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CDの音声記録(1);フーリエ変換は不使用
突然ですが、フーリエ変換ってご存じですか?
音波とか、電磁波などの「波」を数学的に扱う技術手法のひとつです。
たとえば仮に、オーケストラの生演奏データ(音波)を目に見えるようにグラフとして描いてみたらこうなったとして・・・・
![](https://assets.st-note.com/img/1729343802-mtxNYPrvpV46OwoScn5Hq9jJ.png?width=1200)
この複雑な「波」を、たった8個~16個程度の単純なサインカーブの「和」として表現してみよう!と数学的な解析演算を試みることです。
そんな「技術」のことを「フーリエ変換」と言います。
脚注:ここで「和」と説明したところは、数学理論的には本当は内積とのことで。・・・・すいませんが、数学は得意ではないのでそういう厳密な点は私は理解していません。でもこのまま話を進めます。
![](https://assets.st-note.com/img/1729343889-OyIYvGUlCxAMub94QwoDZ2zB.png?width=1200)
音の大きさ(振幅:上下幅)も異なる
3種類の波を用意して・・・・
フーリエ解析の結果、上に示した3つの波を使うと・・・・・
![](https://assets.st-note.com/img/1729344016-j5cqv97dCWXJhbSt3O0gi6LI.png?width=1200)
問題として与えられた「音波波形」を、単純なサインカーブの波、3個の足し算で完璧に再現することができました。
こういう解析のことをフーリエ変換と呼ぶわけです。
![](https://assets.st-note.com/img/1729344376-QT31DRnPAMZCmVqcHrleiuLy.png?width=1200)
このグラフの高さは、それぞれの波形の「振幅:強さ?量?」を示す。
問題として出した波形(今回はぐにゃぐにゃ波と呼んでおきましょう)は、フーリエ変換を実行した結果、「440Hzを7」+「880Hzを2」+「1760Hzを3」という3つのサインカーブの和によって再現が可能だとわかりました。
***
?はあ?
フーリエ変換が「一体なんなのか」はその説明図を見て、よくわかったんだけどさあ、でもさあ、そんなことをして何の意味があるの?
という人が大部分だと思います。
たとえば、フーリエ変換を実行して、音を各周波数ごとにバラバラのデータとして持っておくと、オーケストラの録音データの中から、「オーボエの音」だけを抽出してそれだけを再構築、なんてことも理論的には可能になります。いわゆるカラオケ作りにも役立ちそうですね。でもそれでもまだ、
「はぁ???オーボエの音だけ取り出すなんて、そんな需要は、そもそもないよ?誰得?」
という疑問を持ちますよね。それ、本当にごもっともです。
フーリエ変換が便利だとか、活用できるとかいう場面は、オーケストラの録音関係では「なさそうだ」と私も思います。
しかしオーケストラからかけ離れた話題、例えば、自動車のエンジンが不調な時に発生する「特異的な異音の解析」とかそんな感じのシーンならば、フーリエ変換は大活躍できる気がします。
「不調なエンジンの録音データをフーリエ変換解析した。
正常な時のエンジン音と比べると、異常なエンジンでは、特異的に130khzの音が1つ増えていた。
この波長から推定される「異常な空間のサイズ」は、長さが2.34cmくらいの細長いリコーダーのような構造体である確率が高い。
故障したエンジンにそんな「空間が新しく生じる」と仮定すると、そのようなことが生じうる部品箇所は・・・・」
なんてね。そんな利用法です。
こういう原因解析は、フーリエ変換なしにはなかなか出来ないだろうと思います。
***
ここまでは「音の波」の話をしていました。
でも、波って「音」だけじゃないですよね。
「電子」とか「光」とか「素粒子」だって、波の性質があるわけです。
そして、測定対象物によっては、あるいは、測定機器の都合によっては、「フーリエ変換後の値」しか測定結果が出てこないような事象だってあります。
その場合は、測定して得られたデータに「逆フーリエ変換」を実行して、「現実世界の波の形状(空間的な電子or素粒子の配列状況)を再構築」しなきゃなりません。
フーリエ変換、逆フーリエ変換の詳しい話はラジくまるは知らないので的確に説明できないのですが、ここでは雑に&さっぱりと言い切ることにします。
例えばの話、「ある状態の電子群」を測定したところ、「10MHZの電子が32単位」+「2300khzの電子が7単位」+「650khzの電子が230単位」なんて測定値が得られたとします。
じゃあ総合的にはどんな感じの「電子雲(電子空間分布)」なのよ?という疑問に応えるべく、得られたデータに「逆フーリエ演算」を実行します。
計算結果をもとにして、電子の空間配列分布を3次元映像としてCGで描いてみる、みたいな利用法になるはずです。
***
実はつい最近まで、私はCDへのオーケストラ音の録音記録は、フーリエ変換を使って、単純なサインカーブ16個、あるいは32個に分解して、それらの単純なサインカーブの「総和」による「近似値」をCDに記録しているに違いないと信じていたのです。
間違ってました。
音楽CDへの記録形式は、全くフーリエ変換を使っていませんでした。もっと泥臭い記録方法でした。
ということで、音楽CDの話は来週に続きます。
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