17 ステロイドで世界が素敵/姉の病に対する妹のクールな意見
薬のせいか世界が新しく見える・赤ちゃんもそうなのか?
今、窓をみたら、ハッとしたよ。
何日ぶりかで、タワーの背景にうすーく水色の空が見える!
ずっとグレーの空だったから、とてもうれしい!
こんな風に、いろいろなものを初めて見たように新鮮に感じられるとは、この世の極楽!平日でみんな働いているだろうに気楽すぎるね。
一人温泉に遊びに来てるような雰囲気だよね?
一応、病人なんだけどね!(初めて地球に降りた宇宙人👽)
今朝、アレクサンダーテクニークの後輩からメールが来て
(あかちゃんが無事生まれました!!!!)って書いてあった。入院した時メールもらっていて、もうすぐってところだったのだ。それで、添付されてきた赤ちゃんの写真を見たら、なんか落涙!
赤ちゃんの写真を見て涙が出たのは実は生まれて初めて!前世の孫か!?
子供が欲しいかどうかのこだわりがない
うちは子供がいないし、特に子供がどうしてもほしいとか思ったことがなく今まできてしまった。子供を産まなかったことについて特別に「惜しい!」とか思ったこともほとんどない。(今は猫が子供みたいなものだけど、猫は猫だから違います。)
私はあまり子供ってものにこだわりのない人。だから赤ちゃんの写真見て泣くなんてありえない。子供は面白いから付き合ってもいいよってなくらいのそっけない大人。
そうは言っても、あこがれもある。子育てしているお母さんたちの夢中さ、というか健気さは、素敵。子育ては偉大な仕事だと思ってる。
赤ちゃんは子供と少し違っていてけっこう大好き。面白い。まだ宇宙から来たばかりという感じ。周囲に神々しいもやもやが見えるような気がする。不思議で素敵な存在!今日見た写真はそれがしっかり感じられて落涙!
これって、もしかしてドラッグの副作用なのか
しかし昨日も一昨日も落涙タイムがあって、今日も赤ちゃんを見て涙して、「はっ!」と気づいたが、これはもしかして薬の副作用なのではないか!?(今更気づく。治療前からかなりハイだっだことも否めないが、、、。)
素晴らしい薬だな。ステロイド。いわゆるドラッグってのもこんな感じなのか?心の窓がぱかーっと開いて、オープンすぎる状態!今まであったものが違って見える。まるで不思議な眼鏡で世界を見ているようだ。いや、それとも、今までが色眼鏡で、今、初めて裸眼で世界を見ているのかな?
祖母と孫と妹
赤ちゃんの流れの話だけど、昨日、他の階に引っ越していった隣のベッドのAさんは、孫のことをこんな風に言っていた。
「孫って、なーんでこんなにかわいいのかなぁ。って思うの。ほんとーにかわいい。みんなそういうけどほんとにそうなの。今、病院には入れないから(12歳以下の子供は面会できない)下の待合室で会ってきたの。感染が気になるから頬ずりしちゃだめだって主人がいうけど、ちょっとだけ頬ずりしたの。しばらく我慢しくれてたけど、すぐに、もういやーって押されちゃった。ふふふ。」
そうなんだなぁ。孫ができた人の話はみんなそんな感じだよね。親にそういう思いをさせてあげたお母さんたちは、ほんとに愛の使者だよね。
で、私の妹の話なんだけど、実家で両親と暮らすシングルの妹が一人いて、今すごく助けてもらってる。妹も私と同じく「何か意味を見つけるクラスタ」の人だから、私が病気になったことも「何か意味がある」と考えてくれている。そして同時に「守られてる実感のあるクラスタ」の人だから、「どう転んでも大丈夫だよ。(死んだ)おばあちゃんに頼んどくから。」と励ましてくれる。いいこなのー。
妹はおばあちゃん子で、昔から天国のおばあちゃんと交信してよく守ってもらっているようなのね。Aさんの孫の話を聞くと、それはあながちファンタジーではない気がする。家族内の人間関係もいろいろだな。親密な人と、そうでない人っているんだと思う。それがご縁ってものなのかな。
