【レポート】4/26 地域の人事部カンファレンス2024 in 静岡岐阜(DAY1)
4月26,27日の2日間、アライアンスネットワークの視察研修「カンファレンス」を開催しました。
本レポートでは「地域の人事部カンファレンス2024」の様子をご紹介します。
昨年11月に行われた視察研修から名前を変え、今回からカンファレンスと題して行いました。昨年の様子もnoteに掲載していますので併せてご覧ください。
昨年11月の様子はこちら⇩
はじめに:地域人事部アライアンスネットワークとは
全国の地域企業では人口減少による人材不足や採用/人材育成ノウハウの欠如、早期離職、事業継承者の不在、求職者とのミスマッチなど数多くの問題を抱えています。こうした問題を地域ぐるみ、まちぐるみで面的に対応すべく全国で立ち上がった取り組みが「地域の人事部」です。
「地域人事部アライアンスネットワーク」は、各地で立ち上がった「地域の人事部」の取り組みを横でつなぎ、地域の人に関する問題を包括的に解決する互助団体をめざし2022年4月に設立しました。
これまでの活動は、定期的に開催する地域の人事部団体の取り組みや実践事例を共有するオンライン勉強会の他、アライアンスメンバー(加盟団体)のノウハウを集約したレポート『人や企業の課題を地域ぐるみで解決する「地域の人事部」をはじめよう』を制作し、昨年8月に発行しました。
今回は、共創を生むパートナシップ -地域の人事部をみんなでつくり、ともに継続できるか?-をテーマに行われました。
各地の取り組みを共有し今後の活動に活かすこと。交流を通してアライアンス(同盟・連携)としての関係性を深め、相互扶助のコミュニティ形成をすることなどを目的に1泊2日で実施。1日目は静岡県静岡市を訪問しました。
視察会場:「コラボレーションスペース Takt」について
一般社団法人草薙カルテッドが地域住民・学生・企業等、多様な立場の人々の連携を生み出す場として、2021年4月に「コラボレーションスペース Takt」をオープンしました。
静岡市の草薙駅前にビルの3階にあり、草薙カルテッドの賛助会員になることで利用することが出来ます。
「やりたいこと」や「困りごと」などが集まる、家の縁側のような場所になっており、課題解決や企画の実現に様々な形で協力してくれる方を繋いでいく役割を担っています。
運営には、運営チーム「Con-Takt」として学生も参画しており、若者が地域に関わるきっか けにもなっています。
イントロダクション
今回のカンファレンスはアライアンスネットワーク代表、山本のイントロダクションから始まりました。
テーマ、そしてその裏にある背景などを確認しました。
そしてイントロダクションの最後にはアイスブレイクを行い、和やかな雰囲気でカンファレンスが始まりました。
事例紹介
一般社団法人草薙カルテッド
まず最初に草薙カルテッドの小林さんから共有頂きました。
草薙カルテッドが拠点とする草薙は静岡県の静岡市清水区にある地域です。
小中高、そして大学2つ、もある文化、教育面で恵まれている地域です。
草薙カルテッドから徒歩1分の草薙駅は静岡県で4番目に乗降者数が多く、様々な人が訪れる地域となっています。また、人口に関しては静岡県で唯一増加している地域となっています。
先程ご紹介したTaktの運営母体でもある草薙カルテッド。
地元まちづくり検討会議で策定された「まちづくりビジョン」の実現を目指し、まちづくりの担い手として、産学官民と連携し にぎわい、魅力度、住みやすさアップ、地域課題の解決等 まちづくり活動の相乗効果を生み出す団体です。
そんな草薙カルテッドはJR草薙駅南口イベント広場・北口芝生広場の管理も行っています。
小林さんのお話もあった足湯プロジェクト。学生と地域の企業のコラボレーションでは地元の不動産会社が足湯の枠を作り、風除けの車も地元の車会社からのレンタルなどを行い企画を完成させました。
地元の会社が学生のやりたいことをサポートして企画を完成させる地域を巻き込む、これが草薙カルテッドの企画です。
予算は草薙カルテッドの運営資金(賛助会員の年会費など)から出ています。
このような企画を学生主体で作っていけるこれが草薙カルテッドです。
圧倒的巻き込み力
草薙カルテッドは立ち上げに際し、商店街や自治会の重役を据えました。
そのため、商店街や地域を巻き込んだ地元主体の街づくりを実現しています。
また、草薙カルテッドは行政だけでなく沢山の民間企業が賛助団体として連携していることが特徴にあげられると思います。
学生にとって協力してくれる大人や地域の企業がある環境は、とても希望になると感じました。一度就職で草薙を離れても街のビジョンが明確になっていること、会社を知っているということ、同世代のつながりがあるということ、それは街に戻りたくなる大きな理由になると思います。
一般社団法人小布施まちリノベーションHUB(長野県小布施町)
続いては小布施まちリノベーションHUBで理事を務める日高さんからお話いただきました。
小布施町は長野県で一番小さい町で、町は5キロの円でおさまるコンパクトさですが、その中には栗菓子をはじめとする産業と歴史的な観光資源が充実した街です。
そんな小布施町になぜ地域の人事部が必要だったのか?
