見出し画像

【映画レビュー】 夢みる小学校|体験学習は主体性を育む

今年デンマークのフォレスホイスコーレを見学しに行きました。どこのフォレスホイスコーレにも20歳ぐらいの若い日本人生徒がいて、だれと話してもしっかりしていた。申し訳ないけどフィリピンに来ている若者とは比べ物にならなかった。英語力も高いけどコミュ力も高い。

どんな環境で育つとこうなるのか?どうしてデンマークに辿り着いたのか?この後は、どこを目指すのか?

いろいろ聞きました。

そしたら、ある子が、「私はきのくに子どもの村学園に通っていたので、デンマークは身近でした。」って言うわけです。

きのくに子どもの村学園?

全然知らなかった。

きのくに子どもの村学園はフォレスホイスコーレのように、生徒の自主性を尊重して、モノ作りなどの体験学習に重きを置いている私立小学校だった。その学校をモデルにした映画があることを教えてもらったので、帰国したら観ようと思っていた。それがこの「夢みる小学校」という映画。

上映委員会・夢みるたまご

公式サイトの上映情報を見たら、自主映画なので映画館ではやってなくて、ファンが上映会をしている感じ。「詳細は運営者にお問い合わせください」と書かれているので、ちまちまメールして上映時間を確認する。東京で上映している場所は限られていて、年末にやっと見れました。

主催は「上映委員会・夢みるたまご」という団体で、「夢みる小学校」の上映会を開きたい大学生を中心としたグループ。上映のためにクラファンもしていた。上映場所は武蔵小山のスクエア荏原。市民センターみたいな建物の会議室。15人ぐらい来ていた。

映画 夢みる小学校 概要

映画は学校長の堀さんのインタビューを中心に展開していくドキュメンタリーでした。生徒もでてくるけど、小学生のときと中学生のときの影像があって成長がリアル。しっかり自分の意見を持っていてデンマークで出会った若者と同じでした。

きのくに子どもの村学園は私立小学校だけど、3つの公立小学校も紹介されていた。通知表がない伊那小学校。通知表の学習評価を「選択性」にした松山市立 余土小学校。校則、定期テストをゼロにした世田谷区立 桜丘中学校の校長のインタビューも興味深かった。

文部科学省の学習指導要領が2020年度から「探求学習」に大きく舵を切りました。30年前から「探求学習」を実践している先進的な学校があります。

テストがない、「先生」がいない、「きのくに子どもの村学園」。キラキラした目で授業を受ける小・中学生の姿を見た事がありますか?学校って、本当はこんなにわくわくする場所だったのです。

「学校教育」の認識が180度変わる ”衝撃の楽しい授業風景” をご覧ください♥

https://www.dreaming-school.com/

体験学習は主体性を育む

この学校は、国語、算数、理科、社会みたいな科目授業がなくて、ほとんどがプロジェクト。なにかのプロジェクトで体験学習を行って、その中で、必要なことを調べながら自分たちで学んでいく。

映画を見た感想は、デンマークで感じたものと同じ。すごくいい。体験から学ぶ。主体性を育む。僕は体験から学ぶタイプなので、こういう学校に入っていたら学びが多かったと思う。

ただ、実験みたいな授業が多いから授業料が高そう。学費を調べたら年間130万。寮込みだから思ったより安い。だけど公立小学校を選ぶ家庭にとっては高い。遠足もお金がかかりそう。

あと、モンテソーリ教育で子供が協調性がなくて悩む親も見てるので、自由は大事だけど、万能ではないと思っている。だから、全部の学校がこうなる必要はないし、中途半端に真似てもうまくいかなさそう。

「宿題がない。通知表がないのがよい」という前提は正直よくわからなかった。どんな学校状態なのか、どんな宿題なのか、詳細がわからないとなんとも言えない。宿題があっても、通知表があっても、スクスク育っている子はいる。だから、ストレスに感じる子どもがいるから宿題をやめよう、という流れは共感できなかった。結局受験で成績を数量化するし比較されるから、出口戦略とセットで考えたほうがいいんじゃないかなあ。

体験学習はクリエイティブな発想や主体性、学ぶ力は生まれそう。自分の居場所を見つけられるかも。だけど、ルーチンワークが苦手になるかも、理想主義者になってしまうかも、打たれ弱くなるかも。

特に気になるのは、全肯定されたビニールハウスで過ごした子供が経済社会で生きていけるのか?ってこと。社会にでたら競争。手段を選ばず戦ってくる人もいる。性善説が通じないシーンもある。ストレスはあるし理不尽な作業もある。子供の時は楽しさ重視というのは大賛成。だけど、ストレスを与えないのが本当によいのか。よくわからない。程度の問題じゃないのかなあ。

僕が大事だと思っていることはシンプル。否定しない。適度に放置する。キッカケを与える。それは子供に対しても、大人に対しても同じ。

教育で一番大事な親の存在

教育とは学校で完結するものでなく、学校、親、コミュニティ、会社、国家で行うもの。一番影響が大きいのは親。親子留学で、不登校の子供を見てきたけど、だいたい親の問題な気がする。親がいい人でも、教育熱心でも問題は起きる。自分の問題と自覚してない親が学校や社会のせいにすることもある。

あと、2020年から小学校で探究学習がスタートしたけど、昔から本質的な力が必要って言われていたこと。2000年に「総合的な学習の時間」をはじめたけど、学力が低下したら、わーわー騒ぐ親がいた。きのくに子どもの村学園に入学して学力が低下しても親が騒がないことを祈る。

この学校を真似しても公立高校ではうまくいかなさそう。客層が違う。親のニーズも違いそう。やるならやり切ったほうがいい。何かを得れば何かを失う。夢みる小学校で得られるものはある。でも、失うものもきっとある。

教育の目的はゴール次第

そもそも、いい学校ってなんだろう?

サバイバルしていける人間を育てること?

楽しく生きてもらうこと?

この矛盾しかねない2つの要素をみんな求めている。優先順位は人によって違うから難しい。

教育は1つの正解があるわけじゃないので、いろんな事例を知った上で、各自の生き方にあった選択をするのがよいと思う。そういう意味で、教育に興味がある方はこの映画を見てほしい。なにかは感じるはず!

ていうか無料で公開してほしい。


いいなと思ったら応援しよう!

ramen4423@旅するライター
よろしければサポートお願いします! いただいたサポートはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!