Zaraの「自分のサイズを探す」にイノベーションを感じた
こんにちは、Raika Tanakaです。2020年は緊急事態宣言での外出自粛により、オンラインサービスの需要がこれまで以上にぐんと高まった一年でしたね。これを機に、どんな業界でもオンラインでの販売やサービス提供といった、デジタル戦略に注目が集まっています。
アパレル業界の苦悩
今では当たり前になったオンラインショッピングも、昔はオンラインでクレジットカードを使って決済。に不安を感じたり、自分で実物をチェックしないと購入できないといった声も多かったです。個人的には、本や日用品といった物は気にせずオンラインで注文できるのですが、ずっとハードルが高いと感じていたのが「アパレル」です。
衣服は難しい・・・。自分に似合うのか着てみないと分からないですし、生地の質感も手で触って確かめたい派です。なにより、ブランドによってサイズが若干違ったりするので完全にオンラインでの購入は避けていたのですが、昨年の緊急事態宣言の時についにその時がやってきました笑
結果としては、「アパレル業界すごい進化してた!!」というとても良い体験だったので、Zaraでのオンラインショッピングの体験とアパレル業界のDXについてまとめます。
オンラインでのサイズ選びという難関
さて、アパレルを購入する時にまず避けて通れないのが「サイズ」です。せっかく購入したのに、身体にフィットしなければ着れませんよね。
購入前に試着ができないので、アパレル業界のオンラインショッピングでは「返品無料」を実施しているところも多いです。返送費用も無料なので、気軽に購入してサイズが合わなかったらなかったら返品。しかし、これは最悪の事態にはならないという安心材料であっても、オンラインで購入したい!という気持ちにさせるものではありません。正直、返品も顧客からしたら手間なのです。
さて、Zaraでの体験の前に、比較としてH&Mのオンラインショップを覗いてみます。(H&Mには別の良さがあるのですが、今回はサイズ選びの体験において、良くない方の例で比較させていただきます、ごめんなさいmm)
この黄色のセーターが気に入ったとしましょう。自分のサイズって大体は分かるものですが、服によっては「ゆるく着こなしたい」「ちゃんとフィットしてほしい」なんてこともあります。
「多分Mだけど、一応サイズガイドみておくか・・」そう思って開いたページはこうなっています。
驚愕です。電車の時刻表より複雑です。ここで購買欲が下がっていくのです。理由をご説明しましょう。
面倒に感じた顧客がとる行動とは
みなさんは家にメジャーとか持っていますか?持っていたとしても、この黄色いセータを購入したいな!と思ったタイミングでメジャーを引っ張り出してきて、身体のサイズを測りますか?
もし、「できる!」って方がいたら心から尊敬します、すごいです。何故なら大半の人はここで挫折するか、「えいや(最悪、返品すればいい!)」と適当なサイズを選んでしまうからです。
そして、荷物が届いてサイズが合ってなかった時のがっかり感。やはり返品は面倒。返品する手間を考えると、このままクローゼットに閉まって忘れ去りたい。返品が無事にできたとしても、ワインタイムの良くない体験のせいで、次にオンラインでアパレルを購入する際には身構えてしまいます。
Zaraの「自分のサイズを探す」機能
ここでZaraのオンラインショップを見てみましょう。
Zaraの商品にもサイズガイドがありますが(そしてこれはH&Mよりかなり見やすい)、今回は「自分のサイズを探す」という機能をご紹介します。
「はいはい、また自分の身体のサイズをメジャーではかるのね」と期待せずクリックして開いたポップアップはこんな感じでした。
身長と体重を入力する画面です!(体重はマナーとして隠しました)
さすがに自分の身長と体重くらいは皆さん分かるはず。これもナイスだなと思ったのが「好みのフィット感」を選べる点です。例えば、ちょっとゆるく着こなすのが好きな人は、ルーズフィットを選択できます。自分のデータを入力して、この次に出てくる提案がちょっと衝撃的です。
84%がMサイズを購入し、サイズ違いが理由の返品をしていません
「あなたと体型と好みのフィット感が似ている人の84%がMサイズを購入し、サイズ違いが理由の返品をしていません」
こんな有益な情報だしてくれるなんて!これこそ、データの成せる技ですよね。「あなたのサイズは、Mです!」ではなく、あくまでパーセンテージで提案してくれるところがリアルです。
84%の人がMサイズを選んでいること。について、どう判断するかは自分次第なわけですが、この割合だとかなり買う気になります。ちなみに、Lサイズを購入してサイズ理由に返品していない人も16%います。かなり大きめに着たいのであればLもありかも...と想像できます。今までアパレルのオンラインショッピングでこの体験をしたことはありません。なんなら実店舗でもありません。
この結果の後、4つの追加項目でおすすめサイズの精度を更にあげることもできます。
おなかのぽっこり具合。
ヒップの形
バストのサイズ。これは、各国でサイズ表記が違うので、プルダウンから選ぶことができます。日本は選択肢になかったんですが、ヨーロッパと一緒です。
年齢を聞かれるのは、同じ体重でも年齢によって体型が異なるからだそうです。ちなみに、答えたくないものがあれば左下からスキップすることもできます。
このおすすめのサイズは、他の商品にいくと先程入力したデータを参照して、服によっておすすめのサイズ提案を表示してくれます。店員さんが「この服はかなり大きめにつくってあるので普段Mの人はSでもいいかもしれません」なんてこともありませんか?それが叶います。
購入履歴のデータを顧客の為に使う
データ分析というのは、これまでは会社で人がExcelで頑張っていた時代から、コンピューターに数時間で大量のデータを、しかも安価に計算してもらえる時代になったからこそで成せるのではないでしょうか。
例えば、AIによるデータ分析が高価すぎたり、時間がかかりすぎたりすれば、流れがかなり速いアパレル業界でこういったサイズ提案の機能はROIが合いません。
もともと、アパレルのオンラインショップは、モデルさんが着ている姿の動画を載せたり(これも4Gがなければ難しかった)、商品の生地の質感が分かるくらい高画質な写真を載せたりと、IT技術の進化と共に色々な試行錯誤が見られます。
個人的には、どれも何か「惜しい」感じがしていたのですが、今回のZaraの「自分のサイズを探す」の機能は、本質的なんじゃないかなと思ったのと、蓄積した購入履歴のデータを、顧客の為に使うというのは何か新しいです。
私は外出自粛中にこの機能をつかって、ジャンプスーツを買いました。サイズももちろん良い感じでしたよ!(感動)
最後に
また緊急事態宣言が発令されたり、されなくてもこの時期は人混みを避けている人も多いかと思います。Stay Homeしながらもショッピングを楽しめるのは、こうしたデジタル戦略のおかげなんですね。さまざま業界がITを活用することで顧客にも従業員にも更に良い体験を提供できるといいですね。
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