CDの音声記録(2);記録方式の限界と弊害
CDの記録方式は44.1kHz16bitですね。
今更ですけど、この名称は中身を誤解させてしまう、良くない命名だったです。
CD記録における44.1kHzとは、1秒間あたり44100回のサンプリング(測定)するという意味になっています。
音の単位としてよく使われている「周波数」という単位。
これは「1秒間に何回、同じ形状のサインカーブを繰り返しているか?」という単位です。例えば440Hzの音は、1秒間の間に440個のサインカーブが存在していることを意味します。言い換えると、1秒間に440回も「鼓膜が震える」ことに相当します。
ところが、CDの記録方式で44.1kHzと言う時は、この波の繰り返し回数とは、全く関係ない話をしています。サンプリング(測定)個数です。波の繰り返し回数ではありません。
いったい誰が言い始めたのですか?
本来は44.1k samples/sec, 16bitと言うべきだった、この記述法を。
kHzなどと書いてしまったせいで、多くの人が誤解してるじゃないですか。
0秒~1秒までの時間間隔あたりに、44100個も測定値データがあるよ。いっぱい測定(サンプリング)しているねえ。という意味合いです。
全く周波数ではないです。
さて、もうひとつある16という数字、こちらのほうは16bitを意味します。
2の16乗のことです。
この数値は「音の強さレベル:音圧」を表しています。2の16乗で表現できる数字の範囲は0~65535ですから、65535種類の「音圧の強弱」を記録していることになります。
この説明を読み、ちょっとしばし考察したのです。そしてあまりの驚きにぽかーんと口を開けてしばらく止まってしまいました。
こんな簡単&単純な理論でCDに記録しているの?
あまりにもカンタンな原理でびっくりなんですけど。
例えばこんな音声データを・・・
こんな感じにデジタル化しているわけです。
CDからデジタルデータを読み取って再生する際は、点と点との間は「無音」にならないように、なめらかな曲線(ペジエ曲線みたいな感じ)で結んで音を再生します。
十分に細かい、たくさんの「測定点」があるから、音のサインカーブがちゃんと再現できるのだ・・・そんな原理を使っているわけです。
例えば、基準音として知られる「ラ音」は440Hzです。1秒間に440個のサインカーブが入っているわけですね。CD記録は1秒間あたり44100個の音圧データがあるわけですから、図にしてみると、CDでの記録状態はこんな感じです。
こうなると、ヒトの可聴限界と言われている20kHzはどんな感じでCDに記録されるのかが気になりますよね?
基準音「ラ:440Hz」と、ニンゲンの可聴域限界と言われている「20kHz」とを重ねてグラフにしてみました。
このように、ニンゲンの可聴限界とされる「20kHzの音波」は、CDの場合には、なんとかギリギリ記録できてるーまさに限界ギリギリーということがよくわかります。
ちなみに、ほとんどのヒトは20kHzの音は「聴こえない」です。
従って、20kHzの音をCDはギリギリしか記録できてない状況と言っても、99%のニンゲンにとってはそれは影響なしです。
どうせ聞こえていません。
来週に続きます。