ルイス・キャロル「不思議の国のアリス」。この人がゲーム作ってた事、知ってました?(2)
この記事には重要な注意点があります。必ず(1)の記事文頭に記した注意書きをお読みの上でお楽しみください。
画像ならびに、ルイス・キャロルに関する研究成果等は、主としてwikipediaの英語版から引用しています。それに加えて、彼の友人らの記述等も一部引用していますが、すべてwikipediaの文末に参考文献リストとして書かれている書籍類に基づきます。
前回の記事で紹介した「Natural Selection」。私は思わず「むぅーっ!」って、うなってしまいました。
なんというか、ルールブックから、このゲームの楽しさ・面白さが伝わってこないんですよ。
もちろん、ランデブーパターンとかって、ギミックのほうはすごく面白いんです。しかし、そのギミックのせいで、ゲームの楽しさの方は犠牲になってませんか?最善手の選択肢が少なくなり、ゲームの流れ全体が「作業化」している気がします。
そんな疑問を感じた次第です。
皆様はいかが感じられたでしょうか?
さて、ルイス・キャロルさん。本名はCharles Lutwidge Dodgsonさん。
この人は「不思議の国のアリス」の登場人物「アリス」ちゃんのモデルとなった少女に求婚したっていうのは、とても有名なエピソードですよね。
「娘さんを僕にください」ということで、将来、結婚適齢期になったら彼女との結婚を許してほしいと、ご両親にその承諾を求めた。と。
そして当然予想される通り、ご両親は「絶対にだめだよ」と強く拒絶の返事をしたとのこと。
このエピソードも含めて、ルイス・キャロルは年齢の小さな少女にしか性欲を感じない「変態野郎だ」という議論が巻き起こったこともあります。
そんな年代、そんな時期もありました。
私は1985年頃にこういう内容の文献をほぼ一通り読破しまして、「なるほど」とひとり納得し、それから35年間あまり、ず~ーーーっとこの問題には触れずにおりました。
しかし私が知らない間に静かに、1999年付近を境として、すごい調査がいつのまにか始まっていたのです。「Dodgsonさん」の日記を本気で深掘り精査しようとする人々が現れたのです。
彼の日記は、遺族らが、何か大事そうな部分をバッサリとハサミで切り取って捨ててしまった。というのはとても有名な話です。
その日記の「ナゾの部分」について、多種多様な手記(友人や同僚などとの文通記録ならびに、遺族らの当時書き残したメモ類)を証拠品として、「その(切って捨てられてしまった部位)のページには、〇〇というテーマに関する彼の意見や体験が書かれていたはずだ」と、次々と欠損部分を埋めていったのです。
私の記事は、あくまでも「ボドゲ関係」に集中したいので、そうしたお話の顛末は軽く扱います。ともかく、1999年以後に出てきた研究成果を可能な限りここで短くお話してみます。
まず、大事な注意点から。彼はすでに亡くなっているうえに、日記の大事そうな部分は、遺族が切り取って捨てちゃいました。
従って1999年以後に出現した「有力な学説」でさえも、「ものすごくホントっぽい。きっと真実だよこれ!」と言えるだけで、真実だと言い切ってしまうのはやっぱり危ないのです。
と、前振りしてから、現時点(2024年)の有力な学説をご紹介。
様々な物証からみて、少女アリスへの求婚は、なかった。としか考えられないそうです。
ある年号を境に、急にDodgsonさんとアリス・リデル家とが疎遠になったが、それは「求婚」のせいだという説には「全く根拠がない」。と結論されています。
意外と大事なことですが、アリスへの求婚宣言を、これからするぞ、とか、ついに言ってやったぜ、と、「ほのめかす」ようなメモや手紙は一片も発見できていません。友人知人を含めて360°周囲全ての範囲の話です。
ちょっと考えてみてください。
誰かが1人でも嘘をつけば、必ずどこかで1か所くらい、つじつまが合わなくなり、ほころびが生じるものです。ところが、360°全周囲で、情報と情報との間に矛盾がありません。実に「つじつまが合ってます」。
だから、求婚事件は、そもそも「なかった」と判断すべきなのです。
では、ある時期を境になぜ、彼はアリス・リデル家に通わなくなったのか?それは「ルイス・キャロルは、アリス・リデル家にまつわる『成人女性』の方々を、(ふしだらに)口説きまくっているとのウワサが本当にあったから」です。
そういうウワサが、この当時に流布されていたという事実と照らし合わせると、まあ、不思議な行動ではない。自然な成り行きだ。と思えてきます。
リデル家と、ルイス・キャロル(Dodgson)との両者にとっては、事実無根なだけでなく寝耳に水の話であり、非常に困惑したのではないか?と推定されます。
しかし、そういう「ふしだら系」の噂は、イギリス社交界で活躍するうえでは非常にまずいのです。
うわさを冷ます目的で、仕方なく、彼はリデル家と、ほとぼりが冷めるまで通わないようにしましょう、と約束せざるを得なかっただけなんじゃないか?と 考えられるのです。
参考:
*遺族が日記を部分的にハサミで切って捨てた理由は、ルイス・キャロルの個人的スキャンダルを示唆する恐れがある(心配がある)記述内容だと、当時の遺族が「そう信じたから」。というのが現在の有力な解釈です。
切り捨てられた部分は、全てスキャンダルに関係すること、と見なして、日記の欠損部分の内容を推定していけば良いわけです。
・・・突然ですいませんが、続きはまた明日です。