No.12 面河村村長は何代まで続いたか?
皆さまこんにちは。梅雨時期で髪の毛がまとまらない、面河地区・地域おこし協力隊のくわなです。
前回は、総会がひと段落したということで、面河地区地域運営協議会・だんだんおもごについてご紹介させていただきました。
(前回記事はこちら↓)
実は、今年度の総会では役員改選があり、だんだんおもごのリーダーである会長が交代することになりました。少し寂しさも感じているところですが、新しいリーダーの下で、面河地区をさらに盛り上げていけたらと思います。
今回は、そんな面河地区の“リーダー”にまつわるお話をさせていただきたいと思います。
村のリーダー“村長”
現在の面河のリーダーと言えば、だんだんおもご会長や、役場支所長などが挙げられるかと思います。そして、かつての村政時代に村を引っ張っていたリーダーと言えばそう、「村長」さんです。
幼いころの私にとって村長さんと言えば、村の大きな行事や入園式・卒園式の時にあいさつをしてくれるおじいちゃん……というイメージでした。もちろん実際のお仕事はそれだけではなく、地域行政のトップとして様々なことに取り組んでいました。
彼らが取り組んだ事業は、村名改称の打診、面河ダム補償金問題の解決、国民宿舎「面河」や「石鎚」、観光センター、面河山岳博物館など村営施設の設置、県下町村に先駆けての村独自の敬老年金支給制度の実現など多岐に渡ります。
村長さんたちは、概ね4年の任期ごとに交代・留任しながら、面河村が閉村するまでこれらの事業に取り組んでいました。
この「1期」を「1代」として数えていったとき、閉村の年に村長を務めていた梅木正一氏は第何代に当たるのでしょうか?
以前、それを調べるために閉村時の資料をいくつかあたってみました。平成16年(2004年)7月に発行された「広報おもご 合併・閉村特集号」や、現在は役場面河支所前にある「面河村閉村の碑」裏の沿革では、共通して第38代となっていました。(※1)
これを素直に捉えれば、面河村の村長さんは第38代まで存在したということになります。ところが、これまでの記事でも参考にさせていただいている閉村記念誌「刻を超えて」の最後に掲載されている年表を見てみますと、とんでもないことが判明しました。
(↓「刻を超えて」はこちらからご覧いただけます)
こちらの巻末にある年表には、平成8年6月25日、第三十七代村長である中川鬼子太郎氏が辞職。翌月の7月7日に第三十八代面河村長・脇本武雄氏が就任した旨が記載されています。
この脇本村長は、梅木正一村長の前任者。なんと、その時点で第38代となっているではありませんか!
なぜそこにズレが生じてしまったのか?
面河村長は実際には何代までいたのか?
前置きが大変長くなってしまいましたが、今回はその謎を追求していきたいと思います。
歴代村長を数える
謎を追求……といっても、やることは単純明快。まずは「面河村誌」巻末の人名録および、「石鎚の聖流郷おもご 2003面河村村政要覧」巻末資料を確認しながら、ひたすら列挙していきます。(ここでは敬称を略させていただきます。また[ ]の中の数字は、2回目以降の任期数です)
~杣川村時代~
初代・土居勝四郎(明治23年1月~)
2代目・村上英市(明治27年1月~)
3代目・大泉知重(明治29年2月~)
4代目・菅 正志(明治29年8月~)
5代目・石黒信元(明治32年3月~)
6代目・菅 福次(明治33年11月~)
7代目・中川嘉蔵(明治36年1月~)
8代目・菅 藤三(明治38年2月~)
9代目・中川嘉蔵[2](明治39年2月~)
10代目・小椋和太郎(明治40年5月~)
11代目・中川嘉蔵[3](明治44年9月~)
12代目・渡部基綱(大正5年1月~)
13代目・渡部基綱[2](大正8年12月~)
14代目・菅 広綱(大正9年9月~)
15代目・菅 広綱[2](大正13年9月~)
16代目・菅 広綱[3](昭和3年2月~)
17代目・重見丈太郎(昭和6年12月~)
※この代に面河村へ改称
(CM:重見丈太郎さんについては以下の記事もチェック↓)
~面河村時代~
18代目・高岡宮吉(昭和9年3月~)
19代目・八幡文太郎(昭和12年1月~)
20代目・八幡文太郎[2](昭和16年1月~)
21代目・重見丈太郎[2] (昭和17年10月~)
22代目・小椋胤一(昭和20年12月~)
23代目・高岡直雪(昭和22年4月~)
24代目・高岡直雪[2](昭和26年4月~)
25代目・小椋胤一[2](昭和28年8月~)
26代目・重見丈太郎[3](昭和30年5月~)
27代目・高岡義信(昭和34年5月~)
28代目・重見丈太郎[4] (昭和36年2月~)
29代目・青木末広(昭和38年7月~)
30代目・青木定市(昭和42年7月~)
31代目・中川鬼子太郎(昭和46年4月~)
32代目・中川鬼子太郎[2](昭和50年4月~)
33代目・中川鬼子太郎[3](昭和54年4月~)
34代目・中川鬼子太郎[4](昭和58年4月~)
35代目・中川鬼子太郎[5](昭和62年4月~)
36代目・中川鬼子太郎[6](平成3年4月~)
37代目・中川鬼子太郎[7](平成7年4月~)
38代目・脇本武雄(平成8年7月~)
39代目・梅木正一(平成12年7月~)
40代目・梅木正一[2] (平成16年6月~7月末)
以上、22名・全40代が、どうやら正確な面河村長の人数のようです。
2代分の誤差はどこで生まれたのか?
