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eKoes エコーズ 声を聞くこと

スタジオがよりラジオブースぽくなりましたね。かわいい。

社会学者岸政彦先生が司会をなさっているEテレの番組です。
第一回「合理的配慮」
第二回「非正規雇用」
第三回「ヤングケアラー」
について取り上げ、視聴者の方々からのメールや電話などで様々な声を聞き取り考えていきます。

社会問題というと自分とは少し距離のある出来事のように感じてしまうかもしれないけれど、
当事者の方々の生の声はとても説得力があり他人事ではないと考えさせられる。

◉「非正規雇用」

この問題は番組でも言及されていたが、雇用問題と同時に家族モデルの変化や男女差など様々な問題と絡んでいると感じた。
特にSCさんの投稿が心に残った。
先週の合理的配慮でも、配慮を考える上で困難を抱えた子どもたちの声を丁寧に聞く必要性を感じたが、では誰がその役目を担うのだろう。教師は雑務にも追われて時間がない、毎年変わる担任、転任、引き継ぎもろくにされずに放り出された子どもたちは何のサポートもないまま時間が過ぎていく。
「人を豊かに育てる」という視点が社会の中から消えてしまったように感じる。何の保障もない、将来の不安を抱えたままでは仕事のモチベーションを保つことも難しいだろう。結局社会の構造上不利な女性や子どもに歪みが生まれていく。

一度仕事から離れて学び直しまた社会に戻っていく仕組みは多くの気付きを伴い既存の社会構造に疑問を持つきっかけになるだろうし、とても有益だと思う。同時に国が法律や制度をどのように制定していくのか、それは本当に正しいのか見極めていく目を持ち続けたい。

◉「ヤングケアラー」

子どもが自分の状況を客観視して助けを求めることは不可能に近いと思う。身近な大人が気付いて福祉に繋げられることがベストだが、残念なことにその大人自身にも余裕がないのが現状だ。
例えば子どもたちの身近な大人は教師だが、とにかく教師に余裕がない。雑務など仕事が多すぎる。
大人の問題が解決されていないために、その弊害が子どもにまで及んでいるという構造ができあがってしまっているのではないか。
また家庭内というのはある意味聖域でなかなか介入することは、どの問題でも難しい。

番組の中では、えだまめさんの投稿にとても考えさせられた。統合失調症のお母さま、それをケアされるえだまめさん。
「家族にケアがおしこめられてきた」
という一文が忘れられない。
病気になりたくてなったわけではない人を日常生活で毎日サポートし続けることが、ある一面から見ると虐待のように捉えられがちだが、問題はそこではなくて家庭という見えない箱の中に困難さを抱えた人たちが閉じ込められている現状なのだろう。

私も精神疾患持ちなのでとてもよくわかる。
急性期、私自身も家族も疲弊がひどくどうしようもなくなった時に公的機関に連絡した。そういう場があるだけありがたいのだろうが、継続的なサポートに繋がるかどうかは疑問だ。
実際一時的に繋がれたが担当が人事でいなくなり引き継ぎはされたようだが連絡はない。
その先どうなったかというと私は無気力になった。
あれだけの思いをして連絡したのに結局誰も助けてくれない。
状況は変わらない。
困っているのに何も変わらない変えられない。
もう力は残ってない。
こうやって掬い上げられない人たちは静かにいなくなる。また家族内だけの問題へと戻ってしまう。
つらい状態にある人が自分から助けを求めたり情報をとりにいかねば支援が受けられないという状況が本当に不毛。
各々の状況や考え方によってサポートの仕方を寄り添い方を個々に対応していく必要があると感じた。

全ての問題に「人」が足りないし、丁寧に行政がサポートしていくのは現実問題難しいだろう。
それであれば根本の大人の問題を解決していく必要がある。
全ての問題は相互にどこかで繋がりあっていて一つを解決すればいいわけではないのでより困難さが増す。
とはいえ、子どもたちは守られるべきで何を優先して対策していくべきかは早急に考えられるべきだろう。

この番組を拝見していて思ったことは、取り上げられている問題がこの年齢になってやっと実感として理解できるようになったということ。もちろん大学でも学んできたが(忘れたけど)まだ親に守られている状態で机上の他人事であったことは否めない。よってこの番組が錆びついていた頭を動かすきっかけをくださった。

どの問題も当事者が何に困っていて何を必要としているのか、そこを薄く捉えていないだろうか。こういう現象があるのね、じゃあこういう対策を出すよ、それでどうにかしてねという画一的なものでは何の解決にもならない。

社会的弱者が虐げられている社会に進歩も未来もない。学習性無力感が蔓延している社会においていかに問題を自分ごととして考え、何もできなくとも関心を持ち続けることは有益であると考える。

このような番組を通して少しでも問題意識を頭の片隅に置いておく人が増えるといいなと思う。
(それとは逆のベクトルで他人に構っていられないほど、この社会で生きていくことは難しくなってきている状態なのも理解している)
TVerでも明日まで見逃し配信見れます。

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