ウィッシュ、見ました(ネタバレゴリゴリあり)

ディズニーのウィッシュ見ました。感想とかレビューします(ネタバレゴリゴリあり)後つまらないギャグとか言ってます

☆なぜウィッシュ見たか

 なんかネットとかですんごいボロくそ言われてたりyoutuberのレビューとかでボロくそ言われてたりしてたので逆に興味出てきて見に行きました。どんだけひどいねんと。

☆結論から

 別にネットで言われてるほど酷いわけじゃないです。まああの人達は過激に言って閲覧数稼ぐのが生活に直結するので仕方がない面もあるのかなと思いました。
 ただ面白いかと言われると微妙なところで、そもそものストーリーの構造が非常に人を選ぶというか、ベビーとヒールの対立構造がかなり癖のあるものになっているので、そこを受け入れられるかどうかで残りの60分くらいが苦痛かどう関わってくると思います。

☆クソざっくりとしたあらすじ

・魔法の王国ロサス王国は、18歳になると偉大なる魔法使いで王であるマグニフィコ王に『願い』を献上する決まりがある。この願いは王に献上された時点で持ち主の心から消え、王の管理下に置かれる。王は偶に国民の願いを叶える。
・主人公のアーシャはロサス王国の国民である少女(恐らく18歳以下)で、今年で100歳になる祖父の願いが叶うことを願っている。
・アーシャはマグニフィコの弟子となる面接を受ける、その際にマグニフィコは病死した彼女の父(哲学者)と旧知の仲であったことから彼女に好意的で、彼女に願いについて語る
・王は『願いを選別』している。例えばアーシャの祖父の願いは『自分が作り出したもので若者たちの心を動かしたい』というものであったが、王はそれを「願いが曖昧すぎる」「若者の心を動かして何をするのか、革命を扇動するかもしれない」として危険な願いとして叶えないと語る。
・アーシャは祖父が善良な人間であると知っているので、叶えないのならばせめてその願いを返してほしいと懇願するが。王は「願いを決めるのは私だ」と断固拒否

・その後アーシャが星に願うと(父との思い出)なんかスタフィーのパチもんみたいな流れ星キャラが落ちてくる。
・その流れ星はなんかすごい魔法を使えて、アーシャはその流れ星と共に、王に支配されている願いを開放しようと行動する。
・王はなんかその流星の気配にビビって闇の魔法に手を出し、なんか魔法に支配されて完全なるヴィラン化する
・なんやかんやあって最後はアーシャと国民が歌って解決する。

☆癖がありすぎる対立構造

 あらすじはだいぶ序盤に偏ってるんですけどこれなんでかというと、この前半部分に癖が凝縮されてるからなんですね。
 恐らくディスニーが描いている対立構造としては『願いを支配する王』vs『願いを取り返したいアーシャ』なんですけど、これがすごく微妙なんですよ。
 マグニフィコ王は過去に蛮族に国と家族を奪われている過去があって、その経験を糧に努力して偉大なる魔法使いになったというバックボーンがあるんですけど、それを考えると王が行っている『願いを管理する』というシステムが、メチャクチャ理想的なシステムに見えるんですよね。
 たまたまこの作品内では『空を飛びたい』とか『冒険家になりたい』とか『永遠の愛』とかそんな願いばっかりが『危険な願い』とされてるんですけど、ぶっちゃけ俺がこの国にいたら『全人類が何でも言うこと聞いてほしい』とか『全ての美しい女にもてたい』とか『王をワンパンできる魔法使いになりたい』とかそんな事考えるんですよ絶対。それを考えたら願いを選別することはある程度当然というか、いわれのない暴力を防ぐためには絶対に必要なことのように思えるんですよね。
 そもそもアーシャの祖父の願いって祖父が100歳の老人だから毒にも薬にもならない願いのように思えますけど、これ多分王に献上しているの18歳くらいかもっと若い頃ののハズなんで、若いやつが『自分の作ったもので若者たちの心を動かしたい』って願いを持ってるのはたしかにちょっと危ないような気もすると思います。

 この『願いを奪って管理する』という王の行動に対して「夢を奪うなんてなんてやつだ!」と思える人はこの作品を楽しめると思います。

☆作中での王の評価

 それでこの王の管理システムなんですけど、ぶっちゃけ作中においてもかなり上手く行ってるというか、これと言った綻びが見えないんですよね。メタ的に見て王のこのシステムによって極端に損をしている人が一人(作中で明確に表現)しかおらず、この王がヴィランに見えないんですよ序盤は。

☆夜空から悪魔襲来

 明確に話が動くのはスタフィーのパチもんが現れてからなんですよね。
 このパチモンは地上に降りてくるだけでもわかりやすく強力な魔力を持っているので、王様が焦ります。焦りに焦って焦った結果、禁じられた魔法に手を出してヴィラン化します。
 王のバックボーン考えると自分より強力な魔法使いが現れたかもしれないから焦るというのは理解できます。

