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#190 司書、ADHDと診断される
僕には誰にも言えない悩みがずっとあった。
今までnoteにも書いたことはないし、友達にも親にも相談したことが一度もない。
だから、まさかこの内容を書くことになろうとは思わなかった。
けれど、もう自分一人で抱え込むことはやめにした。
本記事で、僕の抱えていた悩みと今日の出来事を洗いざらい書く。
誰にも言えなかった自分の癖
僕が誰にも言わずに抱えていた悩み。
それは、爪を噛んだりむしったりする癖だった。
こうして執筆しているとき、なかなか文章が出ないことがある。
そういったときに自分を落ち着かせようとして、過剰に爪を噛む癖がある。
爪を噛むと、甘皮が少し飛び出たりする。
そこから爪の横の皮をむしったりしてしまう癖がある。
僕はなるべく人前では、爪を隠すようにしている。
爪も甘皮もボロボロで、清潔感がゼロだから。
そして時には血が滲んでいることもあるからだ。
この悩みは誰にも言えなかった。
人から見たら、自傷癖があるように見えるから。
これもまたnoteでは初めて書くが、中学生の頃に僕はリストカットをした経験がある。
人生でトップクラスに辛く、暗い時期だった。
だけどもうそんなわかりやすい自傷は20年近くやっていない。
だから、この爪噛みや爪むしりも自傷行為ではない――
と、自分の中で思い込み、必死に自分は普通だと言い聞かせていた。
人は誰だって多少なりはコンプレックスを持っているものだと思う。
僕の、最大のコンプレックスは、自身の爪だったのだ。
爪噛み・爪むしりは強迫性障害?
だけど常々、僕はこのコンプレックスを克服したいと思っていた。
今年に入り、もう自分一人で解決するのは無理だと判断し、まずはそういった病気があるのかどうかを調べていた。
そこで辿り着いたのが、身体集中反復行動症という病気。
これは、強迫性障害の一種なのだという。
症状としてこのようなことが書かれていた。
身体集中反復行動症の人は、爪や唇をかむ直前に緊張感や不安を抱いていて、そのような行動をすることで、その感情が和らぐことがあります。
これじゃん。
え、僕、強迫性障害なの?
もちろん衝撃こそ受けたけれど、ようやく自分の悩みの正体を見つけることができたという喜びの方が大きかった。
適応障害で心療内科に受診したことはあるが、爪についてはもちろん初。
一大決心だった。
コンプレックスを解決したい。
日頃抱えていた身体への違和感
幸いにも、今回初めて診てくれた先生とは相性が良かった。
心療内科というのは、特に医者との相性が大切。
徐々に解決へと向かっている……そんな感覚を覚えた。
長年抱えていたコンプレックス。
それを先生は親身に聞いてくれた。
ストレスにさらされるとそういった行動を起こす人も多いようだ。
だが、先生が診ている患者の皆さんにはそれ以外にも自身に違和感を持っていたのだという。
それは身体への違和感。
何もしていないのに身体がぞわぞわしたり、
髪をいじっていないと落ち着かなかったり、
椅子に座りっぱなしの状況が辛かったり。
例に出されたことは、全て僕も該当していた。
そしてそれを僕は違和感として捉えてはいなかった。
身体がぞわぞわするのも当たり前だし、
髪をいじってしまったり、唇を噛んだりするのも当たり前。
椅子に座りっぱなしがきつく、デスクワークをしながらも筋トレをしたり、ちょくちょく事務室の外に出たりというのも日常茶飯事だった。
それは、当たり前じゃないのか。
いや、当たり前じゃない。それは確かに違和感だった。
それを当たり前のことだと、僕は常日頃から抑圧していたのだった。
ADHD発覚
先生は、「もしかしたら」と言って、僕に一枚の紙を渡してきた。
それは「成人期ADHD症状チェックリスト」なるものだった。
全てではないが、「あ、わかる」と思った項目がいくつかあった。
そして、続けて受けた3枚にわたるテストの結果から、
僕は、ADHD——注意欠如多動症だと診断された。
ADHDの症状を大別すると二つに分かれている。
気が散りやすかったり、注意散漫になったりする不注意症状。
落ち着きがなかったり、衝動的な感情が抑えられなかったりする多動性・衝動性症状。
僕はどちらかといえば後者の多動性・衝動性症状が強い傾向にある。
確かに僕は他の人よりも、動きが多いと前々から感じていた。
特にリモート会議をしたときに、明らかに僕だけ動きが多いと思った。
頻繁に髪を触ったり、顔に触れたり、首を傾けたり――我ながら落ち着きがない。
その落ち着かない気持ちを、爪噛みや爪むしりで抑制していたのだろう。
結局のところ、それで抑制できるわけでもなかったのだが。
ADHDにもさまざまな症状がある。
大きい症状もあれば、小さい症状もある。
だけど僕が今まで抱えていた生きづらさだとか、自分への違和感、そして最大のコンプレックスである爪噛みや爪むしり。
それらの原因の一つが、ADHDだったのかもしれない。
その診断が下されたとき、もちろん少しはショックだった。
だけど、ネットで身体集中行動反復症を見つけたときと同じように、ようやく自分の正体がわかったような気がして、安心した自分もいた。
これからは一人で戦わない
診断を受けた際に、先生は僕にこう言ってくれた。
「今までよく一人で頑張ってきたね」
すぐに僕は「いやいやそんな」といつものように褒めを回避してしまったけれど、少し涙腺が緩みそうになっていた。
今まで僕は爪噛みや爪むしりをする自分が嫌いでたまらなかった。
なんでこんなことをするんだ。
子どもじゃないのに、爪なんか噛むなんて気持ち悪い。
他人にそう言われるのが怖くて隠していたのに、攻撃的な言葉を向けてくるのは、いつだって他でもない自分自身だった。
だけど、それもまた孤独な戦いだったのかもしれないと思った。
爪を噛まない正常な人間になるために、必死に頑張っていたのだ。
たった、一人で。
でももう僕は一人で戦うのはやめた。
メンタルクリニックの先生には洗いざらい話した。
そして今、こうして不特定多数に見られるこの場で洗いざらい伝えた。
難病のときと同じだ。
僕はADHDである自分を受け入れて生きようと決意した。
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