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Diana Krall & Michael Buble の「Alone Again」#64
「歌ってみた」のドラム版「叩いてみた」新シーズンです。
曲目の一覧はこちらにあります。
🔷EAD10を使って叩いてみた演奏曲
ヤマハのEAD10でドラムを録音し、AIで音源のドラムを抜いて、録音した自分のドラムと差し替え。好きなアーティストや想い出の曲を叩いて疑似セッションを楽しんでいます。
![](https://assets.st-note.com/img/1738579227-0u72vRrUlQAkiNw1sdBTxWjS.png?width=1200)
R子の親友Mの葬式に参列した。まだMは40代だった。
Mは豪放磊落、面倒見のいい姉御肌のタイプ。
なんでもかんでも笑い飛ばしていた。
車は真っ赤なサーブに乗っていて、各部屋にエアコンがある生活。
そんな生活を
「夫に感謝はしているが、私が望んでいた生活でもない」
と話すような人だった。
R子から「知らないフリをして(Mがガンだという事を)、寿司半に来て」と連絡があった。
癌が再発して、民間療法、食事療法、いろいろ試したが芳しくないようだった。もう、好きなものを食べさせてあげたいと思ったらしい。
Mは寿司が大好きだった。
「絶対フツーにしててよっ!」と念を押された。
店に入る前に軽く深呼吸した。うまく笑えるか?
「Mさん、ひさしぶり。あいかわらず、お綺麗で! 笑」
「『でしょぅー』って、rakuda君もあいかわらず。ありがとう!フハハ」
R子とMは高校生からのつきあいだ。
お嬢さん学校と云われている高校に通っていたがあぶり出されたふたりが仲良くなったという話を聞いた事がある。
わかる。あの学校では確かに浮きそうなふたりだ。
目の前にご馳走があるのに、それも大好物の寿司があるのに、
Mはしゃべってばかりであまり箸がすすまない。
あんなに好きだった酒もほとんど手つかずのままだし。
あいかわらずよく笑うので、大病を患っている事も感じさせないけど。
煙草を吸いに、店の外に出た。
自転車で来ていたので跨っていると、Mが出てきて荷台に乗り、
「rakuda君、レッツ・ゴー!」と車掌の真似をするようにいった。
「右よ~~し、左よ~~し」
僕は自転車をこぎはじめたがその軽さにハッとした。
腰に廻る手も細いし、力もない…
「もっとギュってつかめよ!」
「いや~~ん、そんなん、はずかしいー」
「うそつけ~~~~!」
自転車から降りた彼女は言った。
「rakuda君、もう知ってると思うけど、再発しちゃった…」
R子は弔辞を読んだ。
M のご主人は浮気をしていた。浮気というより2号さんがいた。
愛人宅に泊まったり、自宅に帰ったりという生活。
父親もそうだったらしく、彼にするとそれがあたりまえの世界、あたりまえの生活だったかもしれない。
愛人の存在が、どれだけMの心の負担になっていたか…
R子だけがMから聞いていた。
R子は、涙を流しながら、怒りや哀しみを押さえ込もうともせず、Mがとても苦しんでいた事を、訴えかけるように弔辞を読みあげた。
葬式のあと
「ああ…云ってやった」
R子は小さく息を吐いた。
<了>
Top画像はhoho8888さんから。
hoho8888さん、ありがとうございました。
Mがラインで、「Kは(Mの娘さん)Mにだんだん似てくる」
とKちゃん、そしてKちゃんの娘さんふたりと食事をしてる写真を送ってくれた。Mも生きていたら、ふたりの孫をもつおばーちゃんかぁと思ったら、この日の事を思い出して書きました。
悲しかった食事と度肝を抜かれた弔辞。RとMの友情、最高です😊