日本に1年で取れる産科認定医制度を作る
先日、コロナ禍で全く参加できてなかった「日本産婦人科学会学術集会」に参加してきました!
コトクが最近ずーっとしている「へき地における出生率の低下と分娩施設の有無に関する研究」について発表してきました。
はじめての全国学会での発表は緊張しましたが、自分の大切に育ててきた子供の様な研究の成果を発表する機会だったので誇らしくもあり、会場の雰囲気から「世の中に必要なこと」と受け入れてもらえたのはうれしかったです。
こちらは早く論文化して、今度は世界に飛んでけ飛んでけしないといけないのでお父さんはもうひと頑張りします。
学会の中で「地域のお産を守るためにこれから日本産婦人科学会はどうするか?」といった内容のセッションがありました。
日本の産婦人科の偉い先生たちが色んな話し合いをして、提案をしていました。
ただ、産婦人科専門医がどんどんこれからも都市部に集中する流れは変えられないです。
だから、コトクは解決策として『1年で取れる産科認定医制度を作る』ことを提案します。てか、コトクが作ります。頑張るぞ。
地域医療を担っているのは今も昔も総合診療医、ジェネラリストであることは間違いないです。
そんな総合診療医が1年で取れる「産科認定医制度」があれば、地域での妊婦健診や正常分娩を産婦人科専門医と総合診療医のチームで守ることができます。
沖縄や東京の小離島では、総合診療医の先生たちが数ヶ月の産婦人科研修を行った後に小離島で妊婦健診をしてくれています。
ただ、彼らの妊婦健診で何かあった時に誰が守ってくれるのだろうか、彼らの質は誰が担保するのでしょうか。
彼らの「やる気」や「純粋な地域の医療を守りたい気持ち」だけに依存するのはいい加減やめましょう。
もっと日本産婦人科学会がプライマリケア学会と手を組んで地域のお産を守る産科総合診療医を育てるシステムづくりをするべきじゃないでしょうか。
例えば、1年で取れる「産科認定医制度」があれば総合診療専門医や内科専門医、外科専門医をとった後のサブスペシャリティとして産科認定医をとる人が増えるかもしれない。
産科認定医を持つ人は「正常分娩管理」や「妊婦健診」「月経困難症に対するピル処方」「産後ケア」「子宮頸癌健診」などの産婦人科医におけるプライマリケアを行うことを”認められる”としたら、
『女性のヘルスケアができる様になりたいな』
『3年間の産婦人科専門医はしんどいけど、1年なら取ろうかな』
『お産が好きだけど、癌とかはあんまり見たくないな』
みたいな研修医や医学生にとって魅力的なプログラムになりませんかね。
さらには1年と限定せず、グラデーションも大事なのかなと。
「女性ヘルスケア認定医」
6ヶ月のプログラム→妊婦健診、月経困難症のピル処方、子宮頸癌健診
要件:半年間地域周産期センターで産婦人科医として勤務すること
「産科認定医」
1年のプログラム→正常分娩管理、妊婦健診、月経困難症のピル処方、産後ケア、子宮頸癌健診ができる様になる
要件:1年間地域周産期センターで産婦人科医として勤務する
1年間で分娩100件と帝王切開に30件以上立ち会う
ピル処方10件以上
認定医試験の合格
ALSO、NCPRの取得と毎年の受講の義務
→勤務年数、症例数などで産婦人科専門医への移行措置あり
「産婦人科専門医」
3年のプログラム→産婦人科専門医のコンピテンシー参照してください
https://www.jsog.or.jp/activity/pro_doc/pdf/manual.pdf
みたいなグラデーションがあれば、産婦人科に対する高いハードルも少し低くなるのではないでしょうか。
オーストラリアやカナダ、アメリカではすでに家庭医、総合診療医の先生が取得できる「産科認定医」の様な制度があります。
https://www.vicruralgeneralist.com.au/assets/documents/DRANZCOG-Advanced-Information.pdf
https://www.racgp.org.au/FSDEDEV/media/documents/Education/FARGP/Certificate-of-womens-health.pdf
例えば、オーストラリアではrural GPというへき地で働く総合診療医の先生が1年間周産期センターで帝王切開を100件執刀することで得られる「産科認定医」というものがあります。
だから、オーストラリアのrural GPの先生は帝王切開もするし、吸引分娩もできます。
広大なオーストラリアのへき地を守っているのは総合診療医の先生なんですね。
コトクは今、産婦人科専門医試験が終わり、現在は総合診療プログラムを開始しました。
「お産がとれる家庭医」までの道のりはもう少しです。
皆さんに「すごいね」「大変ですね」と言われることが多いですが「産科認定医制度」があれば、そんな大変な道でもないと思います。
「お産がとれる家庭医」になりたい方は結構多いと思います。
何より家庭医の先生は女性のヘルスケアに関して「予防医学的」「包括的」「家庭医学的」にアプローチしてくれるので、患者さんにとっても、産婦人科学会にとっても強力な味方になると思います。
日本の南の端で産婦人科医として、総合診療医として働いている「いち島医者」の戯言、独り言ですが、地域の産婦人科医不足を解消する一つの提案としていかがでしょうか。
妊婦さんが、家族が自分の生まれた地域で産み、育てていける地域が日本中に溢れますように。