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思考のゴミ箱

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幸せになる為の粉を食べたら月が3つになった話

※全て空想上の物語です。 皿の上で透明な結晶達が集まってサラサラとした白い粉になっていた。 目の前の男はそれの一部をオブラートで包み、紅茶と一緒に私に手渡した。 男の言う通りに、オブラートを口に入れ、まだ湯気の立っている紅茶で無理やり流し込む。 熱い液体とオブラートが、喉から食道へ、そして胃へと落ちていく。 熱を持ち始めた体の中を、明確な意志を持っているみたいに血液が流れる。 これって一種の破滅願望みたいなものだなぁ、と私はぼんやり思っていた。 この目の前の男に

    • 自分の子供が死のうとしたらベランダで肉を焼く

      私が自殺未遂をして病院に運ばれたのは夏だった。 気付くと、パーテーションで区切られた診察室の診察台で私は寝かされていた。 外は暑いのに、病棟内は空調が効きすぎていて、私の体は冷えていた。 私は意識が戻ったばかりで、まだ朦朧としていて、医者と母親の会話も、病室もこの状況も、なにもかもが現実味がなくて、夢の中にいるみたいだった。 水色の四角い夢の中に閉じ込められてる気分。 ここは水槽の中みたいで少しだけ息がしづらい。 刹那、耳をつんざくような力強い泣き声で、四角い空間

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