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16 隣人さんが!連続ドラマですか??

昨晩の向かいの子

昨晩、また向かいの子が具合が悪くなって、バタバタして大変だった。夜中に隣のIさんと、何度か「呼ぶ?」って相談してナースを読んだりした。途中で落ち着いて眠ったから安心した。お母さんがいなくてさみしいのじゃないかなって思った。面会時間が終わった後、一人になってしまうし。
彼女は耳が遠いから看護師さんが大きな声で話すからよく聞こえる。看護師さんの声は優しい。ほんとに癒される。きっと見守ってもらいたいのだろうなと思った。

不思議ケア:朝晩の気功

入院してからずっと、起きた時と寝る前に、簡単な気功をしている。手をこすって暖かくして、頭から足までのいくつかのポイントを擦る気功。ずっと前に太極拳の先生に教わったことだ。うるおぼえだけれど今回とても役立ってる。全体が整う。

手をこする音は案外大きな音だと気づいたが、気にせずこっそりやっている。
昨日ふと(隣のIさん、気功しないかな?)と思い浮かんだ。
今朝、気功をしながら同じことを考えた。なんでそんな気持ちになったかというと、Iさんはいつも、朝御飯までの間、暇そうな感じがするし、毎晩ずっと痛み止めの点滴を頼んだり、アイスノンを変えてもらったりしている様子を隣で聞いていて、(この人は薬しか頼るものがないようだ)と感じたからかもしれない。

気功は、単に自分を撫でるだけだけれど、病気の時も自分の力で自分のためにできる治療的効果のあることだと思う。主体的に治療に取り組む私としてはやらない手はない。(健康な時は面倒になってやらなくなっていたけれども、、、)

ナンパ気功してみた

Iさんがコンビニから帰ってきて、私は自分の不思議ケアの準備(レメディ入りの水を用意したり足のワークをしたりなどなど)は終了して時間があったから、旅の恥はかき捨てと思って勇気を出して聞いてみた。

「Iさん、暇ですか。」「はい、暇です。」「わたしね、朝晩気功みたいな簡単なことしてして体を整えているんですが、興味ありますか。」
「はい!やってみたいです!」
Iさんは大乗り気だった!
「カーテン開けてもいい?」
「はい!」
ってことで、カーテンをあけて、それぞれのベッドの上で向き合って、頭から順番になでなでする気功を一緒にやった。説明しながらゆっくりと。
Iさんの顔をしっかり見るのは初めてだった。まるでインドの仏像みたいにぷりっとした素敵なお顔だった。
Iさんは、とっても喜んで、すごく気に入ってくれた。声かけてよかった。ほっ。

そのあと「わたし、書きます!」と言って、メモを出して書き出したので、
「覚えなくても、もし気に入ったら夜も一緒にやってみましょう。朝もよかったら。何回かやったらすぐ覚えますよ。」と言ったが、Iさんは一生懸命、紙に順番を書き記していた。「これだけで、からだが暖かくなってすごくいいですね!夜もお願いします!」って言いながら。

喜んでくれたから、ついおせっかいでほんとに言いたいことを言ってしまった。
「お薬って、助けてくれるだけだから、結局はIさんの生命力だと思うんですよね。
私もいつも飲まない薬なんか飲むと、そのことつい忘れちゃいます。でも、結局自分の力がないと薬も効かないと思う。これ簡単で、自分でできるし気休めでもいいかも。もしかしてお薬もよく効いてくれるかもしれませんよ。」
Iさんは同意してくれて、私はまたすこし、ほっとした。
ちょっとした達成感(声をかけるという行為、カーテンを開けるという行為、誘うって行為)があって、気功を2ラウンドやったこともあって気持ちがよかった。

閑話休題:病院内ウォーキングを始めた経緯

ところで、昨日主治医が来て、「どうですか。」って聞くので、「熱っぽい時は休んでいます。」と言ったら、ステロイドは筋肉とか骨を弱くするので、寝たままでは逆に心配だから、少し動いたほうがいいと言われた。
(なぬ!?安静じゃないのか!動いていいのか!?)という気持ちと、
(なんだ~寝てちゃダメか~)って気持ちが湧いた。生まれながらの怠け者。
でも確かに、寝たままではどんどん筋肉がなくなっちゃう!それは心配だったから、運動の時間をもつことにして、まずは病院の中をぶらぶら歩いてみることにした。昨日は日曜だから誰もいないし、ちょうどよかった。
私は、いわゆる筋トレとかストレッチなんてものはよく知らないくせに、アレクサンダーテクニーク教師だし、自己観察が好きだから体の整え方は結構知ってる。

Iさんと気功をした後、御飯を食べ、さっそくお散歩に出かけた。
散歩だって、ただ歩くだけじゃなくて、体のことを考えながら歩けば、全然違った感覚がある。病院内だけれど、例えベッドの上だけだとしてもいくらでもプチトレーニングのやりようはあると思っている。そもそも鍛えるのが大嫌いなんだからこれぐらいがいい。

しかもですよ!現在私の体重は最低ライン。やつれたと言えばその通りだけど、太かったふくらはぎなんかも細くなってしまってるっ、てことは~、これまで長年の癖で力が入っていた筋肉さんたちは影を潜めているんだから、今から、新しい自分の好みのアライメントで体をつかっていけば、新しいかっこいい筋肉がつけられるんではないのかっ!? 
イェーイ! ラッキーチャーンス!
と、エレベータの中で一人ほくそ笑んだ。自分のポジティブシンキングもここまで来たかと悦に入る。

そして意外な展開

ウォーキングから部屋に戻って、シャワーに入って10時ごろまた部屋にもどってきたら、Iさんの部屋で看護師さんたちが話している。
「Iさん、移動なんですね~」と看護師さん
「そうなのよー、急に決まったの。さっき先生が来てね、7階に移動だって。」
「そうですか。何時に?」
「もうすぐ。今、荷物まとめたの。」
それがカーテン越しに聞こえた会話(!)
看護師さんが帰った後、
「Iさん、急に引っ越しなんですか。」と聞いたら、
「そうなんですよー。急に先生が来てね。ここのベッド待ってる人がたくさんいるから、ほかの階になるんだって。せっかく夜も気功やろうと思ってたのに。でも、いろいろお世話になってありがとう。」
「そうですか、せっかく仲良くなったのに残念です。」
「ほんとね、今日習ったこと、私書いたから、絶対やるから、下の方はまだ書けてないけど・・・。」
「私、いま書きますよ。」
そういって、私は急いで、紙に気功の流れをかんたんな図で描いて渡した。
「わー、ありがとうございます~。あれからまたやってみたらすごく暖かくなってよかったの。」
「そうですか。よかったです。」
連絡先は交換しなかった。部屋から出るところまでお見送り。
そして、Iさんは、看護師さんに連れられて、さっき、バタバタと私の横のベッドから跡形もなくいなくなってしまったんだよ!

初め怖くて怯えた。
途中、案外いい人だと分かった。
次に、私をほろっとさせ、
最後に初めて顔を見て気功をした。
そして、消えてしまった!

ねえ!これ朝の連続ドラマ???
と思うでしょ?思うよね?思うに違いない!私は思ったよ!

写真は、病院に飾ってあるマティス。

つづく

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