見えているものは何か(認知症)
こんにちは、白紫菖蒲です。
今回は幻視のあったご利用者様についてお話ししたいと思います。
今回のお話しをする上で、認知症と言っても種類別に分けられ現れる症状も違ってきます。アルツハイマー型認知症や、レビー小体型認知症、脳血管性認知症などなど、種類によってケアの方法も違ってきます。
今回は「若年性アルツハイマー型認知症」についてお話ししていきます。
1.若年性アルツハイマー型認知症とは?
定義としては、「65歳未満で発症した認知症」の
事を若年性アルツハイマー型認知症と呼びます。
厚生労働省が発行している若年性認知症ハンド
ブックというPDFがありますのでご興味のある方は
1度読んでみてくださいね
2.介護保険
介護サービスを利用する際に、色々と条件が
あります。
・介護保険の加入者であること
・介護認定を受けていること
・65歳以上の方(第1号被保険者)
・40歳から64歳までの方(第2号被保険者)
第2号被保険者は、老化に起因する疾病
(指定の16疾病)により介護認定を受けた方
若年性アルツハイマー型認知症の方は、この
第2号被保険者に該当します。
高齢者介護に位置づけされるデイサービスやデイケアのご利用者様の中に若年性アルツハイマー型認知症の方もいらっしゃいました。60代の女性の方でしたが、発症は50代でご主人様が
「俺んとこに、掃除機のかけ方がわからない!って泣きながら電話かけてきて、それが何回か続いて病院へ行こうと思った」
と、お話しして下さいました。ご主人様は大病を患われており、自宅での介護が難しくなった為デイサービスとショートステイの併用利用となりました。
若年性アルツハイマー型認知症の特徴として、年齢が若い分、細胞も若いので認知症の進行速度も早いと言われています。
身体がお若いので、歩く速度も早かったり、こだわりが強く出て、集団でのレクリエーションになかなか参加が難しかったりと孤立してしまうことが多くありました。
時折、そのご利用者様が、手を上に挙げて指先をヒラヒラとしながら手を下ろし、両手で何かを持つ仕草をされることがあり、他の介護士さんからは、幻視があるのではないかとの声が上がりました。
そして、私の頭には疑問が浮かびます
〝幻視だとしたら一体、何が見えている…?〟
指先のヒラヒラをじっと眺める私
〝あれ…?糸を巻いてる…?〟
これだ!という確信はありましたが、ご本人様は会話のキャッチボールも難しい状態でしたので思っている答えが聞けるかどうか分かりませんでしたが、私は聞きました。
「若い時は、どこにお勤めだったんですか?」
「紡績…」
はいきたー!これだー!やっぱりそうだー!
私は直ぐに毛糸を取りに行って、一緒に毛糸玉を作っていると、集団就職で紡績に勤めていた時のことや子供の頃のお話し、子育てについてを沢山お話しして下さいました。本当に穏やかな表情で、落ち着いて毛糸を巻くお姿からは母性を感じました。
若年性アルツハイマー型認知症の方で、確認されている世界最年少の発症は18歳だそうです。取り巻く環境であったり御家族様の大変さを思うと、介護士に出来ることは一体何か…本当にお手伝い程度にしかならならないかも知れません。そのお手伝いが幸せなお手伝いになりますように…。
今回は若年性アルツハイマー型認知症について書き記しましたが、次回は、認知症って全てを忘れるの?についてお話ししたいと思います。
1人でも多くの良い介護士さんが増えますように。