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読書感想:戦国海商伝〜今まで読んできた16世紀東シナ海域世界の知識が全部結合してました
かねてから「嘉靖大倭寇を題材にした時代小説ってどんなものになるかなあ」と考えていましたが、既に陳舜臣先生が書いてました。
素人が思いつく程度の事は一流のプロがとっくにやっている。これもまたその事例のひとつですね。
そんな「戦国海商伝」上下巻、先週Amazonで手配し本日読み切りました。
いやあ、ページをめくるたびに「わかる! わかるぞ! この話に書かれていることが飲み込める!」という高揚感に包まれてました。
冒頭の寧波の乱は新九郎、奔る! の細川家と大内家の物語の続きですし、そもそも室町武士ならカネで揉めたらあれくらいの騒ぎは起こします。
実際、こんな本もありましたし。
そして、明朝の国是である海禁を賄賂と海賊行為を組み合わせて都合よく利用する海商、その密貿易活動を水夫やスポンサーとして支援する元末の軍閥の遺民たち、そして“長い明末”と呼ばれる時代にあって倭寇と対峙する武将や是非を捻じ曲げる皇宮の奸臣と暗君、そして明と海で繋がっていた戦国日本の群雄や豪商たち。
こういった要素は知識としては把握していましたが、「実際にはどんなものだったかと説明できるか」と言われると、少し心もとないものでした。別の言い方をするなら、「“顔”のわからない人々の話」、というところでしょうか。
でも、この「戦国海商伝」を読むことで、それらの人々の“顔”が、ハッキリと浮かび上がってくるような、そんな喜びがありました。
今まで触れてきた16世紀東シナ海域世界の知識が結合する、そんな高揚感に包まれた読書体験でした。
この作品も映像化してほしいと思います。
まず思いついたのが大河ドラマ化ですが、クライマックスは毛利家の勃興を決定的にした厳島の合戦としても、舞台の大半は中国ですからねえ。NHKと言えどもちょっと難しそう。
そうなってくると、SHOGUNみたいに、海外資本で製作してディズニープラスかNetflixで配信してもらうのが一番良さそうかな。