「加藤」

大学生。趣味はない。

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そこに中指を立てる権利はあるか

善悪の判断と、自分がどう思うかという主観は、混ぜてはいけない。 とてもムカつく。こんな時期に飲み会をやるなんて間違っている。 髪の毛を目に悪そうな色に染め上げたり、自然な流れとは違う方向に捻じ曲げた大学生が品のない笑い声を上げながらレジに向かっていく。 彼らは無敵だ。他人がどう思うかなんて気にもしちゃいない。彼らの笑い声は、黒板に爪と突き立てた時の音と同じくらい不快だ。不快さを露にしたただの客である僕の顔を、彼らは気にも止めずに、不快で甲高くて下品な笑い声をあげている。

    • 『母影/尾崎世界観』の感想文

      今日までの大きな課題を当日の昼頃になんとか終わらせ提出した僕は本屋へ向かった。来週から始まるテストのために1頁でも教科書を読んだ方がいいことは明白なのだが、一つの山を登り切った解放感につられ、気づけば車のエンジンを回していた。 特に買いたい本があったわけではないのだが、なんとなく面白そうな古本を数冊買って、本棚に並べておくだけでもなんとなく楽しいし、どうせいずれなんとなく読むし、なんとなくが横行する脳内でなんとなく古本屋へ行った。行動にいちいち理由を求められても困る。なんと

      • ぶっちゃけその音楽のどこが好きなのさ。

        流行りのj-popを聞くと「君」とか「あなた」とかまったくもって縁のない言葉が出てきて表情に困る  「君の運命の人は僕じゃない」 だとか 「君のドルチェ&ガッバーナ」 だとか 「さわがしいひびにわらえない君に」 だとか 縁がないものばかりだ。 僕の人生はもっと灰色で薄く仄暗くまるで深海魚が遊泳するようなそんなものだった。 明るい光が刺す水面の向こうの砂浜で、明るい色の水着を着た人たちが踊っているのを眺めている。そんな人生だ。 でも、僕は、「君」だとか「僕」だとかが歌詞

        • 手首を切る代わりにタバコを吸った

          酒もタバコも自傷行為。手首切ってるのと同じ。 自分で自分を貶めることが、とてつもなく居心地がいいのは何故だろうか。タバコがこんなにも美味しいのは何故だろうか。 「僕、ブサイクだから」「僕、貧乏だから」「僕、頭悪いから」「僕、人生諦めてるから」 他人の期待に添えない恐怖から逃げるために、必死でハードルを下げ続けてはや20年。僕はいつまでこんなことを続けるのだろうか。 痛いのは怖い。死ぬのは怖い。手首を切るのって痛そう。でも自分の体は痛めつけないとどうにかなってしまいそう

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        • 十九、二十
          10本

        記事

          世界旅行へ行って人生変わった大学生の話

          今までの自分の悩みって、なんてちっぽけなんだろうか。世界はこんなに広いし、いろいろな考え方の人間がいて、世界という大きな船の中で僕はとてつもなく無力で小さな人間で、くよくよしてちゃいけないと思った。 久々にインスタグラムを開くと、中学の同級生がこんな投稿をしていた。胃の奥辺りに感じるムカムカした何かを吐き出すためにパソコンの前に座った。 こういう大学生が一番何もわかってない。東南アジアに行かないと他人との価値観の違いを感じられないお前の貧相な感性を恥じてほしい。価値観の違

          世界旅行へ行って人生変わった大学生の話

          咳をしても。

          苦しい。一人は苦しい。 彼女が欲しいんです。苦しい。 「なんでそんなに彼女が欲しいんですか?」って言われたら割と身も蓋もない理由だけど「自分が世界に存在する理由が欲しい」意外ない。というか、人生を生きる上で、それ以外の理由で何かした事がないかもしれない。誰かのために生きてきた。 彼女がいたことが無い。友達もいなくなってしまった。家族以外に、無条件で僕を受け入れる人間はいなくなってしまった。逆に言うと「『家族だから』以外の理由ででお前の存在が許される場所は存在しない。」という

          咳をしても。

          自分の過去

          まるで「僕はここにいるぞ」と叫んでいる暴走族のような、そんな文章を書いてみようと思った。 () noteを始める前、自分の文章に興味を持ってくれる人間なんていないと思っていた。本が好きな友達に出来がよさそうなものだけちょろっと見せてなんか感想を貰って、それでよかったのだが、何かの拍子にnoteに投稿してみて、驚いた。僕の文章を100人くらいの人間が興味を持って覗いてくれている。いいねを押してくれる人もいる。ほかのだれでもない自分が生み出したものが他人に少ないながらも影響を

          自分の過去

          陰キャと根暗とオタク

          僕は、オタクだ。中2でラノベとアニメにハマってそれいらい何かしらの所謂オタクコンテンツと言うものにハマっている。アニメ、漫画、ゲーム、ボカロ、どれも僕のつらく苦しい青春を支えてくれたかけがえのないものだ。直近ではポケモンカードゲームをしていた。 所謂オタクコンテンツであるカードゲーム界隈に入って初めて気づいたんだけどオタクの中にも陽キャはいる。何なら根暗なのは僕だけだったのかもしれない。毎週飲み会、通話、毎日くだらないLINE、通話、なんというか僕には苦痛なものでしかなかっ

