基本7法の勉強方法
こんにちは、ちょま林です。
さて、たまには司法試験系で少しは役立ちそうなことを書いておこうと思い当該記事を執筆することにしました。
普段書いていることは、情報系のことが多いのですが、偶にはこういったものもいいでしょう。
受験者や合格者の数だけ、勉強方法は存在していますし、おそらく人それぞれ合うものも合わないものもあると思います。
ただ、自身も先輩方がどういった勉強をしていたのか伺って参考にしていた部分もあるので、一応残して置いておこうと思います。
詳細なことは書いてもしょうがないと思うので、ざっくり各科目で身に着けるべきだなと考えていた指針のようなものを書いておきます。
憲法
まずは、論文対策として、違憲審査基準の定立の型を覚えこませることを意識していました。ただ単に、厳格、中間、緩やかの3基準を覚えるという意味ではなく、保障、制約の過程で書くべきことや、権利の重要性、制約の強度では何をどれほど書くべきなのか、目的手段審査の目的、適合性、必要性、(相当性)、では何を書いていいのか、何を意識すべきなのか、どう書くべき・表現すべきなのか、こういったことを強く意識して理解、記憶するようにしました。
こういった全体の総論を踏まえた上で、各権利ごとに一般的な審査方法が妥当するものは、権利の定義、重要性、判例を違憲審査基準の中で使える形で分解して理解、記憶していきました。
自由権審査が妥当しない14条や25条、29条等はそれぞれに個別の処理手順を準備し、予備、司法の過去問を解くことで処理手順を使いこなせるか確認しました。
次に、短答は、人権分野は、ほとんど判例知識や学説知識なので論文対策を進める過程で大体頭に入りました。その上で、過去問を解き、まちがった問題の判例の判旨を読んで、解答に必要な部分を短くまとめました。
統治分野は、条文知識や判例、教科書知識が重要だと思い、それぞれの要点をまとめた上で何度か読むことで理解していきました。
行政法
まずは、司法試験の出題頻度があまりに多い、処分性、原告適格、裁量権の逸脱濫用(裁量基準含む)を固めていきます。過去問も充実していますし、世の中には多数、処理手順についての話が出回っているのでここは比較的楽に理解、記憶できると思います。
次に、その次の頻度で出る分野、訴えの利益、手続上の瑕疵や違法性承継論、各抗告訴訟や当事者訴訟等を固めて行きました。
最後に、他の分野をランク付けに従ってやっていった感じですね。
今年の問題は、だいたい、上2分野を固めておけば解答できた感じです。
民法
範囲がとにかく広いのが民法です。司法試験では、割といわゆるCランクと呼ばれる知識や論点が出題されることもあります。
当然、適切な条文を探す能力は前提になりますが、あとは重要度に従いつつも全体を押さえていくのが一番大事だとは思います。
Aランク知識はしっかりと書けるように、Bランク知識は最もコアになる部分はかけるように、Cランク知識は条文と問題の所在は把握しておいて現場で何とか対処できることを目標にしていました(全部できたとは言っていない)。
後は、試験的に今後どうなるか分かりませんが、改正債権法分野が集中的に狙われていたことは過去問から容易に把握できたので、そこはしっかりとやっていました(実際今年も真正面から出題されましたしね)。
付け加えるとするなら、やはり要件事実を基本的な部分では理解しておくとやりやすいですね。例えば、今、自分が学んでいることは、所有権取得原因になるから、答案上では請求原因や抗弁に位置する部分で書くんだなというようなことが理解できてくると答案が自然と引き締まるようになる(体系的な要件⇒効果がはっきりと出てくる答案)と思います。
短答は、条文と物量です。やった分だけ点数が伸びます。覚えましょう。
会社法
こちらも、行政法に近く重要分野から押さえていきました。例えば、423や429、831、847、356、365、なんかはA超えてSランクでしょう。会社法の条文は多いですが、司法試験の論文式試験で出題され得る条文は施行規則、計算規則まで含めてもそこまで多くないと思います。
そのため、出題され得る条文をピックアップし、それに連なる知識、論点、判例を押さえることを中心にしました。