では38代と40代、この間2代の差はどこで産まれたのでしょうか?
改めて、これまで見てきた資料を整理していくと、
・「刻を超えて」巻末年表・面河村のあゆみ
・「2003面河村村政要覧」資料編
・「面河村誌」資料編・人名録
・「面河村誌」資料編・郷土歴史年表
これらの資料に則って計算していくと、面河村長は全40代となります。
そして、
・「広報おもご 合併・閉村特集号」はじめに
・「面河村閉村の碑」裏 沿革・面河村歴代村長
こちらでは第38代村長が最後の村長となっていました。
これを見ると、平成15年以前に編集された資料が基になっている資料では全40代、平成16年の閉村にあたってまとめられた資料では全38代となっていることが分かります。
ということは、閉村時に資料をまとめる際にズレが生じてしまった……ということになるでしょう。
では、なぜ閉村時に資料をまとめる際にズレが生じてしまったのか?このことが疑問で、しばらくの間定期的に資料を読み返していました。そして最近になって、ついにそれらしい原因を見つけ出すことができました!
その原因と考えられる資料は、またも面河村誌。
村誌では、1枚目からページを4枚めくったところに、歴代村長が写真付きで紹介されています。当時現役で村長を務めていた中川鬼子太郎氏は、ここに掲載されていませんので、このページで最も新しい村長さんは青木定市氏となります。
先ほど確認したところだと、青木定市氏は第30代村長となるはずですが、このページでは29代となっており、1代分ズレが生じています。さらに第23代・24代村長を務めた高岡直雪氏は、このページでは21代・22代・23代と紹介されているのです。
青木定市村長を起点にすると、最終的には全39代となるはず。ですが、閉村資料の編集時に、仮に高岡直雪村長が2代しか務めていなかったことに気づいたとすれば、きっちり38代となります。(※2)
そして、最終的に2代ズレてしまった部分を見つけるまでさかのぼると、第14・15・16代村長を務めた菅広綱氏に行きつきました。このページで菅広綱村長は第14代とだけ紹介されており、そこからズレが生じてしまっていたのです。(※3)
まとめ
ここまで紹介してきた、ズレが生じるまでの経緯を簡単にまとめていきましょう。
①まず、平成15年以前にまとめられた資料の多くでは、全40代となる数え方がなされていた。
②閉村関係の資料をまとめる際に参考にしたと思われるのは、それらの資料ではなく、面河村誌冒頭の「歴代村長」ページだった。
③このページでは第14~16代の菅広綱村長と、第23・24代の高岡直雪村長の項でズレがあった。
④後者のズレに担当者が気付き、そちらのみ修正を行った。
このような経緯で、最後の梅木正一村長は38代と紹介されたのではないかと思われます。
というわけで本記事では、年代がはっきりしている数え方に則って、「梅木正一氏は第40代村長である」と結論付けたいと思います。
なお、すでにご紹介した高岡直雪村長について、確実に2代しか務めていないとは言い切れませんし、11代目の中川嘉蔵村長が5年も務めているなど、不可解な点はまだあります。
これらを考慮するとまた結果は変わってきますので、あくまでも一説としてご理解いただけますと幸いです。
以上、今回は村長さんにまつわる個人的疑問の解決編でした。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
【注釈一覧】
(※1)面河村長の数え方は、全ての資料で共通して改称前の杣川村・土居勝四郎村長を初代として数えている。
(※2)閉村記念の碑を見れば、高岡直雪村長は21代・22代となっていることから、この部分は修正が加えられた可能性が高い。
(※3)こちらは閉村記念の碑でも14代とのみ紹介されており、修正が加えられていない。
【参考文献】
・面河村誌(1980年・面河村)
・村名改称五十周年記念誌 面河のあゆみ(1984年・面河村)
・石鎚の聖流郷おもご 2003面河村村政要覧(2003年・面河村)
・広報おもご縮刷版 平成5年~平成16年(2004年・面河村)
・閉村記念誌 刻を超えて(2004年・面河村)
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