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【レポート】11/2「地域の人事部」視察交流研修会DAY2 in 八尾

11月1,2日の2日間、アライアンスネットワークの視察研修を開催しました。本レポートでは視察の様子をご紹介します。

DAY1塩尻はこちらからご覧ください

DAY2は大阪府八尾市にあるみせるばやおに会場を移し、視察交流研修を行いました。


前日の塩尻のメンバーも帯同。特急しなのを使い名古屋へ、東海道新幹線で新大阪を経由し八尾市へと移動。片道約4時間の電車の旅です。

特急しなのの車窓から見える秋の長野の山々

視察会場:「みせるばやお」について

みせるばやおは近鉄八尾駅前の商業施設「リノアス」8Fの催事場の跡地を改装し作られたスペースです。

多彩な「ものづくりワークショップ」を通じて地域貢献を行うと同時に、ものづくりの魅力、ものづくりを担う企業の魅力を発信していく拠点となっています。

近鉄八尾駅前の商業ビル「リノアス」
このビルの8Fに入っています

BtoBで仕事をしている製造業の企業とってはお客さんと接することが出きる貴重な場となっており、カフェ・展示スペース・加盟企業のアンテナショップの他、加盟する会員企業は研修や企業説明会等で活用されています。

タカヨシジャパンの高島さんが運営されるカフェも入っています

中小企業1社では持つことの出来ないスペースであり、各社のアイデアや技術を共有し、魅せ合い掛け合わせることで生まれるイノベーションをめざし運営されています。

当日はこのみせるばやおを会場に、事例発表・ワークショップを行いました。

ファクトリズムに合わせて作品が展示されていました

事例紹介

八尾市の取り組み

はじめに八尾市魅力創造部産業政策課の後藤部長よりご発表いただきました。
八尾市は大阪市の東に位置している全国有数の「モノづくりのまち」。製造業に関わる事業所は3200を超える事業所があります。

地場産業として有名な歯ブラシをはじめ、金属製品、電子機器、情報通信技術に関連する最先端技術など、多彩な業種や多くの事業所が集積した地域です。
「今治タオル」や「倉敷デニム」といった特定産業を基軸とした企業群ではないため、一見するとバラバラでありまとまりがなさそうな印象がありますが、競合となる同業種が少なく取引先が異なるからこそ、お互いの商いを支援しあう協力関係が生まれているそうです。こうした関係性が土壌となり、企業同士の共創が起こっていると伺いました。

産業の未来を担うであろう子ども達にモノづくりの魅力を伝えるため、2017年11月にプロジェクトが発足。翌年の5月に「みせるばやお」という団体を立ち上げ、8月には先程紹介した施設・みせるばやおが誕生。小学校の社会見学の受け入れや近畿大学と連携し商品開発やインターンシップ受け入れに取り組むなどの結果、八尾市の企業に就職した若者も出てきています。

なかでも商人(あきんど)のまち・大阪らしい取り組みと感じたのは、地域企業を知ってもらうための企画として立ち上がったYAOKONTONという事業です。

八尾市内外の事業者とクリエイターが協働する無限の可能性を秘めたモノづくり共創プロジェクトであり、異なる視点を持ったモノづくりの奇才が混ざり合い、これまでにない価値を生み出す取り組みとなっています。

事例を1つご紹介すると、菊水テープという道路に引く白線テープを製造している企業では、クリエイターとコラボレーションし人の目が描かれたテープ「見てるぞテープ」をつくりました。

一見すると何も使い道がなさそうな”遊び”のような製品に思えますが、実はお店の壁やPOPなどお客さんの目につくところに貼ることで、万引き防止効果を期待しているとのこと。自由な発想から生まれたユニークな製品をきっかけに企業の既存製品を知ってもらうなど、認知拡大にも一役買っているように感じました。こうした取り組みも功を奏し、ふるさと納税も順調に増えているそうです。

2025年に開催される大阪万博では、八尾市は大阪府自治体として唯一パビリオンを設けることとなり、「まちこうばのエンターテインメント-みせるばやおモデル-」として世界に発信していくビジョンも伺いました。

お笑い・エンターテインメントのまち大阪らしく”遊び心・楽しさ・おもしろさ”という価値観を中心に取り組まれているのが独創的で、他の産地が八尾市から学べる部分がたくさんあると思います。

こうばの人事部(株式会社タカヨシジャパン)

続いて八尾市の製造業であり、アライアンスメンバーでもある株式会社タカヨシジャパンの高島さんより「こうばの人事部」の取り組みを発表いただきました。
「中小企業1社でなしえないことを同じ志を持つ企業同士で団結することにより、地域で人材を育て、活躍できる環境を整える。」をコンセプトに株式会社タカヨシジャパンの高島社長が立ち上げました。

みせるばやおを拠点に活動し、30社が週1回アトツギ交流会を開催するなど、人事面の課題を共有し地域の中小企業同士の横の繋がりを強化しています。この繋がりから後ほど紹介するFactrISMというオープンファクトリーイベントも生まれたといいます。

高島さんのお話しにあった「危機感だけだと企業は動けないし集まらない、楽しさで集まるコミュニティが長く前向きに人事の問題に取り組むために必要なのではないか」という言葉が印象に残りました。

こうばの人事部では、みせるばやおと八尾市と連携し、採用・定着とキャリアアップの3点に目を向けモノづくりに関心ある学生に定期的に情報を発信できるコミュニティ作りを行っています。

早期離職防止のための地域同期を作る合同研修会、中小企業の社長とざっくばらんに飲んでお互いを知り合う学生に向けイベント・架け橋バー、広報が手薄な企業を対象に学生の広報勉強会とセットで企業PRを経験できるインターンシップを作るなど、モノづくり企業の環境改善やイメージを払拭する取り組みを数多く行っています。地域全体で若者を支える・育てる仕組みはまさに地域の人事部の根幹でもあります。

