不幸であることを望むこと
誰だって幸せになりたいのにね。
わたしは物を作る人間として生まれてしまった。
家系がそうだ。祖父母も父母もそういう性質を持っている。わたしがそうならないわけがなかった。
この吐き溜めと私の活動を結びつけることはしないので何をしているか具体的な明言は避けるが、わたしはどうにも、創作活動をする上で不幸でいなければいけないらしい。
幸せであるときや上手くいっている時は決まって、作るものは輝かず平凡で酷くつまらない。
わたしが孤独で不幸であるほどに、わたしの心は創作へ依存して傾倒していく。そうすることで必死になって救いを求めて腕を磨いていくのだ。
わたしの命を削って削って磨いて磨き抜いた先に、一滴の、光り輝く美酒のような創作物が生まれる。
わたしにだって幸せになる資格がないわけではないはずだ。だが私が生まれ持った性というものが、わたしが幸せになることを許さない。
わたしは世に名を馳せる者ではないし、作るものも大きく評価されるものではないが、金が得られないものでもない。
今すぐ飢えて死ぬ程でもなく、かと言って貯まることもない。
創作だけをして生きていけば、真綿で首を絞めるように少しずつ、わたしを死へと連れていってくれる。そんな位置で生きている。
つまりはつまらない人間なわけだ。
つまらない人間であるという不幸せは、わたしを追い詰め、また創作へと引き戻していく。
きっとこのループから抜け出せる日は来ない。
なんて甘美で哀れな耽溺。わたしはこんなにも幸せだ。
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