          陰キャと根暗とオタク

          十九、二十 10

          よかったら1からみてください シリコン製のリアルなアザラシのストラップが付いた合いかぎを取りだし鍵を開ける。3日前に彼女と二人で行った水族館で買ったものだ。彼女のカギには、シリコン製のリアルなイルカがつけられているが、このストラップを選んだ時彼女には「やっぱりあなた趣味悪いよね」と毒づかれてしまった。クリスマスプレゼントに全長2メートルほどの巨大なクマのぬいぐるみを渡したことをまだ根に持っているようだった。 「ただいま」 言い終わらないうちに、異変に気付いてしまった。玄

          十九、二十 10

          十九、二十 9

          よかったら1からみてください 「ただいま」 バイトから帰ってきて、彼女の家の玄関を開けるとカレーのにおいがした。僕が20歳になって3か月が経とうとしている。あの日以来彼女は家にいることが多くなった。演劇も援交もやめてしまって、外出する用事が極端に減ってしまったようだ。テレビに映し出された動きやすそうな格好をした女性が様々なポーズをするのに合わせて彼女も同じポーズをしている。 「あとちょっとで終わるからちょっと待って て」 「何してんの?」 「見てわかんないの?ヨガだよ」

          十九、二十 9

          十九、二十 8

          https://note.com/ramenmenma/n/n6437930180f1 よかったら1からみてください 今日は、20年の人生で一番頭を使ったと思っていたが、家に入るときの挨拶までは頭が回らなかった。 「ただいま」 少し迷った挙句、この2週間ですっかり自然に出てくるようになってしまった挨拶を選択した。廊下を抜けリビングの扉を開けると彼女がベッドの上でほかの何も混じっていない純粋に驚いた表情で 「おかえり」 と返した。彼女の方もすっかり自然に出てくるようにな

          十九、二十 8

          十九、二十 7

          https://note.com/ramenmenma/n/n6437930180f1 よかったら1からみてください カーテンの隙間から光が差しこむ。夜が明けてしまった。あれから彼女の言葉について、ずっと考えていた。今日何度目かの、彼女の あの言葉を思い出す。 「誰かが欲しいものがあって、それを私が提 供する対価としてお金をもらっているんだよ ?普通のことじゃない?」 この言葉に間違いはない。と思う。多分正しい。正しいというか、これを否定する論理を今の僕は持ち合わせて

          十九、二十 7

          十九、二十 6

          https://note.com/ramenmenma/n/n6437930180f1 よかったら1からみてください スマホの着信音で目が覚める。目脂で目がかすんだまま反射的に通話ボタンを押すとスピーカーから聞こえるのは彼女の声だった。 「あ!やっと出た!家にいないし電話にも出 ないし心配したよ」 どんなことばを彼女に伝えればいいか分からなかった。脳が爆発し、言葉が出てこない。無言の僕に彼女は心配したのか 「ん?どうしたの?体調悪い?」 「あっ、えっ、、」 口から

          十九、二十 6

          十九、二十 5

          よかったら1からみてください。 冷たい空気がマスクで隠し切れない目の周りの肌を刺す。冷たいを通り越して痛いになった感覚を感じないほど僕の心は踊っていた。 「今日誕生日でしょ?お祝いしなきゃね!私バイトが終わるのが10時だから先にこれで上がっといて!」 という言葉とともに彼女から受け取った部屋の合いかぎ、それは彼女が、いままで誰も受け入れられなかった僕を肯定するものに他ならなかった。ホテルで一泊した後、僕はこの部屋で彼女が作った朝食を食べ、それからほぼ毎日この部屋に来てい

          十九、二十 5

          小説を書いて、人にやさしくありたいと思った。

          小説を書いた。 初めて書いた。 数ヶ月後、数年後読み返したら、穴に入りたくなるような内容かもしれないが、今の自分にとって、そこそこな熱量を持って、そこそこ真剣に書いた。 初めて小説を書いて思ったのだが、他人の考えを想像するのは難しい。ましてやそれを他人に伝えようと文字にする行為など「世界ってどうやったら幸せになるんですかね」とかいう質問に答えるのよりも難しい。月並みではあるが、性別も、職業も、生まれも育ちも全く違う僕じゃない人間を頭の中で、行動させて、文字を読んでいる作

          小説を書いて、人にやさしくありたいと思った。

          天才

          僕は天才だ。これを信じて疑わない。なんの天才かはわかんないけど、多分なにかの天才なんだと思う。おそらく、あと何年かかるかわかんないけど、どこかのタイミングで、自分の才能が注目されて、世間からの脚光の芽を浴び、その時に私はやはり天才だったんだと確信するのだと思う。 そうなったらこの大変な生活は、美談になるのだと思う。ガスが止まり銭湯へ通った話、金がなく1週間ほどバイト先の友達に土下座して買ってもらったガムとグミで過ごした話、彼女でもない女の子を孕ませてしまった話、成功者がよく