「障がいを得意に変える!」 ドライフルーツブランド王様のおやつ製造現場マネージャー 綾部小百合のこだわり
支援員さんとの連携プレーで、障がい者が“得意”を発揮できる環境をつくる
わたしたちは「協同組合」なので、加盟してくださっている障がい者福祉事業所の利用者さん(障がい者のつくり手さん)と、指導やサポートにあたる支援員さんが集まり、ワークシェアリングの形でドライフルーツ製造が行われています。
大事なのは、支援員さんとの連携プレーによって、障がいを持つ人が“得意”を発揮できる環境づくりを行うこと。
障がい者のつくり手さんのなかには、大きな声が苦手な人、伝え方を工夫する必要がある人など、特別な配慮が必要な人たちもいらっしゃいます。
そこで、支援員さんが、障がい者のつくり手さんの心身の状況や、得意・不得意などを細やかにキャッチ。気持ちよく働けるための配慮や、それぞれの“得意”が発揮される作業分担を決めてくださってます。
わたしは製造現場マネージャーとして、支援員さんとこまめにコミュニケーションを取り、さまざまなご相談にも応じています。たとえば設備面でいうと「もう少し台を高くしたほうが作業しやすい」というご相談があれば、どうすべきか一緒に考えて足場を改善する、といった感じで。
製造現場の責任者でもあるので、きちんとしたドライフルーツ商品をお客さまにお届けするための品質管理はもちろん、障がい者のつくり手の皆さんが少しでも働きやすい環境づくりにつなげられるように頑張っています。
障がい者の“得意”をかけ合わせてドライフルーツをつくる
製造現場のこだわりは、障がい者のつくり手さんの“得意”を引き出してドライフルーツをつくること。誰が何の作業を担当するのか、障がい者のつくり手さんの特性を理解する支援員さんの判断をもとに決めています。
● カットが得意なつくり手さん
日本イチジクのドライフルーツづくりでは、お客さまにとって食べやすい形「くし切り」にこだわっています。まず包丁で半分にカットし、さらに細かく等分します。でも……きれいに等分することを苦手とする障がい者のつくり手さんも多いのが現実。(わたし自身も難しいですが)
そこで、カットが得意なつくり手さんが大活躍してくださっています。
● 並べることが得意なつくり手さん
カットしたフルーツを乾燥用トレーに並べる作業では、乾燥にムラができないように、フルーツ同士が重ならずに並べることが重要。
こちらはいちご紅ほっぺのドライフルーツづくりの一場面。並べるのが得意なつくり手さんが、本当にきれいにテキパキと並べてくださっています。
● シール貼りが得意なつくり手さん
商品の顔として重要なパッケージ。パッケージシールを何も印がない場所に歪まずに貼ることは意外と難しいんですよね。(わたし自身も難しくて)
そこで、シール貼りが得意なつくり手さんが、本当に美しく貼ってくださっています。
おひとりおひとりに合うやり方を一緒に見つけて、働きやすい製造現場をつくる
わたしが障がい者のつくり手の皆さんとご一緒していて思うのは、障がいの有無に関わらず、みんな一緒なんだということ。
どんな人にも得意・不得意はありますし、作業しやすいやり方も、働きやすい環境も、異なります。だからこそ、おひとりおひとりに合うやり方は何か、一緒に見つけていこうという意識を大切に製造現場をマネジメントしています。
障がい者のつくり手さん、支援員さん、当協同組合のスタッフ、そして仕入先農家さんなど関わり合う全ての皆さんとともに、もっともっと事業成長につなげていけるように頑張ります!
インタビュー/執筆:柴田 惠津子