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「楽園の地図」という始まったばかりの旅のメールマガジンのこと

「楽園の地図」という旅をテーマにしたメールマガジンを始めました。

https://rakuen.theletter.jp/

週に1回発行して、現在40号になるので、10ヶ月ぐらい毎週書き続けたことになります。私はこう見えて20年以上ライターとしてのキャリアがあり、つまり誰かに何かを文章で伝えることに関してはそれなりにプロであると自負しておりますが、このマガジン、何がどうなってるのかあまりわかってもらえず(伝わっておらず)いつも質問攻めにあいます。

Q.まずなんで今メールマガジンなの?
Q.楽園の地図って何よ?
Q.何のために××さんは今までのキャリアを捨てて、ひっそりやってるの?
Q.そもそも××さん、あんまり働いてなさそうなのにどうやって生きてるの?

人が好きでやってることについてああだこうだとケチをつけなくても・・・とも思うのですが、まあ逆に質問攻めに会うということは興味を持っていただいていると証拠だと前向きに捉えています。そしてやってみてわかったことは、メールマガジンという媒体は思いの他、好かれていないということです。私はこれが悔しいです。

下記でもうちょっと丁寧に説明します。


どんなメールマガジンなの?

メールマガジンでは、1号のほとんどをインタビューに費やす特集号もありますが、基本的には下記の4つのコーナーをまとめて一つの号としています。

1.今週の楽園
私が旅に出た場所で、ここは楽園だと思った場所、とても好きな場所を写真と共に紹介するコーナーです。旅の思い出語りであると共に、観光ガイドとしても成立する情報を目指してますので、記事中に登場する施設やスポットにはすべて、Google Mapへのリンクを貼っています。

2.今週のオアシス
私はコーヒーを飲むのが好きで、1人でカフェに行くのが好きです。なので、世界中のカフェ情報を中心に、1人の時間を楽しめる場所を、オアシスとして紹介します。楽園が動ならば、都会の片隅にあるような静の場所。こちらも観光ガイドの一環ですので、登場する施設やスポットにはGoogle Mapへのリンクを貼っています。

3.今週楽園で聴きたい音楽
これは音楽紹介のコーナーです。ここからは、直接的な意味では旅情報ではありません。しかし、どの国やどの地域、どの都市にも、その場所の音楽というものが存在すると思います。ボサノヴァを知ることはブラジルやリオデジャネイロに興味を持つことと同義であるし、タイが好きで何度もタイに行ってる人には、タイ音楽について少し思いを巡らす時間があってもいいのではないでしょうか。音楽誌のように純粋に音楽を紹介するわけではなく、その音楽が生まれる背景にあるその国の文化などにより多く着目しています。

4.今週楽園に行けなかった人のために
これは映画紹介のコーナーです。私は旅が大好きであると共に、映画を観るのも大好きです。さまざまな国の、さまざまな映画を紹介しています。みんなが知ってる映画ではなく、知らない映画の良さを紹介しようと思っています。旅の話題と映画の話題が共存するのは少し違和感があるかもしれませんが、私が思うに洋画を見ることは2時間の海外旅行であると私は定義しています。映画そのものの解説というよりも、その映画の舞台となった都市、その映画が生まれた国についての解説を行っています。なのでこれは旅ガイドと無関係ではないと思っています。

たまに3か4をお休みして、今週楽園で読みたい本と題して書評が登場しますが、基本的には上記の内容と変わりません。つまり前半は旅の情報、後半は映画や音楽を通して知る旅先の文化や情報と考えていただければ幸いです。

for example・・・

記事中で紹介される音楽の例。レバノンの歌姫、Fairuz(ファイルーズ)の、Saalouny El Nas。レバノンや中東・北アフリカに行けばこういう音楽で溢れています。ちゃんと聴くと、いつも聴いてる音楽と全く違って面白いでしょ? ファイルーズは、日本では無名に近いと思いますが、中東を中心に1億5000万枚のレコードを売った歌姫で、アラブ世界で最も有名な女性歌手と言われています。・・・とまあ、こんな話題を楽園で聴きたい音楽で毎号紹介しています。

なんでメールマガジンにしたの?

noteもそうですし、その他Web上で読める記事は、一つの話題を一つの記事として紹介しています。しかしこのマガジンでは、4つの記事に「はじめに」と「おわりに」を加えて一つの号と定義しています。これには理由があります。私は世代的に、雑誌を読んで大きくなりました。今ではあまり雑誌を読む機会も減りましたが、それでも私は雑誌というスタイルを愛しています。雑誌のいいところは、例えば特集に興味があってその雑誌を買って読んでいたら、いつの間にか興味がなかった別の話題も読むことになった、ということが起こり得るからです。もちろんインターネットでも、記事を読み終わったら、別の記事をサジェストされて、いつの間にか別の記事を読んでいることは多いでしょう。でもそれは、その記事と関連のある記事や、あなたの読者傾向を捉えて、機械で選ばれたサジェストであり、あなたの興味の外にある話題に触れることはありません。私は雑誌が持つ、全く縁のなかった話題だけど、いつの間にか読んでいるという状態を生み出したかったのです。メールマガジンでは全く違う話題を一つの号としてまとめることが可能です。旅に興味があった方が映画に興味を持ったり、台湾にしか興味なかった方がスペインに興味を持ったり、そういう広がりを期待したかったのです。