妹は朝から夜遅くまで会社で働いている。土日は自然の中に旅に出るというなんかやっぱりマイペースの人。私は妹が大好き。以前、妹写真集をつくったことがあるぐらい好き。でも普段はそれほど会ったりしない。妹は、私たちが留守の時、猫シッターをいつもしてくれる。だから入院中も夫が宿直で留守になる時は猫の様子を見に家にきてくれるのだ。
入院する前日、たまたまタヌキの宿直で、妹が家にきてくれて、二人で久しぶりにゆっくり話した。姉が急に病気になったので、彼女もいろいろ考えたと言っていた。そして味なしキャベツスープ(塩分を取らないように)を作ってくれた。
彼女は、まだ小学低学年の頃に風疹からくる脳炎にかかり命が危なかったことがあった。様子がおかしいことに気づいたのは小学高学年だった私で、母に知らせると、すぐに救急車がきて、それからしばらく妹は病院に入って家に帰れず、祖母が私の面倒を見るために泊まりに来てくれた。両親は毎日病院に通い、時々泣いていた。「自分が変われるなら変わりたい」と母が涙声で言っていたことを覚えている。夜、父と母がこそこそ話しているのを見て、何か妹に重大なことがおこっているんだなと気づいた。
ある日、祖母と夕方買い物に行った帰りのこと、月が光っていて、祖母は敬虔な南無阿弥陀仏の人だったから、お月様に向かってお念仏を唱えた。「のんのん様にお祈りしようね、なんまんだぶ、なんまんだぶ」と言って。
妹がいうことには、これは出産ににてる!(?)
私の入院前日に家に泊まりに来てくれた妹は、今は全くの山&鉄女子なのであるが、入院の不安と、腎生検の恐ろしさを震えながら語る姉に向かって、かつて自分が入院した時に受けた「腰椎穿刺」の検査についての話をしだした。腰椎穿刺は、検査のために腰椎の間に針を刺し、髄液をとるという、もう書くだけで指が震えるような怖い検査だ。
妹から見た現実はこんなだ。
何かいつもと違う雰囲気を感じた。母が「もう見ていられない!」と言って泣いて検査室を出て行ってしまった。先生に「背中を丸めてねー」と優しく言われて、そうしたら、後ろから突然、五寸釘を打たれたような衝撃があって、息が止まってしまって、凍り付いてしまった。涙も出なかった。
終わった後、いつものおやつの時間に他の子と違った特別なドリンクがでてきて「〇ちゃんは、大変な検査でも泣かなかった。えらかったから特別だよ」と言われた。実はあまりのショックで息ができなかっただけだった。
そんな話は、これまでにも何度か聞いたはずだが、この時改めてしみじみと話されると怖すぎるでしょう???もちろん、この話は何一つ慰めにもならず、私は身震いをしながら聞いていたわけだが、
そこで妹が言うには、
「やっぱさ、出産してないんだから、順番が回ってきたと思ったら」
「は?」
「いや、あたしたちって子供産んでないでしょ。そういう大変な体験してないから、その代わりだよ。出産は病気じゃないし、痛いけどだれでも経験するものだからさ、そういうつもりで臨んできなよ!」
「・・・・。」
うーん、時間が少しかかったが、面白い発想だと思った。
出産は喜ぶべきことだから、痛いけれどがみんな積極的なのだから、病気も喜ぶべきことにして積極的にするというアイデアはありかもしれない。しかも、「新しい生命が生まれる」というのを、「新しい私が生まれる」とか、「新しい人生が生まれる」とか、当てはめて考えたら気持ちもちょっとアップした。ありがとう。君はやはり面白い妹だ。
「・・・・わかった。なんか産んでくる。」
「うん。まあ、ダイジョブだよ。何か意味があるし、守られてるからあたしたち。」
次の日、入院する姉にそのように言い残して妹は出かけて行った。
写真は、三時に出るおやつ
たんぱく質の摂取量を制限されてるから、甘いものでカロリーを補充されている。如何せん甘すぎる。ちょっと辛い。残す。
メロンボールもといピーチボール 甘くて嫌い。中身を捨てて入れ物だけ使ってる。クッキー これ超おいしかった。「油菓子」と書いてある・・・・。朝昼晩、腹7分目量の暖かくて美味しい食事が出て、3時におやつが出る。極楽なのか?やはりここは!