視覚障害者向けバリアフリー調査 in ロンドン
社会福祉士であり視覚障害リハビリテーションワーカーでもある筆者がイギリスの視覚障害者支援について2018年に視察研修したことを書いています。5回目はロンドンの街中で視覚障害者向けのバリアフリー設備について調べたことをご紹介します。
まず、いちばんユニークだったものから。
これは押しボタン式信号機の箱の底です。
この押しボタン箱が地味にバリアフリーなのです。
押しボタンの箱の底にある突起が青信号に変わるとぐるぐる回ります。
外国の横断歩道でよくあるジジジジ音が出ていたかどうかは忘れてしまいましたが、信号の色を見て確認できない人や、目だけではなく耳も聞こえにくい人にも分かりやすいのではないでしょうか。
ただ、横断歩道付近の状況はどうかというと、
RNIB最寄りのキングスクロス駅付近です。
信号付近の路面に茶色っぽい点字ブロック(点状)が敷設されていますが、歩道の色とのコントラストがはっきりしていないので、点字ブロックを見ながら歩いているロービジョンの方にとっては分かりにくそう。
次は公共交通機関についてご紹介します。
イギリスで「最も忙しい」というクラパムジャンクション駅の跨線橋です。
この写真の左側に進むと、
プラットホームに降りる階段ですが、よく見ると、向きは違えど、どの点字ブロックも棒状!日本と違う~!!
はっ!以前、日本に留学していたロービジョンのイギリス人学生が「イギリスでは棒状のブロックは止まれです」と言っていたのを思い出しました。
これからイギリスを旅行予定の視覚障害者の皆さん、気をつけましょう!
地下鉄 エッジウェアロード駅のホームです。
(※ 空が見えていますがあくまでも地下鉄駅!)
ここは日本の駅のような点字ブロックの敷設や注意喚起のラインの引かれ方でした。
さきほど紹介したクラパムジャンクション駅のホームでは、
線路側のホーム端に点字ブロックの敷設はなかったので、鉄道会社や路線によってはまだ整備されていないようでした。
最後に、私が訪問した2018年にロンドン地下鉄で唯一のホームドアがついていたウォータールー駅のホームの写真です。
見てのとおり点字ブロックは全くありません。視覚障害者はここまで一人でたどり着けるのでしょうか。改札からホームまで結構距離があります。
世界最古の地下鉄であるロンドンの地下鉄は駅によって改札からホームへ向かうためのエレベーターがない所もあります。私も今回20キロオーバーの大きなスーツケースを持って移動している時にそんな駅に遭遇し困っていたところ、素敵な(※ここ強調!!)若い男性が階段の上までさっと持ち上げてくれてさわやかに立ち去っていきました。
通訳を頼んだロンドン在住の日本人女性もベビーカーに赤ちゃんを乗せて電車を利用しなくてはならなかった時、例えば階段の下で待ってたら必ず通りすがりの誰かが助けてくれた、イギリスはそんな国ですよ、と。
日本だったら「どう接したらいいか分からないから話しかけなかった」「トラブルに巻き込まれたくないから関わらなかった」「急いでいた」なんて言うかも。
困っている人を見かけたら躊躇なく誰かが助けてくれる。
そんな国なら、イギリスは日本より物理的なバリアは多いかもしれないけど誰もがいつでも自分の好きな時に外出できるように思えました。