クリエイターに大切なことはだいたいこの本に書いてある
久しぶりに本を紹介したい。4月1日に発売されたばかりの本で、即購入し、届いてすぐに一気に読み切った。今読み終えた直後。居ても立っても居られない。このあまりにも素晴らしい名著を紹介したい、という強い想いに突き動かされてnote を開いたところだ。
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日本初のレゴ認定ビルダーとして有名な三井淳平さんの著書。タイトルは「ブロックでなんでもつくる!ビルダーの頭の中(みんなの研究)」となっている。レゴビルダーの人が書いたビルダーの頭の中という本なのでブロックの話かと思うだろうけれど、これはそんなレベルの本ではない。クリエイターを志すすべての人に読んでほしいし、むしろ全中学生に読んでほしい。
なにが書いてあるのか
もちろんタイトルの通り、ビルダーの頭の中が書いてある。過去のいろいろな作品について、それを作った時の様子が書かれている。「なんだ、やっぱりブロックの話じゃないか」と思うのは早計。この本は作品の制作エピソードを並べたもの、という体裁でありながら、根底にはっきりと「意図」をもって構成されている。その構成力の高さも大変なことになっているし、ごく自然に過去作の説明をしながら、これからクリエイティブな仕事に就こうとする若い人たちに必要な知識、発想、視点などを伝えていく文章力もとんでもない。
さらに、この本はおそらく小学校高学年ぐらいを対象にしており、漢字は少な目になっている上ルビ(読み仮名)も振ってあり、少し難しそうな言葉は文章内で説明を加えている。するすると呼んでいるうちに語彙も頭に入るし、クリエイティブに付随する要素、クリエイターを志す人が見逃がしがちな大切な要素をごく自然に説明している。
この本を読んだ感想を一語で表すなら、「ぎゃふん」である。まさにぎゃふんと言わされた。こんなにも自然に、気軽に読める文章で、軽めの分量で、かつ、網羅的に説明できるものなのかという驚きでひれ伏した。
この本に書かれていることは箇条書きにすると以下のようなことである。
経済の仕組み(ものの値段の決まり方)
アートとデザインの違い(さらにそのバランスのとり方)
アートを支えるサイエンスの話
着想力の磨き方(アイデアの出し方)
個人制作とチーム制作の方法論の違い
デザインにおける色と光
平面(二次元)と立体(三次元)の違い、さらに映像(+時間)の違い
様々な意味での視点について
学校の勉強が大切な理由
AI時代に存在意義を発揮する方法
エトセトラ、エトセトラ。
僕がこれまでに専門学校の講師として教えてきたこと、最近職業講話で中学生に向けて話していること、全部ここに詰まっている。これから中学校に行くたびにこの本をお勧めしようと思う。定価1600円。全員買いなさい、と言っても良いぐらいの価格設定だ。もちろん買って損はない。
前述のように小学生でも読めるような書き方になっているのでおそらく小学校5年生ぐらいからであれば十分読めるだろう。学校の教材にしても良いんではないかと思うぐらい、よくできた名著だと思う。村上龍の「13歳のハローワーク」と合わせて、これも学校の図書室や、児童会館などに常備することをお勧めする。
この本は本当に、全中学生に読ませたいような名著なのだが、如何せん「レゴ」のイメージが強いため、レゴに興味が無い人はなかなかこれに出会わない可能性がある。そのため、これから教育機関の人や若い人に会うたび、この本を紹介しようと思う。
これ読むといいよ。ほんとに。
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