読書記録:映画ダンジョンズ&ドラゴンズ アート&メイキング
今年てんぐが見た映画ランキング1位に燦然と輝くダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇りですが、ようやくそのアート&メイキング本が手に入りました。
「なんでパンフレットが出てないんだ!」という嘆きの声が半年前に上がっておりましたが、これは実質パンフレットですよ、しかもハードカバー版の。
そんな映画ダンドラのアート&メイキング、読めば読むほど「あのシーンにはこんな裏話があったのね」「この気持ち、TRPGユーザーとしてもわかるなあ」「このキャラって初期はこんなイメージだったのね」などなど色々な発見がありました。例えば、ヒュー・グラントの起用が決まるまでは、エドガンにどこかよく似た印象があった初期型フォージおじさんや、目元を黒く塗っていたドリックや、斧でなくグレートソード装備のほとんど男のように見えるホルガなどのイメージ画。
各キャストのインタビュー記事も面白かったです。ゼンク役の、鎧のおかげで腕が動かなくて苦労していたレゲ=ジャン・ペイジの「命に関わることや危険なことや戦闘に関わる人、それにスーパーヒーローは決してマントをつけるべきじゃない」というぶっちゃけトークとか。レゲさんは重装鎧の習熟取ってなかったのね。
また、作中ではちょっと通りかかるだけの場所やシーンにも、その世界の人々が培った歴史と背景があります。小説「ダークエルフ物語」の舞台ともなったアイスウィンドデイル地方の町タルゴスの家屋が、日本の合掌造りをモデルにしてるというのは、日本人として嬉しいだけでなく、一年の多くを雪と寒風に晒されながら生きる北方の開拓民としての必然性を感じました。
合掌造り自体は、水曜どうでしょうのどうでしょうゼミナールで覚えたっけなあ。
クリーチャーデザインの数々は実際のセッションでもイメージ画として使えます。映画と連動したシナリオを遊ぼうという場合は特にそうです。
具体的には、「ホブゴブリンの山賊ゴルグを掴まえてレヴェルズ・エンド監獄へ送ろう!」というシナリオとか。これなんか、D&D初心者に戦闘ルールを覚えてもらうのに打ってつけだと思うんですよ。
そのゴルグといえば、彼が監獄に入るときに看守たちが「囚人二名入ります!」と報告していました。
その“二人目”の囚人となってレヴェルズ・エンド監獄に入るという展開も楽しめる公式シナリオが「囚人13号」です。
でも、「一番見たかったものが見れた!」と思ったのは、ハイサンゲームにも参加し、エドガンチームたちに先んじてゴールの柵に入っていた、あのカトゥーン版のキャラたちの設定画ですね。
ちなみにこの子たち、スターターセット収録シナリオ「竜たちの島ストームレック」のイメージ画にも登場しています。
もしストームレックを映画連動シナリオとして改変するなら、「あのチームがハイサンゲームに参加する前にストームレックで冒険してブルードラゴンを倒した」として、そのストームレック島に、かつて150年前に黒竜レイカーを擁してエルク族と魔力破りの兜の争奪戦を繰り広げた拝竜教団が迫るという方向性もあります。
そういえば、あのレイカーはどうなったんでしょうねえ。
そんなこんなでイマジネーションがどんどん湧いてくる映画D&Dアート&メイキングブック、これを読めたことを出版社や翻訳チームの皆さんに深く感謝いたします。
物理書籍は3000部程度のみで増刷予定は当面なさそうですが、電子書籍版も出ておりますので、もし円盤や配信などで映画に触れてダンドラの世界に強い関心を持った方は、こちらでもお買い求めください。