部屋の時計を見ると昼を過ぎていた。 もうこんな時間か、こんなはずじゃなかったのにな、と思いながら ベットの上で寝返りを打った。 寝返りを打つと目線の先に通帳があった。 そういえば昨日、口座確認したんだっけ、と独り言をつぶきながら 通帳を手に取った。 中を確認すると今後の生活に必要なお金を引いても、 余裕のある金額が記載されていた。 学生の頃、お金があっても疲れに負けてベットの上から動かない、という 番組をみて、こんな考えをする大人は馬鹿だな、こうはなりたくな
淹れたてのコーヒーをデスクに置き、いつも通りPCを開くと今日はホワイトデーだった事に気がついた。 毎年この時期になるとあの淡い恋を思い出す。 あれはもう6年前のことだ。 当時2年間付き合っていた彼女がいた。 面倒見が良く、気が合い、もしかしたら結婚するかもしれない、 そんなことも考えていた。 そんな彼女から突然、別れを告げられた。意味が分からなかった。 彼女は最後に、今までありがと、とメールし途絶えた。 理由は分からないままになった。 けれど一つ思うことがあ
自分が小学生の時に体験した不思議でちょっと怖い話だ。 小学生の時に受験をした。その受験対策塾にいた女の子の話だ。 自分の学校では珍しく受験するのは自分だけだった。 だから学校でも試験対策などは一切なかった。 そのため少し家から離れた中学受験専門の塾に通っていた。 黙々と授業を受けているある日、塾に一人の女の子が入塾してきた。 その子は大人しい感じで、リュックには大量のお守りがついていた。 その子の周りだけ流れている空気が違う、そんな気がした。 どこか不思議だな
大きなプロジェクトを任された。 今までにもいくつかのプロジェクトを担当させてもらったことはあるが、 ここまで大きなプロジェクトは初めてだった。 今まで見たことないような金額が動き、物凄い人数の人が動いた。 その分今まで感じたことのない責任と緊張を感じていた。 絶対成功させてやる、と思い、ほかの社員が帰ってもオフィスに一人残り資料の作成を念入りに念入りにした。 眠たくなると近くの自動販売機で缶コーヒーを買い、飲んだ。 味が分からなくなるまでに飲んだ。 家に帰って
昨日、雨が降った。 みるみるうちに地面を黒く染めていく、そんな大雨だった。 コンビニに入る前には降っていなかったのにな、と思いながら なんともいえない値段のビニール傘をコンビニに入り直し買った。 そして外に出て傘を開いて駅に向かっていると、 仕事帰りだろうか、女性がハイヒールの踵をコツコツと言わせ ミニボストンで頭を守りながら駅とは反対の方向に駆け足で行った。 突然の雨だったもんな、天気予報も晴れだったし、と思いながら 傘を持っている事実に優越感を抱いた。