人生について考えるといつも苦い

わたしはもういい歳である。
母親がわたしのきょうだいを産んだ年齢に並んだ。わたしは独り身で、誰とも恋も愛も育む気もなく、自分の性格や持っている病、遺伝的に難病の因子を抱えていることを知って子供を持つことを諦めたのもこの歳だった。

わたしは元より軽薄で浅慮で無鉄砲な性格で、人生設計というものを考えたことがない。
今この時この一瞬と目先に立てた予定を無事にこなせれば、それでもう十分だなあという気持ちで毎日を生きている。

父はわたしに「日本はこれから二極化が進む」と言い続けてわたしを育てたが、わたしはその二極の「良い方」に存在しているなどとは口が裂けても言えない。

負け犬であることはわかっている。だが自然から淘汰されるにはまだ早いのだろう。今日も何故か運良く生き延びてしまっている。

大震災も経験したし、海外に旅行に行けば、すぐあとからデモで行った街が火の海になったり、何とか難を逃れて平和な世界で生きていけているに過ぎない。ただ単に運がいいだけだ。

だがそろそろその命運も尽きそうだという予感めいたものがわたしの周りをうろちょろとしている。病は確実にわたしを蝕んでいるし、わたしはそれに打ち勝つ力を前より確実に失っている。

いつまでわたしが死神との勝負に勝ち続けられるのか、わたしがいちばん興味深く見守っているのかもしれない。
今この記事を書いた一瞬後に死んだとしても、後悔をしないように、やりたいことはやっておこうと思う。

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