☆マグニフィコはディズニー最強のヴィランなのか

 闇落ちしてからのマグニフィコはたしかに強めのヴィランだと思います。
 落ちた王は自身の力を強化させるためだけに管理していた願いを我が身に取り込みます。それは願いの持ち主の心にとんでもない喪失感を産みます。
 ここは悪いです。めっちゃ悪いです。
 ただ、コレって本当にマグニフィコが悪いのか?って疑問が浮かびます。
 たしかに悪いんですけど、闇の魔法は手を出した瞬間に魔法に取り込まれる的な説明もされているので、別にマグニフィコの人格がおかしいってわけでもないと思うんですよね。
 闇の魔法に手を出した事自体は責められるべきかもしれませんが、それも前述したように彼のバックボーンを考えると仕方ないかなとも思えてしまうし。
 ウィッシュは最後に王がその人格ごと地下牢に連れて行かれるんですけど、いやそこまでのことはしてないやろとも思いました。それよりもその間ボケーっとしてたお妃様が女王になってる方が気になりました。

 ただ、はっきりとマグニフィコが悪いなってシーンは一つだけあって、それはアーシャを煽るシーンがあるんですよね。あれは悪いですね、人付き合い下手かこいつって思いました。

☆『みんながスターだ!』『自分の願いは自分で叶える』

 この章タイトルは作中後半のテーマになってくるんですけど、これも多分一部の見てる人にとってはあんまり面白くなかったんじゃないかなと、自分もなんかいたたまれない気持ちになった部分です。

 昨今のSNSの発展によって、ぶっちゃけ願いを叶えたり良い思いをするには努力だけでは無理って風潮になってきてるのは間違いないと思います『上級国民』とか『親ガチャ』とかの言葉がそれなりに市民権を得てきてる現状ですからね。
 その中で上記のようなテーマをぶつけられても響かない人もいると思うんですよ。
 これ主人公の行動もあんまり良くなくて。
 確かにアーシャはいい子ではあるんですよ。能力もあるし、勇気や知恵もある、声もいいし、いざというときには自分を守ってくくれたり自分のために無償で行動してくれる仲間たちもいるんですよ(仲間たちはガチで良い子)
 ただ、じゃあなんでアーシャが行動できたかというと、これ完全にチート持ちのパチもんに見初められたから以外の何物でもないんですよ。まじで、これこのパチモンいなかったらなんにも出来ないですからね。
 これパチもんの見た目がパチもんだからなんとなくまあ良いかって思えるだけで、例えばこのチート持ちでアーシャの味方になるのが他国のイケメン騎士だった日にゃあただの国盗り物語です。アラビアのロレンスです。
『みんなスターなんだ』とか『自分の夢は自分で叶えよう!』とか言ってるのがチート持ちの魔法成金やないかい!って感覚はずっとありました、正直。
 これ自分はこういう違和感を『あくまで自分がこう思ってるだけだから』と封印できるタイプなんで楽しく見れたんですけど、こう思えない人はずっと引っかかり続けるでしょうね。

☆俺の邪悪な思い込み+実際のところは

 ウィッシュの違和感の多くはこの対立構造の歪さにあると思いました。
 リアルタイムに起きている惨劇、SNSで可視化される階級構造。それらをリアルタイムに生きながら『願いを管理することを否定』しながら『すべての願いを叶える』事を肯定するのは難しいです正直。
 これは俺の邪悪で穿った見方なんですけど、ディズニーの制作陣って多分上の方の階級なんじゃないかなと思っちゃいました。だから素直に『人の願いを管理するなんて許せない!』と言うストーリーになるし『夢は自分で叶えるのよ!』となれるのかなと。
 こちとら夢のない30代最弱男性なのでそのストーリーに乗れないし、日銭を稼いでるレビュアーやyoutuberも庶民側なのでそのストーリーには乗れないです。ディズニーの制作陣が年収200万だったとして同じストーリーは生まれたのかと。

 まあ実際のところで想像するとディズニーは夢と希望に満ち溢れた子どもたちのための娯楽なので、そもそもターゲット外の夢も希望もない中年男性が勝手に見て勝手に失望とかされても困るわってところだと思います。
 俺のような非モテが『なんであの時代の特攻隊が眉毛整えてておしゃれ坊主なんだよ!』とか言っても『いやキモデブ中年がそんな映画みんなよ』と言われるのと同じです。

☆ポリコレゴリ押しあった?

 特に感じなかったです。確かに主人公の親友ポジは杖をついている障害者なんですが、それはまあ『物語の登場人物が個性として当然のようにその属性を持っている』という観点から見れば別にゴリ押しって感じじゃなかったです。ちびまる子のタマちゃんを見て「視力低下者へのポリコレゴリ押しだ!」ってならないのと一緒です。
 別に障害者だからといって障害者としてのストーリーが絶対に必要なわけでは無いというのがポリコレの考え方の一つだと思うので。
 このへんはもう少し時間をかけて浸透させていくのかなと思いました。

☆追記1

 マグニフィコ王の政治に関しては正直完璧なシステムちゃうかコレ?と思いました
 国民の願いや願望を管理し、人によっては危険な思想も取り除けるわけですからね、人によっては煩悩を取り除かれたようにスッキリする人もいるかも知れない

☆追記2

 正直対立構造が歪すぎて『ロサスを侵略し我が物にしたいという『願い』』を持ったキャラクターが出てきて登場人物たちが『願い』について考える『ウィッシュ2』とかあるんちゃうかとすら思ってしまいます。


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