天国はないと想像してみよう
10万円の支給が決まる前から、一律の支給に対していろいろな声が聞こえてくる。「外国籍に支給するな」「生活保護に支給するな」「公務員に支給するな」「政府を批判した奴に支給するな」「余裕のある奴は辞退しろ、寄付しろ」…さすが国士様たちは国の懐を心配して他人の財布に口を出すことに余念がない。
死んだうちの父は「他人の財布に口を出すのは下品だ」と言い続けていた。だが、多くの人にとってはそうではないらしい。
職場の近くにインド人のやっている料理店がある。頼みもしないのにナンのおかわりを持ってきてくれる陽気なインド人の店は、緊急事態宣言からずっと閉まっている。
想像してみよう。そのインド人はいまどうしているのだろうか。
外国人に支給しないということは、このインド人にも支給しないということだ。
生活保護を受けている人のなかで、この10万円で資格を取ったり、生活の質が上がることで病状が回復したりして、生活保護から脱出するような兆しはないだろうか。そうでなくても、ささやかなお金が、その人の心を支えると言うようなことは、ないのだろうか。
生活に余裕のある人たちが好きななにかに投資することで、経済が動けば、助かる人も出てくるのではないだろうか。
今は大丈夫な人が、感染してしまったとき、この10万円が助けにならないだろうか。
想像力の及ぶ範囲が広くなれば、他人のことを思うことができる。他人のことを思うことができれば、少しは世界が変わるはずだ。
国語は想像力を育てるための学問である。
想像力を育てれば、世界は変わるはずだと信じている。
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