#003 ○○が見える女の子
自分が小学生の時に体験した不思議でちょっと怖い話だ。
小学生の時に受験をした。その受験対策塾にいた女の子の話だ。
自分の学校では珍しく受験するのは自分だけだった。
だから学校でも試験対策などは一切なかった。
そのため少し家から離れた中学受験専門の塾に通っていた。
黙々と授業を受けているある日、塾に一人の女の子が入塾してきた。
その子は大人しい感じで、リュックには大量のお守りがついていた。
その子の周りだけ流れている空気が違う、そんな気がした。
どこか不思議だな、そう思えた。
受験間近に塾長が「皆で、太宰府天満宮にお参りに行こう」と
言い始めたのだ。毎年恒例らしい。塾でバスを借りて行くらしい。
そしてバス移動の時にその女の子が席の隣に来た。
子供ながらに何か会話しようと思ったので
勉強はどう?なんの教科が得意?などと話題を持ち掛けた。
ある程度の返答をしてくれるのだが会話は弾まなかった。
会話が終わり沈黙が続いた後、突然、
「君受かるよ…」とボソッと言ったのだ。
僕はすぐさま「ん?なんで?」と聞き返した。けれど彼女は首を大きく横に振り、「なんでもない」と答えた。
何だったんだろう、そんなこと思っている内に太宰府に着いた。
太宰府のお参りするところに着くと彼女はお参りしている塾生徒と
神社の奥のほうをキョロキョロと見比べていた。何度も何度も見ていた。
バスに戻り、何してたの?と軽い気持ちで聞いた。
すると彼女は、「私、実は見えるの」と深刻な顔で言った。
「ん?何が?」と聞き返すと、「菅原道真…」と言った。
思わず吹き出してしまった。なぜならオカルトとかの類は全く信じていなかったからだ。
すると彼女は「いや、ホントに見えるの!菅原道真の表情で分かるの!!誰が受かるか受からないか」と言った。
それでも信じなかったので面白半分で「じゃ、誰が受かって誰が落ちるか言ってみろよ!」と煽る感じで言った。
すると彼女は紙に全員の名前を書き、隣に〇と✕を書き始めたのだ。
「見てなさい、この通りになるわよ!」とさっきの紙を渡してきた。
あー、そうかそうかとあしらいながらバックにその紙を入れた。
そして時は過ぎ、受験をし、合格発表があり、
僕は嬉しいことに合格していた。
すぐに直接塾に合否判定を報告しなければいけないのだが、色々と忙しくかなり報告が遅くなってしまった。
塾長に「君が最後だよ」と言われた。
他の生徒たちは皆もう報告しに来たようだ。壁には「○○合格おめでとう!!」と紙が貼ってあった。
そんな時にあの紙を思い出した。あの女の子の紙を。
思わずバックから紙を取り出し誰が受かって誰が受かってないのかを見比べた。
驚いたことに女の子の紙に書いてある通りの結果になっていた…
思わず体が震えたのを覚えている…
本当に見えてたんだ…そう思った
けれどあの子太宰府に着く前に、君受かるよ…と言っていた。
あれは何だったんだろう、何が見えていたんだろう、そう思うともっと怖くなった。
ていう不思議でちょっと怖い話です。
この話、もう一つ怖い点があって…
あの見える女の子は落ちてました。
自分で落ちるって分かってて受験したんですかね…
一番怖い…笑
以上!最後までこんな長いテキスト最後まで見ていただきありがとうございました。