『未来少年コナン』を見直してみた
『未来少年コナン』1978をとりあえず高畑絵コンテの第9話「サルベージ船」まで。リマスター版はキレイ。キャラ設定やモチーフやカットを凝縮すると『ルパン三世カリオストロの城』1979になることがよくわかる。前期宮崎、つまり冷戦期の宮崎駿のテーマが凝縮されている。
後期宮崎の出発点を『もののけ姫』に見据えると、ポスト冷戦期の主題が、核戦争から環境破壊へという形でずらされていくことになる。そして、「里山」というキーワードによって、新たなナショナリズムが形成される際に重要な国民作家となる。「国際的に開かれた」国民作家として宮崎の誕生だろう。
むろんダイス船長とバラクーダ号のくだりは、『どうぶつ宝島』1971を援用しているわけだが、それが『名探偵ホームズ』「海底の財宝」1984/85で再利用される。
第13話「ハイハーバー」は高畑絵コンテ。その後の宮崎アニメの根幹をなす樹木(三角塔に対応する)のイメージが出てくる。木の上から村を望む視点があり、降りるとオーロと豚問題が待ち構えている。科学と田園の2つのユートピアがもつ子ども排除の視点が浮かび上がる。さすが。
第14話「島の一日」は富野絵コンテ。「ハイジ」で10本以上絵コンテを切った成果でもあろう。平穏に見えるハイハーバーの欺瞞が次第に浮かび上がるというあたりが、富野作品に影響を与えた気がする。その点で重要だろう。もうひとつの富野絵コンテは第21話「地下の住民たち」である。停滞に見えるエピソードが、全体の主題を組み替えていくターニングポイントであり、準備となる、という手法を習得したのだろう。
『未来少年コナン』を最後の「大団円」まで視聴。ダイス船長が、ある意味で二面性をもつジョン・シルバーの末裔であることを確認できた。『ワンピース』にいたるまで『宝島』の影響は大なわけだ。もっとも『未来少年コナン』の場合は『どうぶつ宝島』を経由しているのだが。