読書感想:盗墓筆記〜D&DというよりCoC風味の中華ダンジョンアタック
先週購入いたしました盗墓筆記1巻ですが、昨日読了いたしました。
この記事では盗墓筆記とTRPGとの親和性をメインに話を進めます。
なので、感想を追いかけてきたってだけの未経験者の方向けに、TRPGの紹介記事も貼っておきます。
さて、以前に書いた記事でも言及しましたが、宝探し目当ての盗掘ってTRPGで言えばダンジョンアタックに近いと思っております。
また、今年の2月には、中華風異世界王朝を舞台にしたD&Dオンセも遊んでおります。
でも盗墓筆記は現代(正確には北京オリンピック以前のゼロ年代、もうひと世代前なんですなあ)の中国の江南や南海が舞台となるホラー小説だからか、D&DというよりはCoCに近いムードがありました。ゾンビをはじめとしたモンスターは出てきても、姿を見ただけで盗掘者がSAN値直葬するレベルの神話生物や古きものは出てきませんでしたが。
考えてみれば、CoCもBasic Roleplaying(略称:BRP)という汎用システムで作られたTRPGです。なので現代中国を舞台にした、それほどSAN値に厳しくないけど命の保証はない盗掘者一族による古墓の探索行を守備範囲に抑えていても、そんなに不思議な話ではないんですな。
そんなわけで、CoCユーザーやプレイ配信を見るのが好きって人にも、盗墓筆記は相性が良いと思われます。
TRPG的な面から離れた感想としては、現代を舞台にした中国エンタメでは、例えば車やタバコのメーカーとか、戦争中の逸話に由来する人物名とか、金庸作品やその登場人物などの、現地の住人にとっては特別に言及されるまでもないくらい当たり前な“活きた中国文化”に触れられました。
この作品にしても、家族の名においてやテンセント版三体といったドラマもそうですが、こういうところが現代中国を舞台にした作品に触れる面白さなんですよね。
その一方で、主人公の呉邪の叔父さんや、盗掘だけでなくマジックパワーも持った謎の異能者の正体と過去といったサスペンスと、次なる古墓と歴史的な背景はなにか。こういった面も実に気になります。
日本語版2巻の予約は既に始まっているこのシリーズ、今後も続いてほしいです。