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新卒でブラック企業に入社してしまったときのはなし

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この話は僕が初めて就職したブラック会社での出来事です。 1998年4月から約3か月、僕はこの会社にいた。 当時は悲しい話でしたが、今となっては笑えるネタ話である。1998年の話 …
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#小説

5. 怖い上司がやってきた。

 山本さんは身を乗り出し、ナカガワさんの胸ぐらを掴んだ。そして、四方に振り回しながら、叫んだ。 「報告していないことがあるだろう!」 「ちょっと何するんですか、やめて下さい!」  同じ営業でも山本さんは3D広告の営業で、ナカガワさんは2D広告の営業。広告媒体やスポンサーが違うので仕事の接点はないはずである。 「一体僕が何をしたんです?僕が山本さんに報告しなかったことが今までありますか?」  山本さんは無言でナカガワさんを振り回していた。明らかに正気ではなかった。

2. 新卒で入社して1週間が経った。

 入社して1週間が経った。  同じ時期に入社した中途採用のイシヅカさんは5日で辞め、今週からは新人は僕一人になっていた。新人は朝一番に出社して、1階の鍵置き場で鍵を取ってから、オフィスのある12階に上がり、鍵を開けるのが日課だ。だが、この日は鍵がもうすでになかったので、「あれ、誰かもう来ているんだ。」と思って上にあがった。エレベータで12階にあがると、廊下の向こうから営業主任の山本さんがこっちに向かって歩いてきた。  山本さんは今年3年目の独身男性で、髪型はセンター分けで

1. よくあるブラックな広告代理店の想い出

 1998年のはなし。つまり想い出である。  大阪にアソシという会社があった。大学を卒業した僕が新卒で入った会社で、一言でいうとブラック企業である。入社前は広告代理店と聞いていたが、実際は15人ぐらいの小さい制作会社でした。  みんなが出社してくるのは10時30分ぐらい。一応、9時から仕事なんだけど、みんな全然来ない。入社前はフレックスだと聞いていたが、とんでもない。単なる遅刻である。勿論、タイムカードによってしっかり給料から引かれている。時間にルーズな僕はその波に何度も