「夏に小さい子供がいる主婦の方に着てもらいたいから、ゆるいけどお洒落に見えるTシャツ」ってことでビッグTを出すという商品企画の裏側が分かるようになってきて。じゃあ説明の順番や撮影の方法も合わせようとか、一貫した見せ方ができるようになっていったのかな。


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編集部
:雑談からヒントを得ることもあるんですね。関係性がすごく見えてきた気がします。


今冨(AD):「みんなでつくろう企画」以外のCLIPさんのプロモーションやSNS、店頭ツールなども制作させていただいていたので、本当にコミュニケーションをとるタイミングが多かったんですよね。定例で週2回は会っていたんですよ。

それに加えて撮影やイベントがあったりもするし、そういう中でRexが何を作れば効果的かお互い分かるようになってきたのかな。


清水(PR):そうですね。だんだん任せていただけることも増えてきている気がします。コピーも褒めてもらいましたよね。


編集部:商品のネーミングとかですか?


清水(PR):商品名だけじゃなく、キービジュアルに一言入れるショルダーコピーとか、ほんと些細なところなんですけど。お客さんもいろんな商品を見比べているから、ビジュアルがなんとなく素敵なだけじゃもう購入しなくなっていて。「この商品はこうだからすごくおすすめ!」っていうのが短いワードで入っていると伝わりやすい。


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ただ私たちはコピーを書こうと思って書いていたわけじゃなく、デザインしていく中で今冨さんが「ここに何か一言あったほうがいいな」と思ってデザインの流れで入れてた要素だったんですね。


結果的にそういうのを評価していただけて、デザインとコピーもお願いしますって言われるようになりました。



LEAPポイント1 実はずっと前から両思いだった!お互いの想いを見える化。

編集部:Rexは「LEAP!」(「跳躍」という意味。)をスローガンに、これまで想像もしなかったワクワクする体験やものづくりを目指していますよね。

このプロジェクトのLEAPポイントを3つあげるとしたら、なんでしょう?


なお(DR):CLIPさんってお客さんの意見にすごく真摯に向き合っているんですよね。例えば去年作ったリネンシャツでシワが気になるというレビューが多かったから、今年はシワが目立たないようにするだとか。でもどこがお客さんの声をもとに変えた部分か名言していなかった。

それを改めてちゃんと説明しようということで、ボーダーカットソーのWebサイトでは事細かに書いたんですよ。それが結果お客さんの理解に繋がった。


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編集部:なるほど。お客さんはブランドがしっかり向き合ってくれてるというのを感じてくれたんですね。


清水(PR):うんうん。ブランドの人はお客さんの声を聞いてものづくりをするのが当たり前だと思っているので、あえて言っていなかったんですよね。お客さんはレビューを一生懸命書くけど、本当に見てもらえているのか分からなかった。

お互い向き合っていたけど伝わっていなかった部分を、私たちが第三者的な位置で整理して、みなさんの声を反映した結果どうなったのかもデザインで表現した。


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[お客さんからのレビュー]


プロジェクトの名前がお客さんのレビューに出てくるようになったんですよ。お客さんに自分の声が反映されているっていうのを感じてもらえたからシリーズとして定着したし、私たちが入った意義があったかなと思います。



LEAPポイント2 ブランドの翻訳者になる

なお(DR):あと、CLIPさんに商品のポイントを聞くと、毎回たくさんのこだわりが出てくるんですよ。でも全部並列で書くと読みづらいし、専門的な話もあるから、どう言葉にするか・どの順で見せるかを私たちが考えています。すでにあった想いをどうやったら伝えられるかっていうことですね。


今冨(AD):そうですね。例えば、Webサイトでは変えたポイントや商品説明に関するエリアを大きくしたり、Q&Aを設けたりしています。そうしたところ、CLIPのショップスタッフさんからも分かりやすいと思っていただけたみたいで、お客さんへの商品説明の際に参考にしてくれているみたいです。


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LEAPポイント3 つくる人、届ける人、受けとる人がみんな同じテーブルを囲んだ

なお(DR):あとなんだろう....個人的には、そんなにLEAPするぞと思っていなくて、当たり前のことを丁寧にやったらちゃんと届いたって言う感じがするんですよね。

編集部:かっこいい言い方ですね笑。


みんな:笑

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清水(PR):でもほんと、地道ですよね笑。


今冨(AD):お客さんのアンケートとかも、全部見てますしね。


清水(PR):うん、読んでる。LEAPポイントで言うと、お客さんと、ものをつくるところと、届けるところが全員同じテーブルで話ができている。普通縦割りで分断しちゃうところだと思うので。


なお(DR):CLIPさんが良いことも悪いことも、お客さんの反応を全部ストレートに教えてくれるんです。RexもCLIPさんもフットワークが軽いので、思ったような反応がなかった時もさっとリカバリーのコンテンツをつくったらちゃんと反応が返ってきて。


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他の案件だと状況共有がなかったり、つくって終わりなこともあると思うんです。でもこのプロジェクトは全部共有してもらえるからこそ、一緒に走っていける感じがしますね。


清水(PR):そうですね。また少し話戻っちゃうんですけど、「生地これとこれで悩んでるんですけど」とか、そういうところから話を聞いているから、物がいいっていうのをわたしたちも信じているんですよ。

「あのリネンシャツ生地めちゃめちゃいいから知ってもらいたい!」って私も今冨さんもなおさんも本当に思っているから、もしお客さんの反応が良くなかったら「伝わっていないからもう少しこういう要素書いたほうがいいね」ってすぐにアップデートしていきます。


編集部:ファッション業界ってけっこう縦割りのイメージなんですけど。それを、お客さん含めてひとつのテーブルに乗ったっていうのが大きい気がしますね。

あと、素朴な疑問で。状況共有していただけると、お客さんの反応とかプレッシャーになることもあるのかなと思ったんですが、それもなくみんなで一丸となっている感じがしていて。そんなチームってどうやってつくれたんですかね?


清水(PR):私は本物のエンドユーザーに会えたことが大きいですね。プロジェクトの企画の中で座談会をやったんですけど、そこで直接CLIPを着ているお客さんを知ることができて。「本当にあの人たちが買いたいと思うだろうか?」という軸で話すことができるようになりました。


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[みんなでつくろう企画 座談会]


なお(DR):わたしは商品開発チームと会えたことですかね。そんなに想いが詰まっている商品をどうしたら届けることができるだろうか、とより熱をいれて考えられるようになりました。

お付き合いも長いので、なんとなくCLIPさんの感覚も分かるようになってきた気がします。


今冨(AD):そうですね。最初の頃は私も分かり切れていなくて、「なんかちょっと違うんだよな」というお戻しもあったんですよ。デザインに対して「わくわくしない」って言われて、「わくわくってなんだろう!?」って思ったり。

でも、考えていることや、やりたいことを聞いていくうちに、だんだんと感覚が揃ってきたかなと思います。



▼後編につづく


ライティング・編集 :しまだゆうな(広報)


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