5,000円の同人誌を作ってみた。(クリエイションとお金について)
高価でも手に取ってもらえる写真集を作る
同人写真集「雲外蒼天」を東方紅楼夢(11/28)とオンライン通販(12/1〜)にて頒布します。特装版は5,000円です。お金に対する価値観は様々あると思いますが、ほかの同人誌なら数冊買えるし、写真集の価格としても高価です。アンセル・アダムスのクソでか写真集と同じ価格。 https://amzn.to/3li2Alv
なぜこの価格に決めたのかというと、単純に箔押しや高精細プリンターなど、こだわった仕様にした結果印刷費が高くなったーーからだけではありません。これは初めから「高価でも手に取ってもらえる写真集」をコンセプトとして企画した写真集なんです。
モノには相場があります。安売りすれば自分が苦しいし、高すぎれば売れない。その相場を大きく外さない。【商売】ではそうするのが普通です。ただ今のところ、僕が写真集の頒布にあたって重視しているのは、商売でも、お金を稼ぐことではありません。
僕にとって、理想的なかたちで写真を見ていただくことこそが、写真集を作る目的です。
《お金》と《プライド》
僕は名刺やチラシの作成、雑誌のDTPも仕事にしている人間でして、印刷において複数お気に入りの業者があるのですが、「理想的の仕上がり」で本を作ると馬鹿にならない単価になることはすぐにわかりました。ちなみに今回5,000円と打っていますが、(仮に100冊刷っても)赤字です。そういう金額にしても、手に取ってもらえる写真集を作ろうと思ったんですね。
金額を高く設定すると、それに応じて高いレベルのクリエイションを要求されます。《自分の作品に好意を持ち、買って頂けた方》を裏切ることはできません。どんな品質で製作すれば、どのくらいの金額を頂けるか・・を考えることは、自分の制作やそれに対する姿勢、アウトプットの品質を見つめ直す良いきっかけになりました。
自分の創作活動とは一体なんなのか、自分の価値はどこにあるのか、他人は僕の何にコストを払うのか、それに対し一体何をどれだけできるのか。
例えば「なにか誤魔化したり妥協すれば、誰かに見つかるかもしれない」という恐怖心があります。安値を付ければ「値段なりだね」と煙に巻けますが、今回はそうはいかない。そういう気持ちもあって、この写真集はかなり切り詰める思いで作りました。ただ、この過程や思考は僕のこころの中のものであり、誰かに分かってもらえるとは思っていません。
”いっぱい売れたらいい”ではない。自分を知っている人に買っていただきたい
当然、高単価を付けた以上、売れる絶対数は減ると思います。それに、なぜ値段が高くなったかについて、全てを明かしてはいません。けれども、それでいいと思っています。この本の売れ行きは「らいちの写真集に5,000円払える人がどれだけいるか」です。自分の作家としての価値を皆さんに問うてみたい。
そしてまず、手に取っていただいた方に感謝。お楽しみいただけたら幸いです。そうでないあなたにも、いつか手に取っていただけるよう、いち作家として、一歩ずつ精進して参ります。ちなみに、仕様を抑えた「通常版 雲外蒼天」も1,500円で頒布するので、ぜひまずそちらをお買い求めいただけると嬉しいです。
読んで頂き、ありがとうございました。
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