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暮らす
ジョージアの夜はまだ明るい。
ひたすらに明るくて、人通りも多いからみんな安全に歩いている。
石畳にうつる影と光がゆらゆらと動いていて、歩くだけで楽しいけど、でこぼこしているし、すぐ足が痛くなる。
それなのにいつまでも歩いて、歩いて、歩き疲れて溶けてしまいたいと思う。
まだ明るい中に犬や猫がぽとぽと歩いている景色を見ると、懐かしい感じがする。
明るい街角に、にぎわうジャズバーを見ると、その中の強い活気が嬉しくなる。
後少しで国際音楽DAYらしいので、その日にどこかのジャズバーに入ってみようと思う。
休日にはいつもより多くの人がただ街にぶらぶらするために出てくる。
なにかをしなくてもみんな嬉しそうで、ああ、休日ってこんなに楽しかったんだと思い出す。
疲労を回復するためだけにあるのでもなく、やたらと外へ出て遊び回るためでもなく、集まって愚痴をたれながして、晴らすのでもない。
どんよりと明日のつらさに包まれながら休みだしと出てくるのではなく、今のこの瞬間が休日で嬉しいなあ、という顔をした人たちがいっぱいいる。
ここに暮らしている人たちに、今を楽しむ力をもらったように思う。
今ってなんてすごいんだとしか言えない。
それが当然の暮らしで、それが人間の暮らしだ。
明日のことは私にも、誰にもわからない。
でも今日はこの人たちといい時間を過ごせて、お金もかけずに工夫して、おいしいものを食べて、安いお酒を飲んで、落ち着く宿で眠る。
安い油で揚げた古い野菜の揚げ物をどんなに腹いっぱいに詰め込んでも、お腹は満足しない。
大好きな人がその手で焼いたソーセージの方が、まだ心に栄養をくれる。
友だちが家にいて、ソーセージにケチャップをかけて、まだ食べたいなとかいいながら、また数本焼いて、安いワインを数杯飲む方が、満腹になる。
不思議だ、人は不思議だ。
人とはそんな風にできている、とても、愛おしいものなのだ。