企業側
・素敵な仕事をしているのに社員を採用できない、またすぐやめていく
学生側
・いい町だけど働く会社がない
このような現状があったから。
小布施まちリノベーションHUBはこのような現状を打破するため立ち上げられました。
主な事業内容はまちづくり視察・研修、関係人口創出、教育・人材育成事業などです。今回はその中でも3つの具体例をお話いただききました。
①ひとづくり勉強会
「この会社ではたらきたい!」と思われる企業をつくっていくために、経営者が集い、実践の中での知識や悩みを共有、またセミナーを通して学び合うプログラムです。
多くの企業が「人材の育成と確保」という課題を抱えています。
このプログラムを機に採用の仕方を変え2名の採用に成功した企業もあったそうです。
②まちの同期
小布施の企業で働く若手社員の方を取り巻く環境について話を聞くと、社外での出会いが少ない、悩みを相談できる相手がいない、働きがいを感じにくい…などといった声が聞かれたといいます。こういった状況では、社員の方が企業にも地域にも定着しないのではないかと考えました。
「まちの同期」では、まずプログラムに参加することで、企業、業種・職種、年代など「わく」を超えて「想い」を分かち合い「はたらく」ことについて一緒に考え、「仕事」を通じて実践していく「同期」ができます。
同期と「はたらく」ことの価値観や想いを探り、言葉にして伝え合うことで、自分の大切にしていることがより明確になります。その想いを自分の職場、仕事で発揮していくことで「はたらく」のやりがいや楽しさの実感につなげていくプログラムです。
また、地域のなかに同期が出来ることは、社外に悩みを相談できる仲間ができるということで、離職率の減少にも影響を及ぼすと考えられます。
③じぶん・しごとLAB
小布施町はどんな想いでつくられているのか、そこで働く先輩社員(「まちの同期」メンバー)たちはどんな想いを持っているのか、その人たちと語らうことで自分自身の想いと仕事について考えるプログラムです。
学生にとっては小布施の仕事やそこで働く人を知る、また、自分を知ることで将来についてより深く考えるきっかけになります。
また、まちの同期のメンバーにとっては、価値観や想いを伝える実践の場となります。
②と③がそれぞれ単独で終わらずに相互に作用しあっているのが、学生、若手社員でとどまらず今後採用に結びつくなど良い相乗効果を生むのではないかと感じました。
そして最後は日高さんが感じている今の問い⇩に関して参加者で考えました。
・街が採用の面で都会の企業より不利な条件の前提にたって、企業にも学生にも投資をしていかなければならないのではないか。
・ワークキャリアとライフキャリアを等価値にみて、8時間でできない自己実現をサポートしていく姿勢を企業側がとるべきではないか。
そのような意見が出ました。
沢山の方がうなずきながら問いと意見を聞いていたのが印象的でした。どの地域にも当てはまる問題にグループワークでは沢山の意見が交わされていました。人事の問題は様々な面が複合的に影響しあって解決していくことを再認識しました。
ディスカッション(特定非営利活動法人ESUNE)
最後は草薙カルテットと同じ静岡県で地域の人事部を展開する特定非営利活動法人ESUNE(エスネ)の代表理事を務める天野さんからテーマをいただきディスカッション。
地域の人事部の地域人事戦略ってみなさんどう考えますか?
このテーマを静岡エリア、小布施エリアにわかれグループワークで考えました。
静岡エリア、小布施エリアの共通で上がったのは『ビジョンの重要性』
街を巻き込む、共感性の高いビジョンを作ることが求められるという点でした。地域ぐるみで人事問題を解決していくうえで沢山の企業に共感してもらえるようなビジョンは必要不可欠です。今回はビジョンの作り方までは時間の関係上深められませんでしたが、ビジョンを作るところから民間企業を巻き込むなど様々な施策が考えられそうです。
そして懇親会へ
鹿島屋
懇親会では静岡の海の幸を料理を堪能しました。
一日を振り返りつつ、地域の課題や今後の実践に向けた話をしました。
会話が弾み、終始和やかな雰囲気で懇親会が進みました。
2日目は岐阜県へ移動、カンファレンスは続きます。こちらはDAY2の記事でご紹介します。