【ズボラ自戦記・庭の話】通信将棋VS常盤台メイ⑦~VS端歩突き越し策~
はじめに
L'essentiel est invisible pour les yeux.
7度目になるメイド先生とのお将棋振り返り。
これだけ続くのも、自分の勉強になるような対局をしていただけるから。
いつも感謝の念に堪えません。
感想戦ではさらっと流したものの、
結果や数字で見るミスの少なさ以上に、自分の中で整理がついていない箇所があり、序盤の思想から簡単にまとめてみようと思いました。
庭〈ガーデン〉の思想Ⅰ
庭〈ガーデン〉の思想Ⅱ
さて、
未だ中二病から抜け出せぬ私は、以下に記す3つの条件(①知②美③誘導性)を満たすような特定の戦型(局面)群を庭〈ガーデン〉と呼称し、序盤の整理に当てていました。
ざっくり、点ではなく、面でのアバウトな戦型理解の積み重ねと言えば伝わるでしょうか。
自分が管理している庭へ相手を誘いこむような戦い。
暗記オンリーでの研究を避け、より多くの情報を処理、将棋に勝利していくため、私は庭の将棋を確立していきました。
庭〈ガーデン〉の思想Ⅲ
まとめると、「庭」は、常盤台先生の「実戦的勝ちやすさ」の概念と近いようでとても遠い概念と考えます。
方針の明快さ、手厚さや玉の硬さは「美」の概念に含まれないわけではありません。が、それ以上に「知」の経験によるアドバンテージや「美」の中でも評価的アドバンテージ(ある程度ソフト的将棋観と自分の将棋観を合致させている≒評価が良いことは勝ちやすさそのものである、ことが前提)を重視しており、なおかつ「誘導性」を求めるとても欲張りなスタイル。
互いに共通するズボラさ、「実戦的に勝ちやすい」の要素やその配合が大きく異なっているだけ、なのだろうと思っています。
序盤:戦型選択
”テーマ”
端の位を取られることは想定の内でした。
予想外だったのは、思った以上に遅かったこと。
もちろん盤上の話ではなく。
この作戦が今までの対局で出てこなかった、という話。
幾度となく剣を交えながら、互いにひとつのテーマ……「(銀冠穴熊を主軸とする)ramhome式対振りシステムの攻略」を暗黙の共通認識ながら進め……、
石田流組み換え、真部流、中飛車、そして今回の端の位取り、
私の中でいくつかの作戦が候補に挙がり、順は違えど予言めいたようにそれらは繰り出されます。
端の位取り策は銀冠穴熊策を比較的封じやすく、もう少し早く出てくるのではないか、と思っていました。(他にも、意外にも出てきていないと思っている戦型はいくつかあります。それらとは、いずれ会うような予感)
分岐と”庭”
21手目▲68銀
戦型選択において、一つの分岐点でした。
端を詰められていたので穴熊も選択肢にありましたが、その日に同じ形の研究配信があるようで指すのを避けることにしました。
疑問なのは、本命の端歩突き越し策は、数か月前にnote記事にしていること。相手が対策している領域に踏み込むことは「庭」の思想とは反します。
ただ、今回は実践例の少ないこの形を試すチャンス。形も基本図から少し変化しており、工夫を見せてもらうことにしました。
中盤~終盤:
△95同香の時点で評価は+250、▲88同玉の時点で+400。
振り飛車側は歩切れにもなり、概ね自分の思った通りの評価になりました。
ただ、この後の展開の経験が少なく、玉形の薄さに不安もありつつ。
▲93香成までは比較的正着。△57銀打に対しては自分でも有力だと思っていた▲83とが最善。△48銀と金をタダで取られますが、▲95角打△73金打▲82銀と吐かせてからより重たく取り返す筋が有効だったようです。
自信がなかった△51玉の早逃げも▲84角と打てば良かったみたいで。
本譜は遠回りになりましたが、道中での△22角(76手目、▲66金か▲97玉ですが自信なかった)がなかったり、▲62金引に△同金(自玉の安全管理が難しく感じました)が入らなかったことから必勝に。勝ち切りまでなかなか大変な将棋でした。
さいごに
結局お相手の秘策は分からず仕舞い。
気になる思いありますが、また何かしら知る機会はあるような。
最近よく文章をお書きになるので、今回の「庭」みたいな中二病的概念の発表なども期待しています。(大変失礼ながら、私は先生にかつて中二病のけがあったのではないかと読んでいます)
今回の対局で、自分の庭をいっそう深く、濃く広げることができました。
またお庭でお勉強して、遊びましょう。
対局ありがとうございました。