NPO法人G-net

参加者からの発表では、はじめに岐阜県を拠点に活動するNPO法人G-netの田中さんよりご発表いただきました。

地域と人をつなぐコーディネートや企業の人材に関する課題解決の仕組みづくりに長年取り組んできたなかで、採用リソース(予算・人員)とノウハウがないこと、コロナ禍以前からあった時代の変化への対応が地域中小企業の課題であるといいます。

「中小企業に意欲ある若者が入社したいと思うためには何が必要か?どうやったら学生が就職したいと思うか?」そんな問いに向き合うなかで生まれたのがホンキ系インターンシップふるさと兼業といったサービスです。

経営者ひとりでは解決できないからこそ、経営者と二人三脚で会社を変えていける外部人材=ミギウデとなる人を入れ、インターンや多様な働き方で地域中小企業の課題解決を支援してきたといいます。

複数企業取材型プロジェクト「シゴトリップ」という取り組みでは、インタビューに関する事前勉強会を受けた学生がインターンシップを兼ねた企業の一日密着取材に参加し、社員の話を聞くなかで相互理解を深めていくもの。

振り返りと合わせて1週間のプログラムであり、取材と同時に学生から見た会社の雰囲気、働いている社員の評価など10社まとめて行われ、聴き取った内容をアセスメントレポートとして可視化し、他の企業との相対評価が見えるようにしています。他社と比べて自社のどこに課題があるかが見えることで採用力向上と定着支援にもつながっていきます。企業・学生に双方メリットがある事業であり、お互いに変化成長していく仕組みと感じました。

山形県最上総合支庁地域産業経済課「オールもがみ」

続いて山形県最上総合支庁地域産業経済課の坂本さんよりご発表いただきました。

DAY1でも伝えたように、最上地域の高校生は卒業後約7割が進学、就職時には約8割が地域外に出て行ってしまっているという現状があります。この問題を解決すべく小中高校、企業、行政、ハローワークなどを巻き込んだ協議体が「オールもがみ」となります。

最上地域にどんな企業があるかを認知してもらうところからはじまり、職業体験、企業見学バスツアー、会社の垣根を超えて繋がる地域同期を築く「ルーキーズカレッジ」など、小学生から新社会人になるまで各世代に合わせて切れ目なく支援するプログラムを行ってきています。

企業側も設けられた機会を最大限活かすため、自社の魅力を効果的に伝えられるようにする「シゴトの魅力伝え方研修会」も企画開催しているとのこと。
今後は大学生進学者向けたアプローチ強化、企業の採用力・情報発信力強化、保護者の地元企業への理解の促進、若者が住みやすい・回帰しやすい環境整備にさらに力を入れていきます。
学生、新社会人、保護者そして企業側を巻き込んだオールもがみは、それぞれの出来ることや強みを理解し、様々な目線で人材に関する問題に取り組んでいる事業と感じました。

交流ワークショップ

事例発表のあとは視察交流研修参加者全員でOST(オープン・スペース・テクノロジー)という手法を使い、解決したいテーマがある方が中心となって、2日間学んだことを踏まえ現場で起きている課題とその解決方法についてグループをつくり協議を行いました。

企業、行政、NPOとお互いの地域と立場が違うため、異なる視点からアドバイスがもらえ、各グループとも収獲があったようです。

懇親会【551蓬莱レストラン パンチャン店】


最終日の懇親会は関西お土産グルメの大定番、肉まんで有名な551蓬莱のレストラン、パンチャン店にて。

参加者の皆さんで2日間を振り返りながら意見交換をし、現場に戻ったあとにどのように活かしていくかについても語られていました。

みなさんの充実した表情からリアルで繋がり対話する交流の意義を改めて実感しました。それぞれの土地でまた「地域の人事部」が動きだします。

視察交流研修を通じて地域を超えた繋がりと協働関係が築かれ、参加者の地域で新たな地域の人事部が誕生することを願っています。

番外編:DAY3 FactorISM~アトツギたちの文化祭~

視察交流研修会の行程はここまででしたが、3日目はファクトリズムをタカヨシジャパンの高島さんにアテンドいただき堺市の会場を巡りました。

FactorISM(ファクトリズム)とは?
「こうばのまちのエンターテインメント」を合言葉にものづくりの現場を一般開放し、人々の生活を支え、世界を魅了するものづくりを体験、体感してもらう文化祭のようなイベント。

FactorISM公式HPより引用

副題の「アトツギたちの文化祭」には、会社は親が立ち上げたけど自分たちの世代から新しいモノ・コトを生み出していく気運をつくる…そんな思いが込められています。
みせるばんどというアトツギの皆さんが作られたテーマソングとPR動画も素晴らしいです。

【今回訪れた会社】
株式会社小泉製作所(金属部品の開発)、株式会社川辺商会(プラスチック加工)、株式会社馬場刃物製作所(包丁の製造)

これまでも他の産地のオープンファクトリーに参加したことがありますが、社員全員が当事者意識を持って楽しみ参加しているところが素晴らしかったです。まさにお祭りのように来場者との出会いを楽しんでいました。

見学したある会社の代表がおっしゃっていた「一生語りたくなる体験を」という言葉に、相手を楽しませるエンターテイナーの精神を感じました。

誇りをもってやっている仕事をお客さまに見てほしい、自分たちの職場を体験してもらいたい。そんな思いで開催されいるFactorISM、来年も訪れてたいイベントでありました。

八尾市の皆さま、ありがとうございました!

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