学習者向け英語本事情
昨年急に思い立って英語を始めたワタクシ。ワタクシもともと小説が好きであるからして、英語を学ぶなら英語で小説を読みたいと思うわけです。当然、英語で小説を読みましょう的教材がいろいろと出ているのですね。
たぶん超有名なのがこのラダーシリーズ。
これは難易度別に1~5まで(5が難しい)分類されていて、背表紙のナンバーで分類されていてわかりやすい。セクションごとにあらすじと特殊な用語の説明が「日本語で」書いてあり、本編は全部英語。本編の中に対訳や語釈はなく、巻末にまとめて「Word List」というのが付録としてついている。
このWord List に補足が書いてあるので一部引用してみる。
驚くべきことにLEVEL1,2は出てくる語全部載っているらしい。3以上でも中学レベル以外の語は載っているので、読んでいていわからなければ巻末を参照すればわかるようになっている。ここは英和状態で、英語の単語に対して日本語の意味が、本文で使われている意味だけが載っている。
当初僕は、このシリーズを「英語の本をレベル別に選別して、解説とワードリストを追加したもの」と思っていたのだがそうではなかった。
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ジョージ・オーウェルの1984。ディストピアSFの代表作みたいな歴史的名作。なおジョージ・オーウェルは1950年に亡くなっているので1984は彼にとってだいぶ未来のお話。今やそこからさらに40年近くも経っているのだからもう「あの頃の未来に僕らは立っているのかな」という世界。
さて、この本。開くと最初の扉にこう書いてある。
Retold。この作品の原作者はジョージ・オーウェルであり、彼はイギリスの作家。原語版は英語で、このラダーのものも英語なのだが、Retold、つまり書き換えられているのである。
ラダーシリーズの多くの作品は、レベル設定に合わせて語彙を調整したリライト版になっていて、原語版ではないのである。英語は英語なのだけれどオーウェルの書いた文章ではなく、学習者向けにリライトされたものなのである。
この事実を知って、モヤっとした。
もちろんこのラダーを手にするまでは日本語版しか読んだことが無かったのだから翻訳という意味で同じである。英語の原著を日本語にしたものを読むのはあまりモヤっとしないのに、英語の原著を少し易しい英語にしたものはモヤっとする。せっかく英語で読むのに本物じゃないなんて、というなんかよくわからない感情によってモヤっとするのだ。
ひとまずモヤっとしながらラダー版の1984を読んだ。さすがレベル4ということでそれなりに難しい。とはいえ、難しいのは語彙の部分だからおそらくちゃんと原著でも辞書を引きながらなら読めるのではないか。そう思って探してきた。
紀伊国屋の洋書コーナーに「1984」は三種類あった。表紙と本編のほかに収録されている解説などが異なるが、いずれもペンギン・ブックスから出ているもの。これがもっともらしくない表紙(1984と言えば目玉のモチーフという印象があるけれどこれはそれが描かれておらず、タイトルも数字ではなく「NINETEEN EIGHTY-FOUR」と書いてある。
いずれにしても待望の原著だ。三種類あったので本編の冒頭を見比べてみたが全部同じ文章であり、ジョージ・オーウェルの書いた「1984」はこれで間違いないだろう。翻訳されていない原語版。わくわくしながらページをめくる。
面白いのでラダー版と比較してみよう。冒頭の一文は難しい文ではないので同じだろう、と思ったのだがいきなり違った。
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