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01 健康診断からの不穏な感じ・・・

遠い昔のイチゴ牛乳

もう半世紀近くも前のことだが、幼稚園に入る前に肺炎をこじらせて入園が数ヶ月遅れてしまったことを思い出す。

おぼろげな記憶だが、毎日家で休んでいた。症状はあまりおぼえていない。微熱が出たりしていたのかもしれない。みんなと幼稚園に行けなかったけれど、私はそもそもできれば幼稚園なんかには、行きたくなかったし(自分の時間が拘束されるから)、自宅で時間を好きなだけ使ってのんびりできたから、さして不満はなかったと記憶している。

ほんとうは入院すべきだったと後で親から聞いた。私が強硬に拒んで入院はしないことになり、頻繁に都心の大学病院に通った。病院ではレントゲンと採血をされることが度々あって、その度私は泣いていた。
でも、採血のあと、いつも母はテトラポットに入ったイチゴ牛乳を買ってくれて、それがまたおいしくって、おいしくって、うれしかった。「採血したらイチゴ牛乳」それは特別な「ごほうび」として心にインプットされた。
このことは、私の報酬系の記憶に刻まれてしまったのだな、と思った。

何年振りかで受けた健康診断

ということを思い出したのは、先日、何年かぶりに受けた健康診断で採血をしたからだ。会社員を辞めて独立して、毎年健康診断を受けなくなってもう10年も経っていた。採血自体はそんなわけで結構得意だから屁とも思わないが、結果を見ると、寄る年波のせいか、はやりの生活習慣か、なぜか再検査になり、一週間後にまた再採血になった。再・再・採血の結果を見た医師は、もう少しデータが必要とのことで「申し訳ないけど、、、」と前置きして、もう一度採血をオーダーし、その日は1日2回も血を採られた。

ちょっと昔は 赤血球LOVE

話はまた何年も前に遡り、(胃が痛いな~)と思いつつ我慢をしていた時期があった。会社を辞めてフリーでアレクサンダーテクニークの仕事を始めてしばらくした頃だった。私、病院が嫌いで、風邪でも薬なんか飲まずに自然に直す人。だから何とか、だましだまし暮らしていたが、(あれ?もしや?)と、気のせいくらいにチクチクしてた胃の痛みは、(やっぱり痛いんでは?)に変わり、ようやく観念して近くのクリニックを受診した頃には、なんと胃潰瘍は峠を越えて自然に治っていたようだ。しかし、なーんでこんな貧血なのよ!って医師は言った。ちょろちょろとしかし長い間、胃から出血が続いていたせいで貧血になり、胃痛よりそちらのほうが大変ってことで貧血治療した。

2週間ほどだったか、毎日通院して「鉄」を点滴した。しばらくして経過を見ると医師は「赤血球の赤ちゃんが増えてきてる。一所懸命に血液を作っていることがわかるね。もう少しだな。」と言ってくれた。あの独特な白玉もち型のぷりぷりん!とした赤血球になるであろうまだ未熟な血球の様子をイメージして、嬉しくなった。

(私のからだは赤血球をつくって育てているんだ!❤️)

それは当たり前のことだけれど、まったく気にしていなかったことだ。目に見えない体内の営みに気づいて改めて感動する。そしてその営みのお陰で私は元気になって、駅ではエスカレーターより階段で登ることを選べるようになった。貧血が治ると、みなぎる元気を感じ、当たり前の健康のありがたさを実感したものだった。
(後に免疫細胞について学んだ時にはもう体の精妙さに改めて感服し息も絶え絶えに感動した)

ところが、時は流れ、最近の私はなにか、気分がモソモソしたりイライラしたりしていた。からだとこころを楽にする仕事をしていたから、少しばかりのことなら調整できてしまう。そして、いつの間にか自分の肉体の健康状態に無頓着になっていた。

再検査で不摂生を嘆く

貧血の後、元気になって、健康診断は何年も行ってなかった。しかし、そういえばここのところやけに疲れるし、ちょうど健康診断の案内が来たから、たまには行ってみよう!と思って、受けてみたのだ。その結果がこの再検査だ。からだが密かに日々働いて作ってくれたその貴重な血を、献血するわけでもなく検査のために何度も採ることになってしまった。

(ああ、その採血針の先のチューブのなかに残った血はゴミ箱行きかっ!せっかくあかちゃんから育てて作ったのに、すまぬ!私のからだ!)と、己の不摂生を悔やんだのだった。

(後日考えるに、不摂生というのは、ただ体だけのことではなくて、様々な思いや行動の、滞りやアンバランスも指すのではないかと思う。「歳のせい」と気軽に言うけれども、歳のせいというのは、これまでの人生で身に付いた贅肉のような無用な思いや、新しい気付きのないルーチン的な行動をメンテナンスする時期が来たということなのかなと思う。)

そして、ラッキー間違いなし

いや、それもそうだが、再検査でひっかかることがもうストレスですよ。もともと元気一杯な健康優良児というわけでもないから、多少の不調には慣れているけれど怖いよね。検査って、それが嫌で受けなかったんだよね、健康診断。
何かあるって感じの再検査の後(果たしてその後どうなるの?)と不安とショックを抱えたまま病院をふらふらと出ると、おやおや?病院の出口に酵素ドリンクバーがあったよ。

突然、「ごほうび飲むでしょ?」と自分に言った。
「うん」と答えた。イチゴ牛乳でなく小松菜パインを頼んだ。もう大人だから。(ここはジュースバーとしてはかなりいい立地だわね、どれだけの人が病院のあとジュースがのみたくなるかわからないけれども。。。)なんて思いながら、チューチューした。

駅のホームで、イチゴ牛乳のエピソードをもういちど思い返す。小さな私はその後元気になって今に至る。
そうしたら、とつぜん悲しくなってきて、(こんなとき友達とお話しできたらな、)と考えたらぽろっと泣けて止まらなくなった。電車に乗ってからも、涙が止まらなくて、ずっと下を向いていた。

すると、涙でぼやっとした視界を横切るものがあった。
(なんだろう?)と目で追うと、ブーンと虫が飛んできて、私の黄色のパンツに止まったよ!?!?

てんとう虫が!

👀
電車の中にてんとう虫???


何が起こるかわからないけれど、これはきっとラッキー間違いなし!

そういうことなんだと直感した。

よし、神社でお払いして次の検査までメンテナンスするべし。

上の写真は、神社までついてきたてんとう虫さん本人。

続く


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