また、私はやっぱり雑誌と共にインターネットも愛しておりますが、SNSが権力を持ちすぎてると感じています。全ての記事は、どれだけ読まれているか、どれだけSNSで拡散されてるか、というデジタルな値によってレーティングされていて、要するにバズる記事が価値のある記事とされています。それはnoteにおいてもそうではないでしょうか。でもみなさん、本当にそうでしょうか? バズっていても、つまらない記事はたくさんあります。またあなたの貴重な人生の時間は、芸能人のスキャンダルとか、ネットの炎上とか、そういう話題に汚染されていいのでしょうか。私が書いている記事はそういったものより、幾分マシなものを作っているという自負があります。メールボックスに届くものであれば、それはLikeの数とか、RTされたとかそういうカウンターの評価と無関係でいれます。だから私はメールマガジンというスタイルを今は選んでいまして、わりかし気に入ってます。いくら話題になっていなくても、私は読者に直接語りかけたいと思っておりまして、直接メッセージのように届いているという感じのするメールというメディアを愛しています。

for example・・・

イタリア、ローマのエスプレッソ・バー、Gran Caffe La Caffettieraは、私が大好きなカフェ(正式にはコーヒーが飲めるエスプレッソ・バーです)の一つです。ローマに行ったらコロッセオを見てトレビの泉を見てそんであとはよくわからず街をうろうろ。そんな退屈な大人にならないでください。ローマはエスプレッソ・バーに行ってカタコトのイタリア語を覚えて濃いエスプレッソを甘い砂糖でキメて、隣の観光客に思い切って話しかけるリアル英会話の街です。旅は決して史跡巡りではありません。・・・とまあ、こういう場所たちは、今週のオアシスで毎週紹介しています。

あんた、なんでそれがやりたいの?

私はこう見えて、26歳で会社を起業し、大きくはしなかったけど軌道に乗せて、そこそこなお金を30代前半で手にしました。私はヒップホップやラップが大好きなのでこう言いますが、Make money (メクマネ)したのです。その頃は同じくメクマネした知人がたくさんいたのですが、高級車をローンで買い、タワマンをローンで買い、ロレックスのデイトナを買い、チャンネエにシャンパンを貢いでいました(前者)。私はそういう世界に一切興味がなかったのです。そういうとあなたはこういうはずです。「えらいね、あなたはお金を持っても変わらなかった。家族を築いて子供を産んで、浮いたお金は寄付でもしたんですか?(後者)」

私は残念ながら前者のような成金でもなければ、後者のような聖人でもありませんでした。私はただ、20歳前後の時に思った願い事を叶えてみたかっただけだったのです。20歳前後、いつまでも本を読んで、音楽を聴き、映画を観て、お金ができれば海外にでも旅に出たいと思っていました。しかし、当時一人暮らしだった私は、働かないと家賃が払えなくなるし、食事も食べれなくなるし、とにかく遊びたくても働きに出るしかなかったんです。私は器用な方でもなかったので、仕事先ではいつもどこか浮いてました。早く家に帰って映画を観ていたかったです。

タイムスリップして現在。考えてみれば、あの時の私の思いは、あれから大きく変わることはありません。私は入場料が高くなったフジロックに行って音楽を聴き、ジャズが聴きたいという理由でニューヨークに行き、「恋する惑星」の舞台になったエスカレーターに乗りたいという理由で香港に行きました。旅に出てない日はなるべくエンタメに触れて、本を読んで、コーヒーを飲んで生きてます。大手広告代理店が提案してきた大企業のとある商品をPRする目的のための記事を書く仕事も、いくらギャラが良くても私の心を動かすようにはなりませんでした。私はただ、旅をして、音楽を聴いて、本を読んで、映画を観て、奥さんと語らい、そしてそこで得た知識を発表する場所が欲しかったのです。それがここにある「楽園の地図」です。人には人の乳酸菌があるように、望みは人それぞれ違っていいのです。私は私の望みに忠実であることにしました。

for example・・・

これは、タイの映画『ハッピー・オールド・イヤー』です。片付け、断捨離がテーマの映画です。こんまり(近藤麻理恵)さんは、実は日本だけでなく世界的に知名度の高い有名人ですが、それは世界中に片付けられない人がいるからです。もちろんタイにも片付けたくても片付けられない人はいます。この映画はタイのデザイン事務所の女性が主人公です。おしゃれなオフィスに憧れて実家を片付けようとするけど、なかなか片付かない。そんな女性がこの物語の主人公です。一念発起して、部屋に蓄えている荷物の断捨離、片付けを行いますが、そうはうまくいきません。そうやって部屋を整理すると、かつて連絡もなく別れた彼氏に関する品が出てきて・・・。

皆さんタイという国はご存知だと思いますが、タイの映画、タイのバンド、タイの小説家、タイの女優、1人でも答えられますか? こうやって考えると、実は私たちはタイのことを何もわかっていません。今はインターネットで気軽にさまざまな国の映画を観られる時代になったので、今週末はタイの映画を観てみるのはいかがでしょう。こういう話題を今週楽園に行けなかった人のためにというコーナーではやってます。こんな感じで、予告編を紹介しながら映画を紹介しつつ、映画の舞台となった場所の紹介も行っています。こうやって、旅の話題と映画の話題は接続されていて、このマガジンの個性になっていると思います。

もしよければ、人助けだと思って登録してみてください。そこにはきっとあなたが知らない世界が広がっています。

(一応Xもやってます)


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