また、会社法の問題の大体の問われ方はきまっているので、例えば、役員への責任追及、総会決議取消し、各条文での差止、無効などは書くべきプロットはすべて決まっているので後は、処理手順と答案の表現上のコツを押さえていきました(ちなみに、加藤ゼミナール受講生ならば、先生の論証集と過去問をおさえれば完成します)。
民事訴訟法
民訴は、円環構造と呼ばれる科目ですが、本当にそうで、まずは1,2週全体をさらい、多少の民法の理解とがっつりと要件事実を理解しないことには得意にはならないかと思います。
民訴単体での論点ももちろん多いのですが、弁論主義や裁判上の自白、補助参加、場合によっては既判力でも要件事実の理解が欠かせないですし、なんなら答案上に書くことも大いにあります。
おそらく、民訴に苦手意識がある人は(自分もかつてそうだった)、民訴特有の難しさと要件事実の理解に難があるのではないかと思います。
複雑訴訟や特有の論点の理解をしつつ、要件事実の勉強も進める中で一気に苦手感が払拭されたので、民訴自体の勉強をしていても要件事実をあんまりやっておられない方はやってみてください。ブレイクスルーが起きるかもしれません。
刑法
刑法は、おそらくほとんどの受験生が最初に答案を書けるようになった科目ではないかと思います。答案の型というか理論的な体系がはっきりしているので非常に書き方自体はわかりやすいんですよね。
ただ、その中身はかなり難解ではあります。あんまり入り込むと刑法の沼に沈んで行ってしまうので、ある程度割り切って学習していました。
近年、重要判例が続々と出ている関係で、処理手順が変更されることもありますので、常にアンテナを立てておく必要があります。
後は、委員会の見解に従って、各論点、条文の処理手順を確立させると書きやすくなると思います。私は、各論については、条文の文言ごとに定義、書くべき論点、展開する当てはめの要点、答案上の表現をざっくりとまとめて理解していきました。総論は、とりわけ共犯の処理を確立させました。
短答は、憲法、民法よりバランスがいい感じがします。判例、学説、条文知識が満遍なく出題される感じがあります(もちろん、濃淡はありますが)。
短パフェをやった後、やった分野の間違えた問題の要点を自分の使用していたテキストに書き込んで、そのテキストを読むだけで短答対策が完結するようにしていました。あと、罪数処理や刑の減軽関係は独自にエクセルにまとめて使用していました(そのうち、無料公開してもいいかもですね)。
刑訴法
捜査、証拠、公判いずれも重要分野が存在しています。もちろん、その中でも濃淡は存在していますから、濃い部分から勉強を進めていきました。
刑訴法は規範部分は覚えやすく書きやすいものが多いのですが、逆を言えば受験生の多くは規範はきっちり書いて来るので、勝負すべきなのは当てはめです。考慮要素、表現の仕方、どこを手厚く書くのか(問題文の事情にもよる)、規範との対応関係、そういった深めの当てはめの理解をしておくと安定して高得点が稼げるようになると思います。刑訴法は過去問を回して、論証集の知識を入れていけばすみやかに安定して解ける科目になるので、早期に片づけるのがおススメですね。
終わりに
ざっと、書いてきましたが、多少は参考になる部分があったでしょうか?
私自身は、過去問を中心において論証集で知識を全体的にインプットすることを目標に勉強していました。
実際、公法系、刑事系、商法、民訴は過去問がとにかく活かせる科目だと思うので、何週もすることを考えると早めに着手されるのが良いと思います。
予備試験の過去問も合わせれば過去問だけでも薄めの問題集が構成できるぐらいの分量にはなります。刑訴なんて、設問ごとに短文形式で解いていって、最新数年分だけ練習用に残しておけば十分かなとも思います。
こんな感じで勉強していたわけですが、これはあくまで私なりの方法で、色んな勉強法が存在しています。自分に合ったスタイルを早々に確立させるのが一番効率よく勉強できる方法だと思います。
結局、多数に一般的に妥当する方法が個人に妥当するかはその人次第なので、雑音に惑わされることなく自らの方法論を確立してください(ただ、完全自己流は怖いと思うので、そういう時は他人の、例えば、私のこの記事のようなものを見て、参考にしてください)。
それでは、また次の記事でお会いしましょう。
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