草鞋
去年いっぱいで二足のわらじの一足を脱いだ
北欧ビンテージを扱うお店に6年ほど雇っていただいて
ただ古いもの好きなだけでなんの知識もなく飛び込んだ世界だった
1960年代から70年代はイケイケの時代で
その頃に作られ、5、60年も経つ家具や照明や食器は今でも驚くほど美しくて
今でもそのデザインの基礎となって生き続けているものばかり。
職人のプライドが見える丁寧な作りだっだり、
何も概念にとらわれないデザインや色や材料の使い方、
古いものを手直ししながら特別扱いせずに生活に溶け込むように使い
次に受け継がれていくことの尊さが
自分自身の生き方や自分がつくる作品にも活かされている
素敵な職場だったし、これからもやっぱり古いものは好きでいつづけると思う。
まだまだあの空間の心地よさの中にいても良かったのだけれど
子どもたちがそれぞれ大きくなって
春からは新しい世界、進みたい道を見つけ
前を見据えている背中をみていると
もう手を添え前を歩く子育ては終わりに近づいているのかもと。
私自身もやりたいこと、進みたい道に戻るタイミングになったと思い、
わらじを一足脱いで新しい靴に履き替えてみることにした。
長く刺繍をしてきて
子育てだったり仕事だったり、常に何かと一緒に
二人三脚してる感じだったのだけれど
自分が作りたいものに100%向き合って手仕事をしていく。
考え、想像し、作り出す作業が一番好きなのだとやっと素直に思えたような気がします。
新しい靴に履き替えたとなると
草鞋だったから走るの遅かったんです
なんて手が遅いのをわらじのせいにしてたのも
もうできまい自分(笑)
たまには追い込んでみるのもいいな。
今もなかなか世界は落ち着かない。
私が身をおいているのは不要不急と言われればその部類
自分のことを世界中に届ける術は今は簡単にあってそれも素敵な事だけれど
手仕事で何かを産み出した作品を通して出会える場所を
大切にしたい。
そのために強くいよう。