出会 2
リュックサックマーケット
神戸に生まれ育ちながら実は摩耶山には行ったことがなかった。
どんなフリマなのかどんな場所なのかもわからぬまま
山が呼んでいる、行かねばならぬとハイジの如くおもっていた。
とりあえず形から入るタイプなので、かわいいリュックを買い
遠足の準備をワクワクしながらする小学生のように
色々つくり貯めたものやお弁当を詰め、
楽しみすぎて熱出してしまうんちゃうかとひやひやしながら
第三土曜日になった。
バスに乗ってケーブル乗り場へ、
ケーブルからロープウエーに乗って着いた場所は掬星台
夜景スポットとして有名なところなので
それはそれは美しい場所だった。
受付をしたら『好きな場所にどうぞ~』と言われ、
なんとなく選んだ場所に小さなテントを広げ
ドキドキしながら自分が作ったものを並べてみた。
子供たちも自分の使わなくなったおもちゃなんかを並べてお店屋さんごっこが始まっていた。
他の皆さんも思い思いに並べている。
食べ物だったり作ったものだったり、
自分が着なくなった服だったり使わなくなったものだったり。
そしてまったり過ごしている。
…なにこのゆるーーーーーい感じ。
めっちゃくちゃ心地よい空気。
それは山の上だからだけじゃなくて
ここにいる人全員が醸し出している空気。
よくあるフリマのように売りまくってやろう値切ってやろう的なケンケンとした刺が全くない。
いっぱい作ってんけど、よかったらいる?
みたいな感じ。
山の上でベビーの小物を売るなんてどう考えても場違いかと身構えていたけれど、
みなさんが声をかけて手に取って面白がってくれた。
そしてハイカーのお父さんがうまれたばかりの娘さんにとガラガラを買ってくれたのだ
(このお父さんが数年後のリュックで、その娘さんと共に山を登ってこられて声をかけてくださったときは感激だった)
子どもたちも知らぬ間に色んな人とおしゃべりをして、
なんと物々交換まで成立させていた。
そして友達ができていた。
なんなんだリュックサックマーケット!
なんなんだこの心地よさ。
初めて来た我が家を前から知ってたかのようにナチュラルに受け入れてくれた。
この空間にいる人全員で楽しんで、
また来月ね!と帰っていく。
これは導かれたと思った。
あの本を私の前に置き、手に取らせるように仕向けられたのだ。
偶然でも必然でもどっちでもいい。
まんまと魅力にはまってしまった我が家は
そこから10年近く摩耶山に通うこととなり、
そこで今もなお私に刺激と勇気を与え続けてくれる素敵な人達と出会うことになります。
またそのお話は次に。。
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