家族ウォーキングのすヽめ
○犬との散歩
わたしの実家ではペットを飼っていました。
オスの白柴です。3年前に癌で亡くなりました。
わたしが中学生の頃わが家にやってきて、家族みんなの癒し、拠り所、そしてパートナーとなりました。
いっつも寝てばっかりで、食いしん坊だったけど、みんなが大好きでした。
うちは女ばかりの家なので、特にお父さんが可愛がっていたなあ。
朝早く起きてお姉ちゃんと犬の散歩に行ったり、散歩行くよって言っても犬のほうが全然行きたがらなかったり、懐かしい思い出です。
休日、お父さんとお母さんと車に乗って近くの海に犬を散歩に連れていくのがとても好きでした。
車に乗るのが好きだからなのか、おやつがもらえるからなのか、その時はいつもワクワク軽い足取りでついてくる。
お父さんもお母さんも普段全然運動をしないから、体を動かすのにちょうどいいねなんて思いながら、2人と犬の姿を後ろから撮ったこの写真はわたしのお気に入りです。
○パートナーを失って
ある時から、食いしん坊のはずの犬が全然ごはんを食べなくなった。元気がなくて、ずっと家の隅や普段行かないような場所に隠れてる。息苦しそう。
病院に連れて行き、手術を試みるも、もう手遅れで。その後はできるだけのことをして、そっと見守る日が続きました。
お疲れ様、ありがとうと最後の日を迎えました。
家族みんなが悲しみに暮れながらも、
月日が経ち、騒がしい日々を過ごす中で、徐々に悲しみや寂しさは癒えていきました。
犬がわが家にやってきた当時はバリバリに部活をしていたわたしも大学生、社会人となり、運動とはずいぶん疎遠に。
気づけば、お父さんとお母さんは昔に戻ったように体を動かすことがなくなっていました。
○家族ウォーキング
真夏の暑さが少し和らいだ頃から運動不足解消のため、夕方ウォーキングを始めました。
お母さんが家にいれば、誘っていっしょに。
普段照れ臭くて話しにくいようなことも歩きながらだとなぜだか話せるんです。
季節で違う風、虫の声、空の色、空気が気持ちいい。
ちょっとでも運動不足解消になればと思って歩いているけど、それよりもリフレッシュ効果のほうが大きい気がします。いろんなものが生きてると感じられる。
ある日、いつものようにウォーキングに出かけようとすると、お父さんも一緒に行こうかなと言ってきました。長年デスクワークで、休日はずっと録画番組を観て、どこかに出かければすぐに膝が痛いと言うお父さん。密かに老後を心配していたので、これはいいチャンスだと思い、大歓迎。
いつもの田んぼコースを3人で歩く。
いきなり早足だとお父さんの足腰が心配だから、ウォーキングというよりは散歩。
植物や鳥の話をするお父さん。自然や生き物が好きなんだなあと思う。
通り過ぎる電車を孫のために撮ろうと必死でスマホを向けるお父さん。お母さんと目が合ってにっこりしちゃった。しかも動画撮れてなかったって、3人で笑った。
○夫婦ウォーキング
次の週末、家族のグループLINEに白い彼岸花の写真が送られてきました。
夫婦2人で歩きに行ったんだと嬉しくなる。
話をしながらお父さんが写真をパシャリと撮る光景が目に浮かぶ。またあのおじさんと柴犬に会ったかな。これから2人で歩く習慣がついたらいいなと思いながらスタンプを送りました。
聞けば、お父さんの方から歩きに行こうとお母さんを誘ってきたのだとか。
○家族ウォーキングのすヽめ
お父さんとお母さんは散歩仲間であり、時には小言相手でもあり、人生を共に歩むパートナーでもある。
ああ素敵だなと思いながら2人の背中を見つめる。
こうやって家族で過ごす時間はきっとすごく貴重なものなのだろうと噛み締める。
前からおじさんと柴犬がやってきて挨拶をする。
3人とも顔がほころぶ。
やっぱり飼っていた白柴を思い出すよね。
わたしが遅れた嫁に行く時、2代目犬をプレゼントしようかな。
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