【人材育成】人を動かす人は『相手の欲しいものに触れる』のが上手。
『人を動かす』で有名なデイル・カーネギーさんは、
数々の著書や言葉の記録の中で、
人は興味関心のあることに反応することを繰り返し伝えてくれています。
外的な圧力や、恐怖、罰則などによって
人を思ったように動かすことは
可能?不可能?
でいうと「可能」ではありますが、
戦争や拷問などの歴史を見ても明らかなように、
短期的には効果があっても
長期的には、
やはり人は恐怖や罰則によって縛られても
動かない、と言えそうです。
世代間ギャップを痛感しながら
若手部下を育成することに苦戦されている管理職の方、
寝る時間を削り自分のことを後回しにしながら
子どものお世話や学習のサポートをされている保護者の方、
外的な圧力、恐怖、罰則、ご褒美で
相手を動かすことは、
緊急手段としては効果がありますが、
長い目で見ると、それだけでは解決できない問題が残りそうです。
デイル・カーネギーの言葉の中に、このような話が出てきます。
牛飼いが夕方になったので納屋に牛を入れようとするが
草を食(は)んでいる1匹の牛だけどうにも動かない。
仕方がないので、後ろから押したり、首につけたロープを引っ張ったりと何人もが取り掛かった。それでも牛は納屋に向かって歩き出そうとしない。
そこへ一人の女中さんが通りかかった。
彼女は、自分の親指を牛の口に突っ込むと、そのまま牛の頭を上げさせ、
後ろ歩きに納屋の方へ。女中さんの指を吸いながら、牛は納屋に向かって歩き出した。
また、こんなエピソードもあります。
3人の息子を持つお婆さまが、嘆いていた。
「毎月、息子たちに手紙を送っているのだけど誰一人、返事をくれない。寂しいものだわ」。
それを聞いたお爺さまが一計を案じた。
次の手紙の最後にささっと1行、何かを書き足したのだ。
数日後、お婆さまの元に3人の息子、全員から返事が届いた。
実は、こう書いたのだという。
「愛する孫たちを健やかに育ててくれている息子よ、君にわたしからプレゼントを同封するよ。好きなものを買ってくれ。」
そして、封筒にはお金を同封せずに送った。
息子たちは、これまでの手紙への返信ができなかったことを詫びる言葉とともに、紙幣が同封されていないことを伝える手紙を、我先にと、送ってきたというわけだ。
どちらのエピソードも共通点がある。
動かしたい人(牛?)の興味関心があることを理解していること。
それと
自分が相手にして欲しい行動を、相手の関心事に結びつけていること。
昔のアメリカの日常の一コマにはちょっと馴染みがなく
イメージが湧きにくいかもしれませんが、
本質的な原則は、今のオフィスや家庭にも適用できる気がします。
相手が何を求めているのかを知らないと対策できないということが一つ。
そして
相手にして欲しい行動というものを明確に自分が理解していることが一つ。
相手と普段から対話したり、
何気ない時の相手の言動を観察したりしていないと
相手の求めているものは分かりませんよね。
また、
「ちゃんとやれよー」「ちゃんと勉強してよー」というだけでは、
「ちゃんと」ってどういう行動?が分からないので、
相手に求めにくいということになります。
「ちゃんと」をもっと分解して言語化できるところまで
自分の中で考えてみた方が良さそうです。
学校から帰ってきたら、30分以内に30分は机に向かって宿題と復習をして欲しい。復習は国語と算数だけからでOK。
営業に同行したら、その日のお客様が求めていたことをA4紙1枚にまとめて、自分に送って欲しい。次の打ち手を考えて、10分でいいので相談に来て欲しい。
こんな具体的なレベルまで、相手に求める行動がはっきりすると、
自分の求めていることが何なのか、自分にとってもクリアになります。
相手がライバルの同期社員に負けたくないと思っているのか、
周りには無関心で、挑戦したい仕事があるのか、
この1年の間に、リーダー職に抜擢されるだけの実績を上げたいと思っているのか、
相手の希望を知り、それを後押しするために、自分が相手に求める行動の意味を紐づけられると、相手に行動を起こしてもらえる可能性が出てきます。
やれ、というだけなら誰でもできる。
やれ、と言わずに、相手にやってみたいと思ってもらうには、、、
一見、シチ面倒くさくて遠回りに感じるかもしれませんが、
その成果は、相手を成長させるのみならず、きっとあなた自身にもポジティブに働くことが返ってくると思います。
「人を動かすのが上手」「人をうまく育てられる」という評判の人は、意識か無意識かに関わらず、こんな思考をしているような気がします。