面心立方格子をボードゲームに応用しよう(1)
先週の記事では、△の中心にマルを乗せ続けると、面心立方格子と同じ積み方になることをお示ししました。では、「六方最密充填」にするためには、マルの乗せ方をどう工夫すればいいのでしょう?
答えはこうです。
面心立方格子 △△△△△△△△・・・・・
六方細密充填 △▽△▽△▽△▽・・・・・
「マル(原子)」を上の層に積む時、常に△の中心に積み上げれば「面心立方格子」です。
六方最密充填は、△▽とを繰り返し交互に積めば作れます。
しかしそれって、2階を積むときは△の中心の上に、3階を積むときは▽の中心の上に・・と言う具合に、奇数階と偶数階とで積み方を、いちいち注意しながら逆にしなければなりません。このような積み上げ方は、ボードゲームを創作する上では、とんでもない「ルールの複雑化」を招きます。
「△△△・・」と単純なルールで積み上げれば良いという面心立方格子。ボードゲームに応用する時は、これ一択になると思います。
(!個人の感想です)
ということで、結論としては先日ご紹介したドイツゲーム「Das Spiel」のような、そんな応用法「1択」しかないと分かりました。
しかし、今日のお話はそこで終わりません。
とにかく前振りなしで、この図をご覧ください。
図を見ても「何これ?」としか感じない方もいらっしゃると思うので、少し解説します。
Zenithのコマは「正三角形のタイル状」です。このゲームでは、コマを2階や3階へと、上に積み上げることが許されています。
上に積み上げる時は、必ずコマの向きを△にして置かなければいけないだけでなく、三角形の3つの頂点は、必ず土台となる三角形3つの腹(辺)に乗っていなければいけません。
この積み上げ方の規則性は、「面心立方格子」での原子(マル)の積み上げ方と全く同じなのです。つまり「ほぼ平面なゲームコンポーネント」を使って、3D立体ゲームをシミュレーション可能だという事を、このゲームは示しているのです。このゲームの存在をBGG内検索で知った時、ラジくまるは衝撃を受けました。こんなアイデアがあったとは。と。
ちなみに、雑にZenithのルールをご紹介します。
Zenith 2 to 4 players(雑なルール紹介)
勝利条件:
最後まで自分の色のタイルを置き続けた人が勝ち。
用具:
4色の色違いの正三角形のタイル状コマ各29。合計116枚。
ゲーム盤:形状違いで4種。(詳しくはBGG参照)
遊び方:
ゲーム盤上の任意の空きマス(白い三角形の絵)、あるいは3つのコマで支えられているなら、その3枚の中心に積み上げる事ができる。
ただし、積み上げる場合は、三角形の向きは同じ向きにそろえねばならないし、そのうえ「下で支える3枚のコマ」のうち少なくとも1つ以上は自分の色のコマでなければいけない。
*このルールのせいで、置けなくなったプレーヤーは自分のターンをパスする。(事実上は、すでに敗北したも同然。)
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このZenithと名付けられたゲーム。ちゃんと確認していませんけど2人用ゲームとしては結構面白そうな予感がします。同時に、4人ではルールが破綻しているように見えます。3人がガシガシと1人を集中的にいじめた時、なすすべもなく、集中的にいじめを受けた1名が脱落します。その欠点は、ちゃんと追加ルールを作って補正しないといけなかったのに。
まだこの記事は続きがあります。また明日です。
ゲームシステムのデザイナーって、何なの?どういう意味? そんな疑問は、私の記事群によってご理解いただけるものと期待してます。 ラジくまるのアタマの中にある知識を活用していただけるお方、サポート通知などお待ちしています。